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番外編 マサカツのこと②

マサカツは漫画本に出ていたロケットの巻を手に取りページをめくっていた。

読み込んでいくうちに彼は非常な驚きを得ることになった。


1800年代にはすでに月へ到達できることを計算で導き出し、必ず月に降り立つと決心した人物がいたことを知り非常に興味を持った。

その人物はコンスタンチン・ツィオルフスキーであり、宇宙旅行の父と呼ばれていた偉人である。


しかし、そのロケットはお粗末にも立派な物とは言えず、何度も爆発、失敗して、結局月に到達できずにツィオルフスキーはその生涯を閉じた。


マサカツは残念に思ったが、時代を変える人物が次々と登場し、ついにはフォンブラウンが指揮を執った開発チームが人類を月に到達せしめたことを知り。

科学は一人ではなく過去や別の技術者が集まり、初めて前に進めることに気が付いた。


漫画本には身近な技術や自然環境など様々な技術のことが網羅されており、その中で植物や森林の成り立ちににも興味を惹かれていった。


図書室の図鑑を借りて植物のことを調べようとしたが、うまく理解できない項目や、良く似た別の植物があることで、行き詰って行った。

父親に相談してみると近くにある大型の動植物園で相談すると良いとアドバイスをくれた。


「マサカツ、動植物園は動物などを見てかわいいと思ったり楽しいと感じたりする場所だと思っているだろう?でもそれだけじゃぁ無いんだ、動植物の研究をしてそれを皆に役立つようにする場所でもあるんだ」


マサカツは父の言葉に驚きを隠せなかった、高学年になっていた彼にとってはただの幼稚な場所だと思っていたからだ。

彼は土曜日になるとバスに乗って一人で動植物園に向かった。

背中のリュックにはスケッチブックや筆記用具に何冊かの本が入っている。


動植物園の門をくぐると、すぐに植物園が見えてきた。

自分の疑問をどこで聞いたらいいのかわからず、事務室の女性に声をかけた。


「はい、何か聞きたいことがあるのかな?」

女性職員が出てきたので、マサカツはリュックから図鑑を取りだして職員に見せて、この本でわからないことが多くある、と言うようなことを伝えた。


女性職員は驚いたような顔をして別の職員と何事か相談していたが、やがて彼を室内に招き入れて椅子に座らせた。

しばらくの間、周囲を見回して、花の絵柄が描かれた時計を見てその針が進むのを眺めていた。


「いやいやお待たせしたね、ごめんね、僕はこの植物園の副園長だよ、よろしくね」

初老の男性はそう言ってマサカツに名刺を差し出してきた。

彼は大人扱いされたようで気分が良かった。


「それで、どんなことが知りたいんだい」

「この最初のページの羽状複葉うじょうふくよう合弁花ごうべんかみたいなのの意味が良くわかりません、それと植物に書かれているローマ字、色々な文字があるんですが、 Linnaeusリンネウスmakinoiマキノイと言う文字がたくさん出てきます、これが何なのかわかりません」


マサカツは一気にまくしたてた。

それを見た副園長は驚いた顔をした。


「その本は君の本で、そのわからないことは君自信で気が付いたのかい?」

「そうです、父に動植物園は動物や植物のことを教えてくれると聞いて来ました」


副園長は笑みをこぼすと、少し考えた後で答えた。

「君はこの二つの漢字の意味が分かるかな?」

「はい、羽の状態がたくさんある葉っぱと言うことはわかりますでもこのごうべんかは良くわかりません」

「うんうん、これはうじょうふくようと読むんだ、意味は君が言ったように羽の形をした葉が複数ある状態のことを表しているんだ、次の言葉はごうべんか、弁のような状態の花が合わさっている状態なんだね」


マサカツはぱぁっと明るい笑顔になった。


「次に Linnaeusリンネウスはリンネと言う動植物を分類した偉い学者さんの名前だよ、次のmakinoiマキノイは牧野富太郎先生のマキノの名前だよ、日本植物学の父と呼ばれた学者さんで日本中の植物を観察したすごい先生なんだ」

「もしかして、そうだ、父も言っていましたが植物を見つけると自分の名前が付けられるんですか??」


副園長はうなづいて言った。


「そうだよ、新種には自分の名前が付けられるんだ!!」


マサカツは驚いた顔をして図鑑の植物スケッチに目を落とした。

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