第64話
「漢民族は、水運を重要視し、手掘りの運河を多数作って来た。渤海から北京中央街まで通じる運河は、有名だ。今回は、北京駅の近隣まで遡上した。頼んだぞ、みぃちゃん。」
「はい。『救世主』様。……かしこみもぉす。」
「本来なら、ここで河が地下に潜る事になるが、GPSの電波を誰かに、察知されてもまずい。ここは、地上に出る。……で、地上の様子はどうだ。」
ここで、植物(御榊)の枝を片手に、意識を集中させている幼馴染に、確認するサマノ。
「問題ございませんわ。『救世主』様。」
「どう言う原理か、分からぬが、その枝の先端が、川面より飛び出して、『潜望鏡』の役割を果たすのかや。」
「『水ノ神』凄過ギデス。」
「よし、浮上。」
ここで、4人を包む『水泡』が、川の中から、空気中へと上昇した。そして、水面を滑るように移動し、岸へと上陸。その後、消失した。
白地に赤の太陽を模したTシャツ姿のサマノ、巫女装束の幼馴染、『強化外骨格』を着こんだゾフィー、『黒豹』……もとい、ポロポは、北京駅近郊に到着した。
念の為、今回メイドは、1人もいない。
「今回は、メイドによる人海戦術が、使えない。決して、逃がさない事。いいね。」
「やむを得ぬ。幼馴染殿の、『能力限界』による『定員オーバー』ぢゃ。わらわは、問題無い。『救世主』様。」
「ふぅん、人数で、押すしか取り柄無いんじゃないかしら。」
「やめないか。2人共。」
「誰カガ、ヘマヲシテモ、私ノ『嗅覚』ト『脚力』ガ、獲物ヲ逃シマセン。『救世主』様。」
「期待して……いいのだな。ポロポ。」
「あら、お二人共、何時の間に、仲がよろしくなったのかしら。『救世主』様。」
「これ、わらわを、除け者扱いかや。『救世主』様。」
「僕は、常に『適材適所』を重要視している。それとも何か。今まで僕にブレでもあったか。」
「ふっ……ならば、言うべき台詞は、こうぢゃ。」
「期待シテ……イイノデスネ。『救世主』様。」
「期待して……いいのですね。『救世主』様。」
「期待して……いいのぢゃな。『救世主』様。」
「やかましい。ふざけてないで、さっさと進むぞ。」
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「やはり、持つべき者は、ロートシルト家の『内通者』。国家主席の『御前会議』に、乗り込むことが、できた。」
そこに、国家主席の母国語から、日本語に切り替えるゾフィー。
「……以上が、彼奴との会話内容ぢゃ。『救世主』様。」
「成程、『ヘレン先生』も結構重たいものを背負っていたんだな。」
「だから、許すと言う事でしょうか。『救世主』様。」
「ソウデス。『救世主』様ニ牙ヲ向イタ罪、許サレマセン。厳罰デス! 『救世主』様。」
「確かに、今の彼女は、『能力』も多少は衰えているらしい。薬なしでは、只の人だ。」
「只の『諜報工作員』であろう。『救世主』様。」
「混ぜっ返すな。アーデルハイド。それより、裏を取ろう。どうせ、行かなければ、ならないんだ。本人に尋ねるさ。」
「『会話担当』は、わらわぢゃがのぉ。『救世主』様。」
知能を0歳児まで退行され、その場に放置されたのは、国家主席と『内通者』を除いた幹部全員だった。勿論一顧だにしない一行だった。
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