第46話
《どうした。戻って来たのに、挨拶も無しか、フレディ。》
手にした紙コップの内、一方を、『桃色髪』……フレディに手渡す。
《ありがとう、ロジャー。帰ってきたら、検査ばかりで、休む間も無いんだ。こんな色気の無い服、早く着替えたいな♪》
フレディは、トレードマークの『トロス』の制服から、検査着に着替え、ツーテールを降ろしていた。
《おまいの最大の長所は、チアコスが、似合う事だ。そして、最大の欠点は、チアコスが、似合い過ぎる事だ。》
《あは♪ ロジャーの毒舌、相変わらずだね♪》
《つか、日本の『救世主』と、ヤリ合ったんだろ。どうして、手ぶらなんだよ。》
《いや、それがさぁ…………》
《それが?》
《なぁーんにも、思い出せないんだよねぇ♪》
《はぁ!》
《軍に無理を言って、飛行機を飛ばして貰った事。2人も軍人に護衛されて日本に行った事。そこまでは、思い出せるんだ。けど、それ以降、帰った時の記憶も無いんだ♪》
《ふ・ざ・け・ん・な! どんだけ、人に心配かけたと、思ってんだ!》
《ふふ……心配してくれたんだ♪》
《誤魔化すな! おまいの『デッド・オン・タイム』は、どうした! あれは、『1度に1つ』の制限があるだけで、『無敵』だろ!》
《あ……それなんだけどさぁ、僕にそんな『能力』がある事も、使い方も思い出せないんだ♪》
《はぁ!》
《ましてや、日本の『救世主』の事も、思い出せないんだ。それで、気づいたら、セントラルパークにいたんだ。いやーはっはっはっ♪》
《はっはっはっ、じゃねぇっ! おまいの『デッド・オン・タイム』は、時間が流れる速度を『遅く』できるんだぞ! どんな物質でも、現象でも、『遅く』なったら何もできねぇ!》
《さっきも、先生から説明を受けたよ。『対象』にかかる『重力』を『零』まで『遅く』すれば、『地球の遠心力』で、『宇宙』まで放る事もできるってさ♪》
《それじゃ……。》
《僕に、当たって反射する『光』を、『遅く』すれば、『今見えてる僕』は、『10時間前』の『僕』になる。事実上、僕を視認不可能になる。ともね♪》
《本当に……思い出せない。のかよ……。フレディ、マジかよ。おまいが、おれたちの『要』なんだぞ!》
《うん♪ でも、不思議なんだよ。何で、ここの事思い出せたのか。『記憶喪失』って、そんなに『ピンポイント』なのかなぁ……ってね♪》
《そりゃ、決まってるさ。日本の『救世主』に、『何かされた』に、決まってる.》
《それなんだよ。日本の『救世主』って、会った記憶が無いんだ♪》
《多分、卑怯な騙し討ちか、人数で畳みかけたに決まってる。おまいの『優しさ』が、裏目に出たな。》
《確かに、仮にそんな『能力』が使えたとする。例えば、対象以外に、沢山護衛がいた。でも、1人1人、大気圏外に放るのは、やりたくないな♪》
《だろ。だからさ……》
《何♪》
《おまいの仇は、おれが取る。》
等と言う無駄口を叩かないロジャーだった。
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