第39話
「さて、次の指示だ。彼(副大統領の秘書)を、『釣り餌』にして、魚(大統領、CIA長官)を釣り上げる。そこで、『釣り餌』を追跡しながら、泳がせる。」
「うむ、ロートシルト家技術開発部門の労作『追跡チップ』がある。問題無いぞよ。」
「御榊の細胞1つを、埋め込んだもの。問題無いわ。」
「私ノ鼻ハ、絶好調デス。」
遂に、黒豹の姿でも、日本語の発話に、支障の無くなったポロポだった。
「よし、彼(副大統領の秘書)は、報告の為、大統領に連絡する。恐らく、場所は、ホワイトハウスだ。そこで、『一網打尽』にする。突入班は……。」
そう言って、自分、幼馴染、ゾフィー、ポロポを指さす。
「後、戦闘隊長は、ついて来て欲しい。残りの者達は、バックアップとして、周辺に待機する。いいな。」
「ええ。『救世主』様。」
「承知。『救世主』様。」
「ハイ。『救世主』様。」
* * *
《大変です! コードXX! です。》
覚醒すると、すぐに懐から取り出したスマホで、『ある所』に電話した副大統領秘書だった。
一旦、電話を切って。暫し待つ。電話が、かかって来る。電話を取る副大統領秘書。
《…………はい。……はい。……そうです。私は、無事ですが、……副大統領は……くっ。……場所ですか……リンカーン記念館です。……ええ、すぐそちらに向かいます。》
電話を切ると、LINEの着信を、確認し、その場を後にする秘書。
これらの会話を、少し離れた駐車場に止めた車中で、聞いたサマノ達だった。
「……当然の成り行きだな。秘書官は、スタンガンで麻痺させられた上、拘束され、あの部屋にいた。CIA長官の関与も耳にした。当然、大統領へ報告に、向かうだろう。」
尾行対象が、車を拾ったのを確信して、こちらも尾行する。
「流石だな。車種の違う車を4台用意して、連なって尾行するのか。」
「無論、尾行に気付かれそうになったら、先頭の1台が、角を別方向に曲がる。これで、尾行対象の注意を逸らす事が、できるのぢゃ。」
「でも、ホワイトハウスは、近いんでしょう。そこまでする必要ある。」
「恐ラク、念ノ為、デショウ。我々ノ車ガ、最後尾デスガ、前ノ車ハ、トラックデス。巨体デ、私達ガ乗ル車ヲ、上手ク隠シテマス。」
「問題は、CIA長官だ。もし、いなければ、次の機会を狙う必要がある。」
「でも、電話だと、CIA長官の事も、言ってたんでしょ。」
「無論、呼ばれる公算が、高い。とは言え、大統領、副大統領が、揃って行方不明になれば、国の一大事だ。CIA長官は、何としても探し出そうとする。それなら、本部に籠るだろう。」
「然りぢゃのぉ。そこで、捕縛すれば、よかろう。『救世主』様。」
「そろそろだ。準備は、いいな。」
地図を確認しつつ、言葉を紡ぐサマノ。
「問題無しぢゃ。『救世主』様。」
「私もよ。『救世主』様。」
「ハイ。『救世主』様。」
「ご武運を。『救世主』様。」
メイドの言葉に送り出される。路肩に停車した車から、出発する4人だった。
* * *
明日00:00公開
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