第40話
こけつまろびつ走り、ようやく、《シチュエーションルーム》に、到着した秘書官だった。
勿論、ここでの会話は、全てアメリカン・イングリッシュだ。
《大統領。一大事です。》
息を整えて、ようやく声を絞り出した秘書官。
《報告しなさい。》
秘書官の眼前にいるのは、不機嫌そうなブルドッグにしか見えない。
だが、この男こそ他でもない。第45代米国大統領その人だ。
《はっ、……。》
ここで、自身が見聞きした事を、報告する秘書。そして……
《……以上です。……あの、大統領。一体、『救世主』とは……。》
大統領が、右手を挙げた為、台詞を最後まで、言い終える事なく、口ごもる秘書。
《確かに、君が知らないのも当然だ。マスコミには、緘口令を敷いたからな。》
《は? 大統領……。》
《やむを得ない。事ここに至った以上、君にも知ってもらおう。『救世主』と『預言者』と『破滅』について。説明したまえ。》
大統領から、指示されたのは、CIA長官だった。そして……
《そ……そんな事が……。》
全てを聞き終えた秘書は、ショックのあまり、その場に崩れ落ちた。しかし、『ある事実』に思い当たり、跳ね起きた。
《大統領、まさか、外国の……いえ、日本の『救世主』を、暗殺するよう、お命じになったと言うのは、本当ですか!》
《君、ここは大統領閣下の御前だぞ。》
CIA長官から窘められた。
《君も、この世界に身を置く者の一員として、分かるだろう。これは、高度に政治的判断なのだよ。》
こういう時、両手の指と指を交差させて、鼻の下にあてがう。それが、ジャパニメーション式の礼儀と言う物だ。
《こうなった以上、仕方ない。よもや、この私に手を出す程、愚かな連中かもしれん。私は、暫く身を隠す。連中を探し出して、死末しろ。》
「それは、『始末』の間違いだろう。」
などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。
「その必要は無い。それに『死末』するなどと言う言葉も不要だ。その言葉を思い浮かべた時、既に君は『死末』されしまっているのだから。」
こうして、シチュエーションルームにいた、アメリカ人達は、気を失った。全員だ。
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