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両親と異母兄弟について


    両親と異母兄弟について

    

 生い立ちにまで遡って書き記すのは少し抵抗があるのだが、戸籍上の父が尾崎睦美である以上、触れないわけにはいかないだろう。

 

 第五部 別荘廃墟にて(藤沢と尾崎凌駕)

 

 に、

 

「私の母の名前は良美です。尾崎睦美会長の初恋の人かはわかりませんが、会長とそうした関係のあった女性です。もう亡くなりましたが……」尾崎凌駕は少ししんみりと「確かに遺産相続絡みかもしれません。会長の二人の子供、良美と勝男は私にとって異母兄弟に当たります――」


 そう書かれている私のセリフに嘘はない……

 いや、母が父の初恋の人ではないことは実はわかっている。それと……

  

 順を追って書こう。

 

 父の初恋の女性、良美については私もよくは知らない。ただ、母良美の親友だったそうだ。母から生前そう聞いている。同名だったこともありかなり親密だったそうだ。ややこしいので父の初恋の女性を良美、母は母と書こう。

 母は親友の良美のことを酷く心配していた。良美は精神を病んでしまったそうだ。母とは親友として連絡は取っていたようだが、母にはどうしようもできなかった、とのことだ。

 父の初恋はそれもあって成就しなかったらしい。なので父は母と結婚したそうだ。初恋が成就しなかったからといってなぜその親友と結婚したのかはわからない。ただ、とにかく父は子供が欲しかったようだ。この辺のことは母から聞いた話だ。

 そして私が産まれたんだが、実は私の本当の父は別にいるらしい。

 いや、もうそのことは読者も知っていることだったか……


 とにかく話を進める。


 父の記憶はほとんどない。物心ついた時には母は私を連れて別居していた。ただ、生活費や私の養育費はきちんと貰っていたようだ。

 

 私は母一人子一人の母子家庭に育ったが、父に複数の女性がいたことは母から聞いていた。更に少し驚いたことに母はその女性らとも連絡を取り合っていたようだ。

 父はその女性の一人に子供ができたとのことで、その女性と結婚するために結局は母と離婚した。それは戸籍を調べればわかる。

 その父が再婚した女性が尾崎良美と勝男の母になる。その時はまだ勝男は産まれていないが……

 で、もう一人の女性がいて、その女性も子供を産んでいる。それが尾崎諒馬=鹿野信吾=佐藤稔なんだが、その女性の名前を含め特にそれ以上のことを書くつもりはない。というか、よく知らないので書きようがない。

 とにかく、私は母一人子一人の母子家庭に育ったが、母から自分には四人の異母兄弟がいることを知らされていた。知ったのは中学生くらいの時だが……

 

 ややこしいので父、尾崎睦美を軸に時系列に纏めると、

 

 初恋の良美とは関係はあったが結婚せず

 

 私の母と結婚

 

 私、尾崎凌駕が生まれる

 

 別の女性Aが女の子を出産、良美と名付けられる

 

 もう一人の女性Bも男の子を出産、その子が尾崎諒馬=鹿野信吾=佐藤稔

 

 私の母と離婚し、女性Aと結婚

 

 妻Aは男の子を出産、勝男と名付けられる

 

 妻A死去(病死)

 

 初恋の良美が女の子を出産するも、良美は精神を病んでおり育てられず女の子は孤児になる(名前は伏せておくが成人後自分で改名して祐天寺良美となる)

 

 と、まあ私、尾崎凌駕を長兄として、腹違いの弟と妹が二人ずついるわけだ。

 

 私も母からそう聞いていたのだが、当初は血が繋がっていると思っていた。つまり、すべて遺伝的に父、尾崎睦美が父親だと普通に思っていた。

 実際は違ったんだが、まあ、以下はそう思っての行動だった。

 

 母がまだ若くして病気に倒れ、先が長くないとわかった時、私は孤独に(さいな)まれたのだ。父には頼りたくなかったが、存在することしか知らない、四人の異母兄弟とは連絡を取っておきたかった。

 ただ母はこの四人の異母兄弟について……

 

 勝男にだけは近づくな

 

 親友の良美の娘(名前は伏せておく)は何とかしてあげてほしい

 

 それだけを言い残して亡くなってしまった。

 

 勝男にだけは近づくな、の意味はよくわからなかったが、この小説で彼がサイコパスだったと知り、しかもその萌芽は勝男が幼い頃からあったようなので、ひょっとしたら母も何かしらのことを知っていたのかもしれない。

 とにかく、母の親友の良美の娘は孤児となり施設にいるので、何とかしてあげてほしいと母から生前、切にお願いされていた。

 父の再婚相手の子供、良美(娘に初恋の女性の名前を付けているわけだ)と勝男は戸籍上も父の子であり、その父が存命であれば特に心配ないだろうと、コンタクトを取るつもりはなかった。

 尾崎諒馬=鹿野信吾=佐藤稔のことは母は特に何も言っていなかったが、彼とは予備校で偶然知り合えたので、弟は彼一人でいいだろうと、一番心配なその施設にいる妹であるはずの女の子にまず会いに行ったのだが……

 

 その女の子のことは正直書きにくい……

 

 孤児のため施設の職員に付けられていた名前は酷い名前で……

 それだけでも虐待されて……

 少なくとも誰にも愛されてはいないことが明白だった。

 それがわかったので、何とかしようとしたのだが……

 

 

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