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私のお兄ちゃんは完璧すぎる  作者: 朱雀 蓮
第X章 番外編
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Dating story 草薙編

 私とあいつ、奏多との出会いはあいつが入学して1週間も経ってなかったある日の事だった。

 私、草薙撫子は父がたの実家は武道の名門、母がたは日本屈指のヤ〇ザの組長の娘との間に生まれた。

 物心ついたときに見ていたテレビ番組はアン〇ンマン、任侠映画、水戸黄門、格闘番組など、最初のモノ以外子供向きの番組など見たことはなかった。

 2歳にして父がたの実家で武道を学び、母がたの実家で喧嘩を学んだ。

 そして小学5年生で大の大人も軽くイジメる位の強さとなっていた。

 そんなこんなで地元の学校のガキ大将たちを叩きのめしテッペンをとり、小6でついた異名は【鬼神】だった。

 中学に入るとそれはよりひどくなり、気に入らないやつは縁了なくぶちのめしていった。

 中学1年にして13回停学を喰らったのであるが、反省の色は全く魅せず何時しか彼女自身も喧嘩が暇つぶしのレベルになってきた。

 そして中2になって1週間後、何気ない日常の昼休みの屋上、何時ものサボる時にも使う何時もの場所にそいつはいた、ピアノの音を流しながら、風にあてられ弁当を食べていた。


 「おい、1年坊そこは私の指定席だ。どけ。」


 すると、そいつは顔色も変えずため息を付きながらペコリと頭を下げ、反論も無くそこをどいた。


 (なんだこいつ・・・変な奴だな)


 だがそいつは屋上から出ることはなく、少しずれたところで先程の様に弁当を食べていた。

 見れば見るほど変わった奴だった。

 小学生から上がりたてにしてはかなり大人びている。だが、オーラが一切感じられない。

 撫子は格闘技を極め、精神を研ぎ澄ましていることで相手の持つ大体のオーラというか強さが分かるが、この男からはその気配がない。

 ますます変な奴に見えてきた。


 「おい、一年坊、お前何で教室で飯食わねーの?」

 「人混みが苦手なんです。昼食になると大人数から一緒に食事に誘われるんですが、そういうのあんまり慣れていなくて。」


 本当に変な奴にしかみえない。

 弁当を食い終わったのか、身体をストレッチする感覚で体を伸ばし深く深呼吸をして屋上から出て行った。

 そして、4時間目

 4時間目は新入生の参加した初めての委員会だった。

 撫子は中等部風紀委員の副委員長だったので渋々参加せざるを得なかった。(その時本人が居なかった為強制的にこうなった)


 風紀委員の教室にはよく見ると先程の1年生が座っていた。


 (さっきの変人だ・・・)


 同じく副委員長の黒城渚に聞いたところそいつの名前は靫空奏多という今学校で注目されている生徒らしい。

 入学試験にて全科目満点で首席入学、男とは思えない位、容姿端麗であり、己の力を誇示せず常に謙虚、女子からも人気があり既にファンクラブも出来ているらしい。


 「ふーん、私からしたら嫌味たらしそうで変人そうな奴だな。」

 「そう?私は結構良いと思うわ。彼、とっても優しいし。」


 顔を赤く染め彼を見る渚の目に撫子は首を傾げていた。

 そして先生が来ると、新1年生の紹介が始まった。

 1年からは奏多1人の為、教壇に1人ぽつりと立っていた。


 「どうも、1年の靫空奏多です今日付けで風紀委員の一員として参加させていただきます、御先輩方を見本に常に学校の風紀を守れるよう誠心誠意頑張っていきたいと思います。どうぞ、ご指導のほどよろしくお願いいたします。」


 完ぺきな自己紹介を終え、自分の席に座った。

 風紀員自体は奏多を含め全員で10名、話もスムーズに進んだ。


 「えー、今日から5週間で、風紀委員取り締まり強化期間を実施します。放課後、学校内で持ち込み禁止の物で遊んでいたりすれば風紀委員は学校からの許可を得て、所持品の没収できます。そこで、2人一組のペアをクジ引きで決めます。では、くじを引いてください。」


 くじを引きそれぞれパートナーが決まって固まる形となったが、撫子は物凄く嫌な顔になっていた。


 「何でよりによってお前なんだよ・・・」

 「どうも。」


 頭をぺこりと下げるのは先程からただの変人としか扱ってない奏多だった。


 「では、今週は草薙さんたちのペアで回ってもらいます、頑張ってください。」


 しかも、トップバッターという最悪の状態で放課後を迎えた。


 「では、行きましょう。まずは・・・」

 「あー・・・スマン、キョウハ、ワタシ、ヨウジガ、アルカラ、カエルワ。」

 「そうなんですか、分かりました今日は僕がやっておきます」


 奏多は了解し、撫子はラッキーと思いながら校門を出て、帰り道の公園付近で不良に囲まれてしまった。


 「よう、鬼神さん!この前のお礼をたっぷりしてやるぜ!」

 「誰お前?」


 そう言うと怒りを堪えているのか拳が震えていた。


 「お前に3日前ボコボコにされたんだよ!!ふざけんな!!おい、てめぇら!!出てこい!」


 すると、ぞろぞろと追加で不良が現れ一斉に掛かって来た。だが、


 「ちっ!足りねぇよ、そんなんじゃ・・・よ!!」


 殴りかかってくる不良をカウンターでぶちのめし、笑いながら相手を血まみれにし、先程の男を遊具の上から胸倉を掴んでいる姿はまさに【鬼】だった。


 「ちったぁ、マシな奴はいねぇのか!?」


 最後の一人の襟元から手を放し、遊具から降ろすとつまらない映画を見た後のような顔で公園を後にした。


                         ◇


 次の日、再び屋上にて、そいつはいた。

 昨日と同じく、音楽を聴きながら、弁当を食べていた。 撫子は無言で奏多の前をスル―する、向こうも話しかけることはなくただご飯を食べているだけだった。


 「・・・・・・・・。」

 「・・・・・・・・。」


 無言が続く、撫子も持ってきたパンをかじりながら空を見ていた。

 だが、その無言は直ぐにぶち破られた。


 「先輩、昨日、近所の公園で不良たちに暴行を振っていませんでしたか?」


 唐突な質問に対して別に白を切る必要がないと感じたた為素直に答えた。


 「ああ、それがなんだ?文句あるのか?」


 奏多をギラッと睨むと奏多はため息をついた。


 「はい、先輩も女性なんですからもっとご自身の事を考えて行動してください。学校に迷惑が掛かります。それに怪我などしたら大変です。」


 いちいち、癇に障ることばかり言ってくる・・・撫子のイライラは遂に頂点に達し、奏多の襟首をつかんだ。


 「いちいちうるせんだよ!てめぇ・・・私を女だと思って舐めてんじゃねぇ!!ちょっと周りにチヤホヤされてるからって・・・調子に乗ってんじゃねぇ!」


 本気の拳を顔面に叩き込んだ・・・はずだったが、その拳は軽々と奏多の左手で止められ、ピクリとも動かなかった。


 「てめぇ!離せ!」


 自分から手を出しておいて間抜けなセリフだとは思ったが、すぐに手をふりほどき一定距離の感覚をとると、構えた。


 (こいつ・・・何なんだよ!?私の本気の一撃を止めるなんて・・・)


 「失礼します。」


 奏多が頭をぺこりと下げその場を立ち去ろうと背を向けた瞬間、撫子は飛び膝蹴りで襲いにかかった。

 だが、その蹴りをこちらを一度も見ず腕の前腕の部分で受け止めるとさっさと出て行ってしまった。


 「な、何なんだよ・・・ホントに!あいつは!」


 久しぶりだった、親父とジジイ以外で戦う相手に恐怖したのは・・・

 そして、放課後、奏多と再び会い、物凄く間が悪くなった。


 「・・・あ、あのさ、お前、どっかで体術学んでたりしてたか?」

 「京都で短期間だけお世話になった家で護身術の基礎だけ習いました。」


 だとしてもだ、たかが護身術だけで後ろからの攻撃に反応なんてできるはずがない。


 「では、行きましょう。昨日は3件取り締まりがありました。見落とさないよう注意して見てください。」


 そういうと、テキパキと校舎を回り、ゲームをしている生徒や、成人向け雑誌を読んでいる男子生徒を取り締まった。


 「これで終わりです、お疲れ様でした。僕は没収品を職員室に持っていくので先に帰ってても大丈夫です。では。」


 最初から最後までテキパキ過ぎた。そしてその言葉に甘え、先に変える事にした。

 だが、校門を出て直後、昨日の男が包帯や絆創膏を巻いて立っていた。


 「よお!鬼神さんよぉ!昨日はよくもやってくれたな・・・」


 すると、再び公園で囲まれ昨日とは違うやつらが出てきた。


 「何人来ようが、結果は変わらねーよ。」

 「果たしてそうかな・・・クックック」


 すると、全員懐から、ナイフやスタンガンを出して一斉に襲ってきた。

 余裕で躱し順調な感じで次々となぎ倒していくが、倒された1人が足にスタンガンを浴びせ膝がガクッとなった。


 「し、しまっ・・・」


 気付いたころにはもう遅くよろけた撫子の身体に容赦なくスタンガンの最大電圧を浴びせられた。


 「やった、やったぞ!遂に、遂に!鬼神を倒したぞ!!ハハハハ」


 痺れて体が思うように動かない撫子はギラリと睨みつけた。


 「何だその目は・・・あぁ!?さんざん、コケに、してくれてよぉ!」


 けがをした昨日の不良が思い切り撫子の身体を蹴り続けた。


 「さーて、お次は・・・ククク、その体で俺たちを喜ばせていただくとしましょうか・・・」


 撫子の身体を見て不敵に笑い、手を出そうとしたその時、頭に凄まじい衝撃が走り怪我をした不良は倒れた。


 「だ、誰だてめぇ!!」


 それは奏多だった、制服のブレザーを脱ぎ、鞄を置く。


 「な、なん・・・で?お、お前・・・」


 撫子は震えた声で聞くと、奏多は微笑み答えた。


 「せっかく一緒に仕事終えた後なので、この後一緒にお茶でもどうかと思って慌てて追いかけてきたら・・・うちの制服を着た生徒が集団に襲われていたので助けているだけです。ちょっと待っていてください。」


 奏多は残っている武器を持った不良に掛かっていった。

 軽やかな動きで攻撃を全て避け、相手同士がぶつかって潰しあうという、あしらう動きをしていた。


 「な、なめやがってぇぇぇぇぇ!!!」


 武器を捨て殴りにかかってきたところで奏多はようやく構えた。その不良の首筋にガっと手刀を浴びせるとその場に倒れた。

  

 「さてと、久々だから手加減の感覚を思い出さないと。」


 指の関節を鳴らし、首元のネクタイを緩める。そして次々と武器を手にした男たちを吹っ飛ばし中には明らかに骨が折れている者もいた。


 すると、撫子の体の痺れが次第にとれた、蹴られた痛みはほぼゼロに近いのですんなりと立てた。

 そして、奏多が戦っている相手の背後から飛び蹴りをくらわした。


 「ご苦労!手ぇ貸すぜ!正々堂々の正面からの素手ならこんな奴ら朝飯前だ。」


 奏多もニコッと微笑み共闘した結果、ものの数十秒で全員がゴミ山の様に積み重なった。


 「先輩、行きましょう。そろそろ人が来ます。」

 「ちぇー!この野郎一発殴らねぇと気が済まねぇんだ!」


 奏多は撫子を引っ張って人気のない高台の公園まで来ると撫子の血が滲んだ拳を優しく握り止めた。


 「先輩の拳をただの喧嘩の為に使うのは駄目です。女の子なんですから、もっと自分を大事にしてください!!」


 こいつにじっと見つめられ言われると、もうどうでもよくなってきた。


 「分かったよ・・・じゃあ・・・」


 と戦う態勢に構えた。


 「お前が戦って勝ったら、喧嘩はもう止める!だが負けたら、お前は私の命令を何でも聞けよ!」


 奏多は頭をポリポリと掻き、少し考えると口を開いた。


 「分かりました、御手合わせお願いします」


 こうして、私は全力で戦った。そして結局引き分けという形となり、お互いに言う事を聞くことになった。

 それ以降、私は喧嘩を止め、あいつは私のストッパー兼風紀委員の私の仕事を手伝わせるという約束をした。

 次の日、私は昨日の奏多との決闘での痛めたところをさすり登校した。

 昼休み、私は何時もの時間、何時もの場所にいくとそいつはいた。

 ピアノの音楽を流し、弁当を食べる。


 「よっ!」

 「どうも。」


 何気ない返事だが、返されるだけでも何だか嬉しかった。


 「おい、お前、それ手作りか?」

 「はい、お一つどうですか?」

 「じゃあ、縁了なく、パクッ・・・うめぇ!」

 「良かった。」


 こいつの笑顔は数日前までイライラしたが、今は何故か心地いい、ずっとこの顔を見ていたい。そう思ってしまった。


 「どうしました?顔赤いですよ?」


 顔を近づけられ益々顔が赤くなっていった


 「な、何でも・・・ねぇ。」

 顔を合わせられず、ドキドキしながら奏多の弁当のおかずをパクッと食べた。

 そして放課後、何時もの場所には先に撫子が来ており待っていた。


 「よしっ!行くぞ、()()!さっさと終わらせて帰ろうぜ!」


 これが、私と奏多とのちょっと特殊な出会いだ。


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