テスト!テスト!テスト!①
定期テスト、学生のうちに何度も受けるであろうものだ。
テスト前、大体教科書や資料集、授業プリント、纏めて言うと何かしらのテスト対策のグッズを使うはずだ。
だがこの男・・・靫空奏多は違った。
テスト期間は3日で行われ初日は文系科目、2日目は理系科目、3教科目は音楽や、保健体育のテストだ。
だが、奏多の今日の荷物は筆箱、水筒、弁当、以上
みなピリピリしながら勉強しているわけは奏多のバイト先で生徒会長の発言が学校中に広がってしまい大騒動になってしまっているのだ。
皆と話す雰囲気ではないのでボーっと外を見ていると、この状況下で声を掛けてくれる人がいた。
「靫空君、いつも通り余裕そうね、でもあんまりそんな余裕見せてると失敗するわよ。」
その声の主は高ノ宮 恵里佳だった。
飛鳥の妹でこのクラスの学級委員長だ。
「ご忠告どうも、そういう高ノ宮さんも結構余裕そうだね。」
「まぁね、と言ってもこれでも結構緊張してるんだからね。」
そうは見えなかった。
「ああ、それとさ、此処だけの話・・・パパから聞いたんだけどあの近くの倉庫で逮捕された変質者って1年の蛇屋だって。」
うん、知ってる。
「しかも、足の骨すんごい角度で折られてたらしいよ。」
はい、知ってます、ていうかやったの僕です・・・
「頭も打ったらしくて今は精神病棟に入れられてるんだって、大変だよね。」
それは初耳・・・
「でも、不良に返り討ちに遭ってそんな目に遭うって逆にかわいそうだね。」
「妹に危害を加えようとした奴に同情はしない。」
しかも右肩撃たれたから、なおさらだ!!
「ご、ごめん・・・そうだよね、妹さんが被害に遭ってるんだから・・・」
「じゃあこの話終わり!!もうそろそろ先生くるから席に着いた方がいいよ」
説明が遅れたが、高ノ宮家の父親は警視総監であり母は一流企業のビジネスハイパーウーマンなのだ。
と同時にチャイムがなり皆鞄に教材をしまうと指を鳴らしたり、シャー芯を念押しして入れていた。
そしてテストが始まった。
1時間目は国語、現代文、古文、漢文、3つの種類の問題を60分以内に解くものだ。
2時間目は英語、単語、文法、長文の問題
3時間目は日本史、江戸幕府についての問題だった
そして昼休み、みなドッと疲れているがこの男は何事も無かったように弁当を広げ食べ始めた。
周りを見ると、勉強会組と恵里佳他数人は出来た!と言わんばかりの顔になっていたが、残りの大前などはしくじったと言わんばかりの顔になっていた。
この空気に居るのはしんどいので奏多は弁当をたたみ一人屋上へと向かった。
屋上に行くと先客がいた。
「どうも、草薙さん、どうでした?テスト?」
「あー、奏多か。どうもこうもねーよ!名前書き忘れたことに気がついてよー・・・頑張ったのにぃぃぃぃ!!」
「あー、ドンマイですね。でも、草薙さんが勉強したとは驚きですね。」
「ああ、飛鳥ンとこで連休ずっと勉強会だったんだよ!お蔭で寝不足で今絶不調だぜ!!」
すると、草薙のグ――――とお腹が鳴った。
「あーーー!!購買行くのもめんどくせーーーーー」
「良かったら僕の弁当半分どうぞ、僕はたいしてお腹減ってないのでどうぞ」
と言った瞬間、こちらに飛びついてきた。
「ほんとか~!!じゃ、いっただきまーす!!」
今日の奏多の弁当はローストビーフの余りと大量の芋を使ったフライドポテト、そして紅鮭、高菜、唐揚げのおにぎりだった。
「やっぱり、おにぎり一個で十分です、残りどうぞ。」
と鮭のおにぎりをとりパクッと食べた。
「いや~うめ~!!お前料理の腕すげえな!」
「褒め言葉ありがとうございます。」
と屋上の風を受け奏多は深呼吸をした。
「すぅ・・・・はぁ・・・・・よし!」
奏多は軽くストレッチし体をほぐした。
「ごちそうさまっと!ほい、食い終わったぜ」
「お粗末様です。それでは・・・って、何故腕を掴んでるんですか?」
「お礼してやるよ・・・動くなよ」
とほっぺにキスをされた。
「じゃあな!」
やはり嵐のような人だ。危険とは思っていたがまさか・・・
ほっぺたを触り、首をぶるぶるふった。
「戻るか・・・」
教室に戻り、席に座ると皆奏多に寄ってきた。
「奏多~!!4限目の世界史のここ皆解らねんだ!!教えてくれ!!!」
「ええと・・・ああ、ブリテンの『アーサー王伝説』の問題か・・・確か先生が出るかもしんないってぼやいてたな。」
「ああ!確実な情報だ!出るって!!しかも、1問で10点もくれるって話だ!!ググっても分からなかった!!」
授業中に配られたプリントで答え合わせもしておらずしかもかなり難易度の高い問題だ。
「へぇ、アーサー王伝説、聖杯探索の話の感想を100字程度で書け・・・か」
テストまであと13分、奏多は黒板に綺麗な字でとりあえずアーサー王伝説聖杯探索の件を簡単にまとめた
「聖杯自体はキリストの杯と言われていて話に出てくる漁夫王というものがキリスト処刑に用いたロンギヌスの槍で治らない傷を受けてそれを治せる祐逸の奇跡、それが聖杯。探索成功した騎士は数人、円卓の騎士、確か・・・ガウェイン・ガラハッド・パーシヴァルの3人。他にも諸説が色々あって・・・」
そしてギリギリになって説明が終わり、皆なるほどと、確認していた。
「これは、僕個人の考えだけど、聖杯は人の願いが作ったモノ、目標に達するために、これだけは成し遂げるぞ!というものを象徴したんじゃないかなって。これは関係ないから忘れてね」
そうしてテストは始まった。
皆、ブリテンの問題に関してはすらすら解けたが、問題はその他にあった。
そう、ほとんどがブリテン問題に集中し過ぎて他の問題の事を忘れてしまった・・・そう言った事が起きてしまった。
そしてテスト終了後、奏多は荷物をまとめ颯爽と教室を出た。
「おい!盟友よ、今日は忙しそうだな!」
「うん、今日頼んでたものを取りに行くんだ。明日見せてあげるよ」
と大急ぎで走り、はしゃぐ少年の様に走っていった。
「すいませーん・・・靫空ですけど、注文していたモノ取りに来ました」
そこは、高級モータズショップだった。
「いらっしゃいませ、靫空さま。できております。」
と案内された先には真っ黒な大型のオートバイクがあった
「ご注文の通り、特殊な改造を施しておきました。我らクロノモーターズの最高傑作です。型番号はC‐H‐S1100R最高時速450キロ、サイレントモービルシステム搭載、エンジン音を最大限まで消せ、ご近所迷惑にもならず最高のスピードを満喫できます。ボディも防弾使用、希少であるローデンライトを使用しているのでまず傷すらつくことはないでしょう。あと、ご注文のとおり光彩式のフレームに改造してあり夜だと走ってあることすら周りに検知されずに走れるでしょう。後は、起動キーですがご注文のどおりハンドルを取り外し可能の起動キーにしており暗証番号、指紋認証、で解除となっております。」
もう流石という言葉以外出ない。
「それで、お値段ですが・・・」
と、領収書を見ると普通なら目も飛び出て心臓も止まってしまいそうな金額だった
「じゃあカードで」
と財布からブラックのカードを出すと一括払いで支払いが完了した。
バイクにまたがり、エンジンを起動する。
ハンドルを持つとバイクの振動が伝わってくる
「素晴らしいです。注文どおりだ」
「はい、我らが3か月間努力してまいりました!今後ともよろしくお願いいたします。こちらをどうぞ」
とヘルメットを渡され被った。
「こちらもご注文のとおり最新式の機能を搭載したものとなっております、予備の物も後ろのバックパックにいれております。どうぞ、ヘルメットの横のボタンを押してください。」
ボタンを押すとフルフェイスのヘルメットのスモークミラーがクリアになり目の前の景色がハッキリ見えヘルメット越しにも音がクリアに聞こえる。
最高だ・・・これ以上も無く最高だ
「では、ありがとうございました。またお世話になることがあればまた」
「こちらこそまたのご来店お待ちしております。」
勢いよく飛び出していくバイクを店長は頭を下げ見送っていった。
そしてそのまま学校へと向かった。
今日は奏は日直と掃除当番の為遅くなると言っていたので頃合いな時間だとおもっていた
ちょうど、ドンピシャで奏が見えたので目の前で止まるとビクッとしていた。
「僕だよ、奏、ほら乗せて帰るからこれ被りな。あ、横のスイッチ押してみなクリアになるから」
「お、お兄ちゃん?どうしたのこのバイク?」
「買った。というか注文していた。便利だと思って。」
ポカーンとしている奏の手を掴みヘルメットをかぶせた
「ほら、つかまってな。」
と奏の腕を自分に抱き着かせバイクを走らせた。
家に着くと奏は今だにポカーンとしていた。
幸い家にはガレージを付けているので設備は大丈夫だった。
「お、お兄ちゃん・・・これいくらしたの?」
「うーん、これくらいかな」
と指を一本立たせた。
「え・・・100万円?」
この金額でも正直驚きだが奏多は首を横に振った
「それに、あと0を2個付けた金額。」
それを聞いた瞬間、奏は泡を吹いて倒れた。
「奏?おい、しっかりしろ!!奏!!!」
そしてその夜、奏多は正座させられ奏に約1時間説教されたのだった。
翌朝、今日は午前中にテストが終わるので奏多は弁当の用意をせず、何時もより余裕をもって朝を迎えた。
「おはよう・・・奏、昨日はすいませんでした。」
「・・・もういいよ。ところでさ、1ついいかな?」
「ん?なんだい?」
「あ、あのさ・・・朝バイクで行くっていいかな?」
何だ結局、気に入っていたのか・・・
奏多は苦笑いだった・・・
「良いよ、朝ご飯片付けてさっさと支度しな。」
奏多は先にガレージにつくとキーハンドルを刺し、暗証番号、指紋を認証すると、静かにエンジンが作動した。
「お待たせ~、行ける?」
「ああ、じゃあ、ヘルメット被って。」
と奏にヘルメットをかぶせバイクは勢いよく発進した。
朝の風は心地よく、奏多は朝から絶好調だった。
そして若干のスピード違反を犯し、奏多たちは何時もよりも台分早く学校についた。
奏をおろしバイクを駐車場に停めていると、校門の方からバイクが走ってきた。
「おう、靫空!元気だったか?」
「あ、神野先生。インフルエンザ治ったんですね」
この女性は、神野京子我らの担任であり2週間インフルエンザで休んでいたのだ。
「いやー、良い長期休暇だった!ギリギリ林間合宿には間に合ったし!てか、お前バイク通学だっけ?」
「いえ、昨日買って今日からです。」
「ほー、それにしても・・・かなりイケてるバイクだな!いくらかかったんだ?」
「昨日妹に金額を言ったら気絶して倒れたので言いません。」
それなりに高い値段と判断してたのか、神野も流石に聞くのを止めた。
「それじゃあ、職員室で許可証の手続きの紙渡すわ。ついてきて」
職員室で紙を貰い、必要事項、印鑑を確認し、先生に渡した。
「うん、じゃ早速事務室に出してくるわ。テスト頑張んなよ!」
「ありがとうございます。」
そうして教室に行くとみな窓から駐車場に停めてある奏多のバイクの写真を撮ったり見てたりしていた。
「おお、奏多!あれ見たか?スゲーな!!誰のだろ?」
「ああ、あのバイクは僕のだよ、今日からバイク通学にしたんだ。」
その瞬間皆が一気に奏多に視線が向いた。
「・・・何?皆してこっち見て?」
「いや、何でバイクかなーって、自転車って線は無いのかなーって。」
「速いからね。当り前だろ、車にしようかとも思ったけど、学生には不便だしね。」
「・・・お前、思い切りが良すぎるな。つか、免許持ってたんだな。」
「うん、一応はね、持っていても損はないしね。」
その場に居た全員が思った。
―こいつ、やっぱり天然だ。
皆席に座り、テストの勉強を再開した。
「今日は午前中で終わるしな・・・ねぇ、月夜、轟、今日昼一緒にどうかな?バイト先の店で僕が奢るからさ。」
「おお!気が利くではないか!行くぞ!」
「うん!いいよ!今日は部活ないし!!」
「私もいいかな?ごめんね!話聞こえたから。」
「高ノ宮さん、もちろんだよ!人が多い方が盛り上がるってもんだし。」
珍しいと思ったのか2人とも少し驚いていた。
「じゃあ、まずはテストを片付けよう。」
そして奏多はいつも通りすらすらと解き、今日店で何を作ろうかなぁと考えていたのだった。
「はい!止め!!鉛筆と消しゴム置いて~」
テストが終わり、荷物をまとめ皆で教室を出ると途中で奏たちと合流し校門に向かおうとしていると、校門近くに見覚えのある集団がいた。
つい最近お世話した不良グループだった。
「あっ!奏多さーん!」
リュウがこちらを見つけ近づいてきた。
「ああ、君か・・・みんな先に店に行っていてくれ。」
皆コクっと頷き先に行ってくれた。
「で?何の用かな?リュウ君」
「ちょっと・・・城島さんが・・・・。」
「分かった、行こうか。」
とリュウに連れられバイクに乗り近くの公園に来た。
すると、全員に囲まれ逃げれない体勢になった
「で?何の用かな?僕も暇じゃあないんだ。」
すると、全員が頭を下げた
「お、俺たちをあんたの弟分にしてくれ!兄貴ィィィィィィ!!」
奏多はガクッとなった
「・・・は?弟分?」
「あんたのお蔭で俺たちは謹慎処分で済んだ!本来なら俺たちはムショに入っててもおかしくねかった!だから、恩返しをしてぇ!」
そういうことか・・・義理堅いというか・・・何というか。
「正直言うと、嫌だけど・・・じゃあリュウ君。これ」
とリュウに紙を渡した。
「僕の携帯番号、その番号が掛かった時は全員に集合を掛けて、無いとは思うが僕が君たちの協力を必要していると思ってくれ。」
「は、はい!分かりました!」
『了解です!兄貴ィィィィィィィィィィ!!!!!!!』
奏多は頭を全力で下げる不良たちを放っておいてリュウの肩をポンと叩きこう言い残した。
「君とは気が合いそうだから普通に友達になろう。じゃあね。」
奏多はバイクを走らせ店に出向くのだった。




