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いつもの日常と再会

目を開けると、そこは自分の部屋だった。

目覚まし時計が鳴っている。

朱里は、目覚まし時計を止めると、時間を確認する。

7時だった。

急いでカレンダーを確認する。

今日は、月曜日。

学校に行く日だ。


部屋を出て洗面所に向かい、顔を洗って、歯磨きをして、髪を整える。

思わず、鏡で自分の姿を確認する。

そこには、見慣れた黒い髪に黒い瞳の、いつもの自分の姿が映っていた。

髪は、僅かに、肩より長い程度。

気が付かない内に、少し髪が伸びているようにも思う。


そうだったんだ……私は、夢を見ていたんだ。

なんだか、ちょっと甘くて、とても切ない夢だったように思う。

夢の中で出会った少年――私の初恋の人は、とても美しかった――。

そうだよね、そんなに、何もかも上手くいく訳がないよね。


夢の内容を思い出して、朱里は、少し顔を赤らめる。

気持ちを切り替えて、リビングへと向かった。


リビングには、母がいて、朝食を用意してくれていた。

父は、朝早く家を出る。

母は、父と一緒に朝食を食べるので、朱里一人で朝食を食べるのが日課だった。


朝食を手早く済ませ、学校の準備をしに部屋に戻る。

いつも、前日には準備を済ませるようにしているので、朝は忘れ物がないかの再確認だけだ。

一通りの確認を済ませたら、ベッドの上に座って、少し寛ぐ。

ふと、ベッドの上端にある棚に、本が開きっ放しになっているのに気が付く。


何か読みかけだったっけ。

本には、何もタイトルが書かれていなかった。

本をパラパラとめくって見る。

流し読みをした感じでは、それはある国の王子様に恋をしてしまった天使の話だった。

最後の部分に目を通すと、人間になってしまった天使が、王子様と両想いになるところで、

物語は終了していた。

その後には、少し空白のページがある。


なんだろう、この本、さっきまで見ていた夢と、なんだか似ている気がする?


少し不思議に思ったが、そろそろ時間なので、本を元あった場所に戻し、

朱里はカバンを持って、玄関に向かう。


「いってきまーす」


***


「しかし、本当に、よろしかったのですか?」

傍らの男性が、玉座に腰掛けた女性に問い掛ける。

「ふむ……本来なら、本人に確認してから、元の世界に戻してやるべきだったのだろうが」

女性は、少し複雑そうな顔をしながら、更に言葉を続ける。

「しかし、あの異世界につながる綻びはすぐに閉じそうじゃった。

 あのタイミングで、すぐに元の世界に帰してやらねば、

 次はいつ綻びが出来るのかも分からぬ状態だった故」

傍らの男性が、深く首肯する。

「一緒にいた少年も、一緒にあちらの世界に飛んでしまいましたね」

女性は、苦笑する。

「まぁ、そこは、我々のミスなのじゃが、まぁ、良かろう。

 あの少年なら、きっとあちらの世界でも、上手くやっていけるじゃろうて」


***


いつもの見慣れた教室だった。

教室に行ってみると、横に誰も座っていない椅子と机がある。

あれ、もしかして、転校生が来るのかな。

女の子かな、男の子かな。

どんな子なのか、楽しみだなぁ。


チャイムが鳴った。

先生が入ってくる。

先生の後に、見慣れない男の子がいた。

だが、その男の子の横顔を見た時に、朱里ははっと息を呑む。

あの横顔は――いや、でも、まさか、そんなはずは――。

男の子は、顔を上げ、クラスのみんなの方を向いた。

そして、朱里の顔を見て、一瞬、その動きを止めたように見えたが、

すぐに視線を逸らし、先生の方へ目をやる。


「みなさん、聞いてください。今日は、転校生を紹介します」


それは、私にとって、本当の初恋だった――。


The End

ここまで読んで下さって、本当に、ありがとうございました。

よろしければ、評価など頂けると、大変に嬉しいです。

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