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タワゴト  作者: 星野星華
9/10

人間

死んだ人たちのなかには、殺された人もいる。

人間関係のトラブル、強盗、通り魔、放火、虐待、いろんなニュースを毎日テレビで見る。

自然災害で亡くなることもある。

地震や津波、台風による大雨が原因だったりすることもある。

楽しいはずの海水浴や川遊びに出掛けて、溺れて水死なんていうニュースも夏になるとよく耳にする。


風俗嬢として働く私の周りには、その様々なことによって、親や兄弟姉妹、友人、恋人を失ったことがある人たちがいた。

みんな亡くなる前の日は、普通だったという。

それは当然だと思う。誰だって、先のことを考えて生きている。明確に何をするのか考えている人もいれば、当たり前のように明日がくることがわかっているから仕事に行く、学校に行く、そんな人もたくさんいるだろう。

夜寝るときに、このまま目が覚めないかもしれないとか、誰かに殺されるかもしれないとか、そんなこと考えて眠らないと思う。

仕事をしていたって、「これは明日やろう」と思ってその日を終えたりすると思う。

みんな自分が死ぬと思って生きていない。私を含めて、元気に生きているみんなは。

死に直面するような病気で、ずっと入院している人たちには感じられる事かもしれないが、元気な私たちにとって、死はとても遠いものだ。でもいつか必ず自分に訪れるものだと思って生きている。

私たちは矛盾している。それが人間なのかもしれない。他の動物なら、もっと死を意識して生きているかもしれない。わからないけれど、そう思う。

人間は死ぬことを知っているし、でもそれがいつなのか知らない。でも三時間後や、三日後や、三年後のことを考えて生きる。

私は人間をとても強い生き物だと思った。

とても弱いから夢にすがって生きているのかもしれない、そう思うこともある。

人間は、とても悲しい生き物だ。

私は死ぬことがとても身近に感じられて、ときどき身動きがとれなくなってしまった。

私は何にも依存していなかったが、私の頭のなかを"死ぬ"ことだけが占領していった。

何かに依存しても生きているのが健康なのか、死ぬことを考えて生きているのが健康なのか、私にはもうわからなかった。

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