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リストカット
17歳でリストカットをした時、なぜか笑えた。
悲しくて苦しくて不安でたまらなかったのに。
そんなことをした自分が滑稽で笑えた。
そんなことで死ねるわけない。
でも死のうと思ってやってない。
憂さ晴らしだった。
誰かに気づかれても、気づかれなくても、そんなのはどうでもいい事だった。
最初に気づいたのは彼氏だった。
二歳年上で、優しくて、私を大事にしてくれて、私だけを好きだと言ってくれて、そして凶暴なくらい束縛屋だった。
愛情と執着は違うと言うが、同じだ。
少なくとも私にとっては。
リストカットに気づいた彼氏は怒った。
理由も聞かず、心配するわけでもなく、ただ大きな声で私を怒鳴りつけた。
"死にたいなら首を切れ"
何も言えなかった。
だって死にたいわけではなかったから。
憂さ晴らし。誰かを傷付けるわけにもいかないし、自分なら問題ない。傷なんてすぐに治るし、でも治ったらまた苦しくなる。
…そう思って何度も繰り返した。腕は傷だらけだ。
でも血の滲んだ赤い傷を見ると楽しくなった。やめられなくなった。
今度はリストカットに依存しているのだと思った。




