Number1
佐川美羽は朝から浮かれていた。
「ふんふん♪」
授業中も上の空。
「らんらん♪」
そんなに、朝比奈に彼女がいなくてうれしかったのだろうか。
だが、正直もうそろそろ限界だ。
「美羽~♪」
朋香は、美羽に笑顔で話しかけた。
しかし、目が笑っていない。
さすがに浮かれすぎたと反省する美羽。
「美羽さぁ~、あと1ヶ月で夏休みじゃん?」
朋香は、頬杖をつきながら話す。
「うん。そだねー」
そして、朋香は30秒くらい焦らして、言い放った。
「彼氏ほしいから昨日私に『恋人いるか聞いて?』とか言ったの?」
美羽は『う゛・・・』と、何とも言えない声を発し、
「そうです。図星です」
と言った。
「ふふふ♪で?いつから?あの・・・朝比奈(?)とかいうのを好きになったのって・・・」
朋香は妙に楽しそうだった。
結局恋愛に興味があるのかないのか中途半端なヤツだ。
すると、美羽が少し照れながらも話し出した。
「あれは・・・ちょうど2ヶ月くらい前・・・。雨降ったとき、笠わすれちゃって・・・。
朋香は部活だしどうしようって思ったの。そこに・・・
朝比奈君が来て、『コレ使いなよ』って、笠を貸してくれて!!!!」
美羽は1人でキャーキャー騒いでいる。
「で、好きになっちゃったんだ~?」
朋香はキャーキャー騒いでいる美羽にあきれているようだった。
そんなことは気にせず、美羽は話す。
「そうなの~♪でも、朝比奈君モテるから・・・。私には朝比奈君の彼女はつとまらないかな・・・?」
「え?」
朋香は困った。
こんな会話に免疫がなかったからだ。
「やっぱり無理なんだ~・・・。少ししかしゃべった事ないし・・・」
美羽はあからさまにしょげている。
朋香はついついこんな言葉を言ってしまった。
「だ、大丈夫!!!私にまかせなさい!!!美羽と朝比奈をくっつけてみせるっ!」
その時、朋香は思った。
やっちまった~っと。
(どうしよう。こんな無責任なことを言って・・・。第一、何をすれば・・・。やっぱ断ろう。)
「あはは・・・。な~んちゃ・・・」
『なんちゃって』とごまかそうとしたが、遅かった。
「ホント!?ありがとう~朋香~♪」
美羽は目を輝かせている。
朋香は、結局断れなかった。
「ま、まかせて~・・・」
裏話的なものを一つ。
実は、美羽の初期設定は、おとなしくて、おしとやか。
名前は奈々ちゃんでした・・・。




