表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
美しきモノの目覚め  作者: ccm
目覚め、そして出会い
39/84

39





セドリックの背を優しくさすりながら、アディリナは思いを馳せる。



今日は選択を間違わなかったみたい





初めて夜中にセドリックの涙を見た日から、アディリナはずっと考えていた。


セドリックお兄様を慈し(愛し)んだら、セドリックお兄様も私も慈しんで(愛して)くれるのでは?



そう思ってからのアディリナの行動には迷いは一切ない。


セドリックが何を抱えていようとアディリナには関係ない。




アディリナにできるのは愛し、癒し、その心を自身で埋めることだけ


ただそれだけである。











――――――――――――――――――――――――




ずっと下を向いて涙をこぼしていたセドリックがようやくゆっくりと顔を上げる。


その顔は変わらずに目に涙を浮かべていたが、あの日とは違って不安げに大きく揺れていた。



セドリックを見て、アディリナはやはり変わらずに微笑む。



「お兄様、もう大丈夫ですか?」


セドリックが顔をあげても、アディリナは変わらずセドリックの背を撫でていた。





「…っ」


セドリックは何かを言おうとするが何も言葉が出てこないようで、息を吐き出すしかなかった。


それでもアディリナは微笑みを崩さずにセドリックに寄り添い続ける。


「セドリックお兄様、大丈夫ですよ。ここには私しかおりません。」


セドリックに視線を合わせ、優しく優しく語り掛ける。




「…あっ、あの、ぼくっ…」


必死に言葉にしようとしているようだが、うまく言葉にできず焦っているのが見える。



普段のセドリックとは全く違い、言動が幼い子供のようだった。

その態度も普段の完璧な王子の要素は一切なく、アディリナよりも幼く感じた。



「お兄様、伝えようとしてくださってありがとうございます。大丈夫、ゆっくりで大丈夫ですよ。アディリナは待ちますからね。」



兄の幼い態度に不審に思うどころか、アディリナはなぜか今まで以上に兄が愛しく感じた。


だからこそさらに自身が発する声にもさらに優しさが含まれた。




そんなアディリナの態度に安心したのか、セドリックは言葉足らずになりながら答え始める。


「ぼっ、ぼく、なんでか分からないけど悲しくて…。あのっ、あのね涙も止まらないのっ!」


「そうだったんですね。お兄様大丈夫です。涙が止まるまで私が傍におりますから。」


アディリナは必死に話すセドリックの目を見つめながら、頷く。




「…そっ、それでね。今日もすごくすごく失敗しちゃったの。僕じゃないセドリックだったのに…、失敗しちゃってヨハンにっき、きら…われちゃった…」



その言葉にまた瞳が潤んでくる。


アディリナはセドリックが言う『僕じゃないセドリック』という言葉の意味がよく分からなかったが、それは気にしないように優しく言葉を口にする。



「大丈夫です。セドリックお兄様のせいなんかじゃありませんよ。」


優しく優しく、セドリックの背を撫でる。











そんな2人を穏やかに月明りが照らしていた。











































評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ