↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
美しきモノの目覚め  作者: ccm
目覚め、そして出会い
40/84

40




セドリックの拙い言葉から、アディリナはセドリックとヨハンの間に何かあったのでは?と考える。



2人は母を同じくした血のつながった兄弟である。

それに、今日のヨハンのセドリックの話をした際の取り乱した態度が忘れられずにいた。


2人に何があったかまでは分からないが、アディリナが今すべきことは、はっきりと分かる。



―セドリックお兄様を慈しむ(愛する)ことだけだ―





――――――――――――――――――――――――





あの日から、1週間がたったが、セドリックは変わらず夜中に涙を流していた。


それにアディリナは変わらずに、セドリックの涙が止まるまで寄り添い続けた。



「ぼっ、ぼ、ぼくね、ずっとずっとずーっと、一人だったの。」


セドリックはすっかりアディリナに安心しきったのか、自分から言葉をかけてくれるようになった。


「そうだったんですね。とても寂しかったのではないですか?」



「…うん。と、とっても寂しくて悲しくて。み、みんなぼくに厳しくて怒って、とても、こっ、怖かったんだ…」


目をまた潤ませ、さらに肩まで恐怖を思い出したのか震わせる。


そんなセドリックにアディリナは寄り添いながら、そっと肩を抱いた。


最初こそ驚いて取り乱していたセドリックも今では少し慣れたようだ、アディリナにそっと寄りかかる。




アディリナはこの1週間、夜中の泣いているセドリックに寄り添って気づいたことがある。



理由は分からないが、今自身と会っているセドリックの精神はおそらく自身より幼い。


というより、10歳にもみたない寂しさに泣く子供のようだった。




「それはとっても怖かったですね、お兄様。よく、よく頑張りましたね…」


そう言って慰めるようにセドリックの頭を優しく優しく撫でる。


「…ア、あっ、アディリナはど、どうしてぼくを、おっ…怒らないの?」



セドリックは不安そうだが、意を決したように尋ねた。


この1週間でセドリックとアディリナの距離は急速に近づいた。

アディリナはセドリックが何を言っても、何も言えなくても決して怒ったり、呆れたりすることはなかった。


だからセドリックは確かめたかった。



アディリナがなぜ自分に優しくしてくれるのかを。






「セドリックお兄様、なぜ私がお兄様を怒るのです?」


アディリナはセドリックの質問の意図が分からず、逆に質問で返してしまった。



「え…だ、だって、ぼくは次の王にならなきゃいけないのに、ず、ずっと泣き虫で弱虫だし…。セドリックの方が王子としてみんなに認められてて。…こんな弱虫なぼっ、ぼくなんていないほうがいいんだっ」



自分で放った言葉に、セドリック自身が悲しくなったようでまた言葉に嗚咽が含まれる。




「お兄様は、私のお兄様なのですよ?それだけで私にとっては十分なのです。私も11年も呪いに侵されていて、ずっとお兄様と同じように自分がいなきゃいいと考えていました。…でも、ここに戻ってきてセドリックお兄様とお会いできた。それで良いのではないですか?」



アディリナの言葉に驚愕したセドリックの涙が止まる。









自分はアディリナの兄なのだ。

アディリナはそれだけを、兄としての自分だけを求めてくれる。





アディリナ、

ぼくにずっとずっと、優しくして。お願いだから傍にいて。



ずっとずっと優しくぼくを慰めて。








―お願いだから、ぼくを否定しないで―

























評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。