第三十一限 畢竟、モンスタートレイン
今回も景兎編
次回は鏡花編に入るかも
今、俺は何をしているのだろうか……
あれ、俺は何をしてるんだ……?
なんで俺は……こんな……
「なんでこんな目にぃぃぃぃいいい!!!???」
森の中、モンスターの重厚な足音が、まるで電車を通るかのようにうるさく響く。
その後に、思わず小動物や小さいモンスターは隠れるものもいれば、逃げるものもいて、飛んで回るものもいる。
俺はそのモンスターの足音の先頭で、走り続けていた。
「俺……なんかしたかぁ!!!???」
話は、数時間前に遡る。
◇◇◇
ファイアワークスと別れてすぐの時。
俺はギルドにいた。
いわゆる地方ギルドと呼ばれるものであり、様々な依頼を受けれる場所でもある。
俺はそこで依頼を調達していた。
「討伐依頼がやっぱサクッと終われて良いよな……お、この依頼良いな……あ、この依頼も良いな……」
うーん、ここでも俺を惑わすとは……流石は神ゲーか……
なんて戯言を考えながら掲示板の前にいた。
俺が依頼を迷っていると、一人の男が近づいてくる。
「よぉにぃちゃん、依頼迷ってるのか?」
声のする方向に振り返る。するとそこには筋骨隆々なスキンヘッドがいた。
そのスキンヘッドの頭の上には薄い文字があり、そこには「マッスルーム」と書かれてあった。
「えっと……もしかしてプレイヤーの方ですか?」
「ああ! 俺は筋肉クランの名誉筋肉長 マッスルームだ! よろしく!」
筋肉クラン……? なんだそれは……
「んで? にぃちゃん名前はなんていうんだ?」
「え、あぁ、キョートです。最近始めたばかりで」
「キョートか、よろしく! 最近始めたばかりか! いいね青春だ!」
マッスルームは俺の頭を見る。
正確には、俺の頭の上にある"レベル"を見ていた。
「あーこれは……色々格上と戦ったりして……」
「どうやら色々あったようだな! なら、これは助言だ! 自分と同じレベルくらいの依頼を受けるといいぞ! 自分よりレベルの低いものを受けても効率が悪くなるし、トレーニングにもならん!
逆に、高いレベルのやつを受けても失敗時のデメリットが大きいし、何よりトレーニングにならんからな!」
「え、依頼失敗したらペナルティとかあるんすか?」
「もちろんだ! 所持金がいくらか持っていかれるし、お金がなければ武器を売らないといけない。ただ、一回分のペナルティは一回依頼達成すれば割とすぐに元に戻せるから、そこだけは温情だな!」
「まあ、極力死なないように立ち回れば良いっすもんね」
「そうだな! それに、死なない立ち回りを極めることは頭を使いながら運動をするトレーニングにもなる!」
「トレーニング好きですね……」
「筋肉クランたるもの何事も筋肉だからな!」
「いやでもあなた名誉会長……」
「そうだな……君であればこれとこれ……あとこれか……これを受けてみると良い」
すごい勝手に決めるじゃん。
「なるほど……」
「あ、ただし、絶対全部同時にしてはいけない! それだけで死ぬ可能性があるからな!」
「わかりました」
そう言うと、マッスルームは思い出したかのようにこちらを向く。
「そうだ! フレンドにならないか?」
「フレンド……? あー、それくらいなら別に構いませんよ」
「うむ! ありがとう!」
俺は.マッスルームとフレンドになった。
「うむ! ありがとう! それではこれで失礼! 良き筋肉ライフを!」
「だからなんだよ筋肉ライフって……あ、間違えた」
俺は自分と同レベル帯の依頼8件を全て受けてしまった。
◇◇◇
そうだ! あの時俺は筋肉さん……じゃなかった、マッスルームに気圧されて同じレベルのを全部受けちゃったんだ……そしたらまさかの敵出現ポイントがダダ被り……ってそんなんアリかよ!!
って、うわぁ!! あぶねぇ!!
すぐ横をモンスターの攻撃と思わしき拳が通り過ぎる。
その威力でそこにあった木が粉砕され穴を開ける。
「くっそ……どうにかして逃げたいが……」
モンスターの攻撃は苛烈さを増す。
攻撃を与えようと振り向くと確実に轢かれる。
たとえ同レベル帯であったとしても、図体がでかい敵に轢かれたら低DEFビルドの俺だと一瞬で死亡する。
てか、追いかけてきすぎだろ!
「……そうだ……こいつを使えば……!」
俺はインベントリから『二丁剣 雷電』を取り出す。
「見せてやろうぜ……お前の真髄を! 〈起動〉!!」
雷電には特殊能力がある。
〈起動:電装〉
雷電に貯められているマナを消費し、一時的に使用者に雷属性を付与。同時にAGLにバフをかける。それにより速さは3倍になる。スタミナの消費を3倍になるため注意が必要。
今の俺は! ここにいる誰よりも、どんなやつよりも"速い"!!
俺の速さにモンスター達は追いつくことはできなかった。
亀のような見た目で案外速いモンスター、「ターソル」は、そうではなかった。
「チッ! やっぱお前は追ってくるか!」
あいつは俺が一番最初にちょっかいをかけた相手だ。
その後森の中からワラワラとモンスターが出現したからこうなってたわけだが……
今の俺は……ただ逃げるだけじゃぁねぇ!!
俺は木々をつたい、超速力でターソルの上に行く。
ターソルはが俺を見失ったように立ち止まる。
「おいおい……このゲームのAIはポンコツか……?」
そんなことを言っていると、ターソルが上を見上げる。大きく口を開き、まるで俺を呑み込もうとせんとする。
そんな図体じゃあ俺だけじゃ満足できねぇだろ!
「いつだってなぁ……決まってんだよ……図体がデケェ四足歩行の敵ってのはよ……」
俺は木を蹴り、急加速し、ターソルめがけて落下する。
「その傷のある背中が弱点だってなぁ!!!」
ターソルが激しく咆哮する。その衝撃で周りの木々が揺れ動くのを感じた。
「行くぜ……! 〈兎斬〉!!」
俺は雷電を顔の前に持ち、落下の態勢を取る。
頭からの落下。失敗すれば確実にHPがなくなる。
いいじゃねぇか……ひりついてくるぜ!!
「おるぁぁぁぁぁぁあああああ!!」
俺は傷を目掛けて斬撃を放ち、切り刻む。
その攻撃にターソルはよろめく。だが、その攻撃を喰らってもなお、ターソルは俺に咆哮を浴びせようとする。
「まだまだぁ!!」
俺は手を休めず、ひたすらに切り刻む。
ターソルは最初こそ動揺していたものの、その後は俺をひっぺがそうともがき、攻撃をしかける。
しかし、その攻撃は当たる前に止まる。
「言っただろ……〈起動〉したってなぁ!」
この起動した時から俺の全ての攻撃が雷属性となる。そして、雷属性の攻撃は全てある効果がある。
それは「感電効果」。一時的に麻痺のような状態になり、攻撃が止まる。ただこの行動1回のみと言う効果であり、付け続けなければいけないため、使い勝手はそこそこだが強い効果である。
「これで終わりだ……兎断!!」
俺は、最後の一撃を加える。
その攻撃で、亀は悶え苦しみ、そのまま倒れ伏す。
そして、亀は動かなくなった。
「俺の………………勝ち……だぁ!!!」
切り刻まれた背中はボロボロであり、その様は歴戦を表すかのようになっていたが、そこにあったのは大きな亀の骸であった。
その骸は、そのまま粒子となり、ドロップ品へと姿を変える。
「よし……ターソル、攻略完了!!」
だが、そこで安心しきっていると、まだまだ甘い。
「これを後7回もするのか……くっそ過去の俺……! なんでしっかり7回クエスト受注してるんだよ……!! 日が暮れるぞ!? こんなの!」
俺は森の中を駆け出し、モンスタートレインの中へと入っていった。
〜〜〜
「依頼達成です! それでは、ここで報酬を……」
「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……よ、よろしくお願いします……」
こんなのいくらスタミナがあっても足りねぇわ……
流石にキツい……
俺は8個全ての依頼を達成し、今ギルドで受付を済ましているところだ。
受付さんが話しているのを流し聞きしながら、俺はスタミナを回復させていた。
時刻は午後7時を回っていた。
もうそろそろご飯の時間だろう。今夜は流石に行かないとまずい……
「ここでログアウトするか……」
俺は一度ログアウトした。
ついでに言うと、報酬はめちゃくちゃ美味しかった。
31話でした。
もうちょっとで折り返しです。
そういえば、まだ時間は3日位しか経ってないんですよね。作中では。
あれれ、おっかしーぞー?
14日はあるんだよねぇ?
そうなんです。14日あるんです。
勢いで書くことが多いのでバグが発生することがあるんですよね。よくないところです。
バグとか見つかった時は是正とかしてきます。
頑張りますので応援よろしくお願いします。




