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フロンティアグリーディア〜今日と今日から〜  作者: 無食子
憂越は鬱りて、尚陽炎を見ず
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第十七限 測定結果、測定不能

鏡花回です。

私たちは授業を受けている。

現実の学校は夏休みに入ったが、ゲームの学校はまだ3日目なのだ。


「2人ともある程度の前知識は身につけたと思います。ですので、今日はより実践的なことをしましょう」


「実践的なこと?」


「でしゅ?」


アルト先生は言う。


「実践使用時に必要なことですよ。魔法を知るよりもまずは、己を知ることを大切にしないといけません」


なるほど、確かに。

自分を知ることは大切だ。自分はどう動けて、どう立ち回れるかということは、ゲームにおいてだけじゃなく現実でも大切なのだから。


「ですので、お二人がどのような属性魔法が得意か……これを見極めていきましょう」


……ん?


「……えっと……質問いいですか? アルト先生」


「ええ、どうぞ」


「属性魔法に得意不得意とかあるんですか?」


「えぇ、もちろんですよ。皆さん自分の得意な魔法を重点的に覚えるのです。無闇に覚えても扱い切れるわけではないのですよ」


はぇ〜……全然知らなんだ……こんなこと攻略サイトに載ってたかな……


「お二人とも、ついてきてください。」


そう言われてついていくと、ある部屋に着いた。


「ここは実験室でして……ここにしかその設備をおいていないんですよ」


設備……? なんだろう……


私がそう考えていると、その設備とやらが私たちの前に姿を現す。

それは、謎の水晶の周りに謎の試験管のようなものを置いたものであった。

試験管の数は7本。水晶は球体であり、まるで占いでもするのかと思うような形である。


「わぁお……」


「なんか……すごいでしゅ……」


「これ、高いんですよね。なので無理に持ち運ぶのは厳禁なんです。なので、ここにくる必要があるんですよ」


「なるほど〜……」


私たちがこの謎の装置について吟味していると、苦笑いしながら先生は言う。


「これは『源祖適合測定器』と言いまして……人の体内のマナが何と結びつきやすいか……というのを視覚化する装置です。ざっくり言うと、さっき言ったように得意な属性魔法を調べる装置ですね」


「それを……今日はすると?」


「ええ、そうです。難点なのが、この装置は使う際3分ほど触れ続ける必要があると言うことでしょうか……」


そりゃまたすごい難点……

すっごい辛いじゃん、3分同じ体勢は。


「ということで、早速お二人とも、しましょうか」


まずはレイちゃんからすることになった。

レイちゃんが水晶に触れる……すると水晶が光出し、試験管の中の色が変わり始める。

赤、青、黄、緑、茶、白、黒……全ての試験管が一斉に色づく。

少しずつ上下するように変化していき、やがて止まる。

そして、水晶の色が変わる。水晶は、赤く色づいた。


「赤……なるほど……レイさん。あなたは火属性魔法が得意なようですね」


レイちゃんは火属性だったか……

確かに前の授業で出したボルフレアはフレアの上位互換だし、すごく威力が高く見えた……得意なのも納得か。

ただ……たしかに水晶には赤く表示されているが、試験管の方にも色が残っている。


「あっちの色はどんな意味があるんですか?」


「あちらの色はですね、レイさんの持つマナがどの属性とどれほど反応しやすいのかをわかりやすくしているものです。そうですね……レイさんの場合、火属性が100、水属性が20、風属性が60、土属性が60、木属性が50、光属性が0、闇属性が10ですか……一般的な数値ですね」


へぇ……そんなのがあるのか……隠しパラメータか?


「ちなみにその数値はどう言う意味が……?」


「そうですね……端的に言うなら、100に近いほどマナの反応速度が早く、0に近いほどマナの反応速度が遅い……0は才能ナシというわけですね。反対に100はその才能が大いにあるということです」


なるほど……100は天才レベルってことかな?


「レイちゃんすごいね! 火属性の天才だって!」


「ありがとうでしゅ。でも、少し疲れたでしゅ……」


疲れた……?


「あ、言い忘れていました。この検査キット、測定中に少しマナを吸っていくので、注意してくださいね。違和感を感じたらすぐに言ってください」


「そういうのは先に言ってください!!」


「あはは……ちょっとしたドジですよ」


「もう……これでレイちゃんが倒れてたらどうしてたんですか……」


「あはは……申し訳ありません」


ということで、次は私の番だ。

レイちゃんの測定結果が残っていたため、少しだけ待ち、その後私の測定が始まる。


2人に見られるの……少し恥ずかしいな……


私は手を翳す。すると、先程レイちゃんの時に見た通り、水晶が光を放つ。それに連動するかのように試験管も光る。

赤、青、黄、緑、茶、白、黒……全ての試験管が一斉に色づく。

少しずつ上下するように……


『あなたはとても器用ね……』


(!!?)


突然、頭の中から声が聞こえる。

その声は、ゆったりとした女性のような声だった。


(あなたは……誰……?)


『そんなことはどうでもいいの……まずは目を閉じて……』


(そんなことって……)


そう思いながら、私は言われた通りに目を閉じる。

目を閉じたはずなのに明るく感じる。目を閉じたはずなのに視界がある。そこは、不思議な空間だった。


『あなたは……そう……ミライって言うのね……はじめまして……』


そこにいたのは、白い羽衣を纏った謎の女性……「神のような」と形容できる存在がいた。


(えっと……神様……?)


『あら、私は別に神様じゃない……でも、それに近いかもしれないわね……』


(誰……? なんでこんなところに……? 何かイベントフラグでも踏んだ……?)


『あら、あなたは遠い遠い世界から来たのね……』


(!? このゲームのメタを持ってる!? こんなイベントがあったなんて……!)


『ここに来たのはあなたがはじめてよ……? 私はあなたのことを気に入ったの……ミライ……』


なぜこんなところに来たのか……それはわからない。ただ一つ言えるのは……ただものではない……ということだけだった。


(上位存在……ってこと!?)


『まあ……そうとも言えるかもしれないわね……』


思考を読み取り、メタを認知し、プレイヤーの意識を飛ばす……明らかな上位存在に私はワクワクを覚えた。


『あなたに話があるの……ミライ』


(話……?)


『あなたは今後、全ての罪と向き合うことになるでしょう。ですので、あなたに新たな力を授けたいのです。』


(ほえ? つまり……強化イベントってこと?)


『そう言うことです。どうしますか……』


(うーん……どうしよう……)


私は少し悩み、答えた。


(……いや、要らない。私にはキョートっていう強化パーツがあるから。それに、そんなに補助輪つけてもらっても、クソゲー好きには物足りないからね!)


謎の女神? は少し沈黙した後に言う。


『なるほど。その答えをたしかに受け取りました。』


(うん! なんか誰かからの命令みたいな感じなのかな?)


『ミライ、あなたは口に出さないだけで随分とお喋りで聡明なのですね』


(う……うるちゃい!!)


痛いとこを突かれた……

次の瞬間には、また元の暗闇が広がっていた。


私は目を開く。

すると、アルト先生は絶句していた。

レイちゃんはなんかはしゃいでいた。


「あれ? なにしてるんですか?」


しっかりと水晶は光って……あれ?


「そのですね……ミライさん、あなたが目を閉じた後、突然水晶が割れました。」


ほえ?


「一応最後に見えた結果としましては……青色でしたので……水属性の適正があるということ……でしょう……」


なるほど……


「ただ……試験管の方にも少し異変がありまして……」


異変……? 何があったんだろうか……


「それがですね……青色が200%になりました。それとその他の色も60%以上という結果になりました。」


はえ?


「ミライさん……はっきり言うと、貴方は天才です。こんな数値はカトラリー・アルスさん以来です」


あれれ〜????


「つまり……?」


「全ての魔法を網羅しましょう。」


あれれれれれ〜〜〜????

人の話聞いてた!? なんで!?

この……このぉ……


「か………神様のバカヤロー!!!!!」

なんかなろう系っぽくなってきましたね。

まあ、鏡花はこれ以外にも制約が設けられたりするので、一概に無双できるとはならないんですけども。

次の話ですが、ようやくお花狂いが登場します。

勝手に動きそうなので、想定通りの挙動ならおとなしめな感じなのですがどうなんでしょうかね?

お楽しみに

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