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フロンティアグリーディア〜今日と今日から〜  作者: 無食子
憂越は鬱りて、尚陽炎を見ず
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第十八限 打ち上げ花火、アクトレス

眠さと引き換えにアイデアが浮かんできた存在! スパイダーマッ!

「というわけで、レイさん、ミライさん、お二人には自分の得意を伸ばしましょう。レイさんは炎属性の魔法を。ミライさんは……本当は全てと言いたいところですが……まずは一番適正が高い水属性から行きましょう」


「わ、わかったでしゅ!」


「はーい……」


と言っても、私が覚えている水属性魔法は二つだけだ。

一つは水属性魔法【アクアバルーン】。

大きな水泡を作り出し、防護膜にしたりクッションにしたりできる魔法だ。

サマルテGT戦で、キョートの反動を打ち消すために使った魔法でもある。

もう一つが水属性魔法【ウォーターヒール】。

対象を回復する水を作成できる魔法だ。

この魔法は覚えたてだし、ほとんど使ってないからどれくらい回復するのかとかいまいちわかってないけど、多分強いだろう。


「今日は修練室を借りています。ここでは、魔法を撃っても構わないので、じゃんじゃん撃ってください。また、敵との戦闘を想定した戦いをしたい場合は別途案内しますので言ってくださいね」


「はーい」


「先生はここのベンチに居ます。もし、わからないところがあれば、先生に聞いてください。私が手取り足取り教えますので」


ということは……今は自習という感じか?

魔法を撃ち続けて感覚を掴む……これがこの授業の目的なのだろうか。


「んじゃ、やってみよっか!」


「でしゅ!!」


私は杖を、レイちゃんは武器を取り出した。

すると、的が出現する。この前の授業で使った的だ。


水魔法といえば……まずはこの魔法だろう……


「【アクアバルーン】!!」


そしてこの中に……


「【ウォーターヒール】!!」



回復する水がたくさん入った大きな泡が出てきた。

が、その泡はすぐに割れてしまう。


「ぅあ!? くぅ……失敗かぁ……」


「次は私でしゅ!! 【ボルフレア】!!」


レイちゃんは、激しく燃える炎を出現させる。

だが、その炎は的に当たる前に消えてしまう。


「でしゅぅ!?」


その後も私たちは同じ動作を繰り返す。

結果としては、レイちゃんの【ボルフレア】は範囲が広くなったが……


「んぁぁぁあ!!? どうして成功しないのぉ!?」


私の【アクアバルーン】は成功することはなかった。


「自分の課題が見えてきましたか?」


「見えてきましたよ……すっごく」


「でしゅ!」


「今日はここまでとします。お二人も疲れたと思いますので、ゆっくり休んでくださいね」


というわけで、私とレイちゃんの授業は終わった。


「なんか今日早く終わったね」


「そうでしゅね……これからどうするでしゅ?」


「うーん……2人はまだ学校っぽいんだよね〜……だからちょっと暇になったね〜……」


学校では魔法は使えない……いや、前に学校で魔法使ったけど、あれは緊急事態みたいなもんだし……


「……あ! そうだ。せっかくだし、キョートに会う?」


「……! 会いたいでしゅ!!」


「よし! そうと決まれば! キョートのとこに行こ〜!」


少しするとキョートを見つけた。


「あ、キョートいたいた〜! ってえっと……」


そこには、端正な顔立ちをした美人さんがキョートの後ろに立っていた。


「えっと……どちら様……?」


◇◇◇

話は少し遡る。

俺は今、魔導学府へと帰っている。

学府へは、門を通る必要があるが、犯罪者とか以外は簡単に通れるようになっている。


「まだ2人は授業だろうが……まあ先に帰ってら方がいいよな……」


俺は門をくぐるために歩いていく。

すると、前から1人の女が歩いてくる。


(なんか感じたことある雰囲気が……まあ、気のせいだろ……)


チラリとその女を見る。明らかにNPCではない武具装飾。そして、頭の上に名前がある。そこには、"ファイアワークス"と書かれていた。


ほっ……なんだお花狂いじゃなかったか……


俺は通り過ぎようとしたところで、あることを思い出す。それは、ネイチャー、そしてお花狂いと話していた時のことだった。


「そういえばお花狂い、お前、なんでそんな名前なの?」


「え? どうしたのキョートくん。うーんまあそうだねぇ……そりゃ、お花に関係する名前じゃないとね」


そこにネイチャーが聞く。

「へぇ〜、じゃあ例えば"花火"とかもつけるの?」


「それはお花じゃな……いや、ありだね」


「え? ありなの? なんでもありだな……」


あれ……そういえば……ファイアワークスって……てかあの顔……まさか……!?


「やぁ? "キョートくん"」


「お前まさか……お花狂いか!?」


「アッタリ〜。今はファイアワークスって名前だけどね」


今一度ファイアワークスをよく見てみる。


端正な顔立ち、高い頭身、そして緑の髪にツタを巻き付かせた謎の装飾……間違いない……お花狂いだ……


「これからはファイアワークスで呼ぶように」


てかこいつくるの早すぎだろ! 俺教えたのさっきだよな……? いや、2時間近くは経ってはいるのか……だとしても早いな!?


「お前……なんでこんな早く来れるんだよ」


「いやぁ、いくらキョートくんといえど流石にそんな早くいろんなところ行けないでしょ? だから居るとしたらとして目星つけておいたの。」


こいつ……頭は回るようだな……


「んで? お噂の女の子ってのはどこかなぁ?」


出たな……その話題……


「今は居ねぇよ。多分、魔導学府内で行動してるんじゃねぇかな」


「えー? 一緒に行動してないのー?」


「してるわけねぇだろ! なんでわざわざ一緒に行動する必要があるんだよ!!」


「だってねぇ? 私が会いにくるって言うのに会わせないってのはどうなの?」


「お前は人のリアルをズカズカと覗くな! リアルではお前の方が覗かれたくない奴だろ!」


「いやぁ、リアルを持ち出すのは卑怯だよ〜キョートくん」


お花狂い……奴のリアルの顔を俺は知っている。

奴の正体、それは若き売れっ子女優「禍崎(わささき) 操花(そうか)」だ。

6年前、当時18歳であった奴のデビュー作、「君はゲームの虜ロール」で主演を務め、瞬く間に一世を風靡した天才売れっ子女優だ。特に、可愛さからくる狂気的な演技がお茶の間にクリーンヒットした。

そんな奴となぜ知り合いなのか……まあ言うなれば腐れ縁なのだが……


「えー? もしかしてあの所業を教えたくないとかぁ? 大事な彼女さんを失望させたくないとかぁ?」


ファイアワークスは、煽り口調で言ってくる。


「んなわけねぇだろぉ!? 第一、あいつは彼女じゃねぇって何度言ったらわかるんだお前らは!!」


「まぁまぁ、とにかく中には入ろうか」


なんだこいつ……ほんとに調子狂うな……

とりあえず、魔導学府の中に入りたいのは俺も同じだったので、魔導学府の中に入ることにした。


「ってか、なんで来ちゃったんだ? 仮にも女優ならもっとこうファンを大事にするとかないのか?」


「それはちゃんと考えてるよ。でもね、私はプライベートと仕事はきっちり分けるタイプだから」


だからなんだよ……俺がキツイって……


「ってかお前、なんだその蔦、装飾品か?」


「あ、これ? これはね、樹麗族(ドライアド)っていう種族になった時の特典だよ」


樹麗族(ドライアド)? そんなのあんの?」


「それがあるんだよね。元々は別の種族だったんだけど、"種族進化(ハイクラスアップ)"してね」


「……なんだそれ」


「あ、そっか。キョートくんは始めたてだもんね。種族進化(ハイクラスアップ)ってのは、種族を進化させること。

人間以外の全ての種族が持ってる可能性があるものなんだけどね。

その代わり種族毎の特性が強くなっちゃって噛み合わせが少し悪くなるかもしれないんだよね」


なるほど……


「んじゃ、俺はここから宿に戻るから」


「えー? せっかく会いに来たのに〜」


「お前はお呼びでない」


「いいじゃん、その噂の子に会わせてよ〜」


「お前がいると面倒なことになるんだよー!」


「面倒なこと? 浮気疑われるとか?」


「んなわけねぇだろ!」


とりあえず俺はどうにかしてファイアワークスを引っ剥がそうとした……が、あいつレベルが高すぎる……

今のファイアワークスはレベル100。どうやらレベルは100でカンストするらしい。つまり最高レベルってわけだ。そりゃ勝てるわけないわ。


「んもう、わかったよ! そこまで言うなら会いに行くぞ……」


「キョートくん、わかってるじゃーん」


この女優うぜー……こんなのパワハラだ! モラハラだ!

……まあ、あんま意味分かってないで使っているからあれだけど、とりあえずミライに会いに行くことにした。


◇◇◇


「えっと……こいつはファイアワークス……前言ってたネッ友だ」


「よろしくね〜」


たしかにキョートから聞いてはいた。

キョートにはネッ友が何人か居ること。その中でも2人、キョートの口からよく聞く名前があること。

ただ……さっきの声……女性の声だよね……?


「キョート……まさか女の子の友達が居たなんて……」


「でしゅ……?」

もうそろそろ七不思議編、動きます。

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