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今まで頑固になっていたせいか、ばれてしまってからのエドワードは遠慮がない。
毎日花を送りこれでもかと甘い言葉の連続の手紙を添える。
月1回約束されていたお茶会は継続しつつも関係なしに会いにくる。
学園の冬休みが終わると、エドワードやシモンは高等部卒業がもう間もなくとなり、卒業後は王宮での執務におわれることになる。ソフィアも中等部を卒業し高等部への入学を控えている。自由にできるのは今しかないと時間があればソフィアの元にやってくる。
時間が足りないと思ってるエドワードは、今ソフィアからの報告に驚きを隠せない
「領地に戻る?」
「はい。マギーの結婚式があるんです」
「それはおめでとう。でもなんで領地?」
ソフィア付きメイドのマギーは元々スタンリー伯爵が治める領地の出身で、結婚相手の幼なじみも同郷である。
「お相手の方がサイモン子爵家で働いているので、お披露目パーティを子爵家で行うと…」
「サイモン子爵家?ダメ!絶対ダメ!!」
ソフィアが言い終わるより前にエドワードが叫ぶ。
「なぜですか?」
まさかソフィアに想いをよせるダンがいるからとは言えず、遠いし時間ないしね…と小さい声で答えるしかなかった。
「我が家の領地は馬車で3時間かからないくらいです。2日程で戻ってきます」
「うっ…じゃあ僕も一緒に」
「無理です」
シモンがにっこりと答える。この側近は職務に対して容赦がない。出発する日が決まったら教えてとこの日は帰ることにした。
◇◆◇
──サイモン子爵家でのパーティとかありえない!絶対ダンがソフィアに近づく!ダメだそんなの耐えられない!ダンス踊る気だし手も握るだろうし!!着飾った可愛いソフィア見て浮かれて何かするかも!!
あー想像するだけでも耐えられない!!
阻止してやる…
「イオリオ。君たちが使ってる早馬ならどれくらいかかる?」
『1時間と少しぐらいです』
エドワードの自室、エドワード以外誰もいないのに声がする。
──それならなんとかなる…ついでに…
◇◆◇
「2日間じゃないのか…」
ソフィアの手をにぎりながら拗ねるようにエドワードがつぶやく。
「申し訳ございません。お父様の名代で行くのであちらでやることもありまして…でもちゃんとお役目をはたしてまいります!エドワード様の婚約者として認めてもらえるように頑張ってきます」
誇らしげに宣言するソフィアにまだそんなことを…と思いながら
「あまり無理はしないようにね。」
「後…パーティーとかなるべく…絶対ダンとは…いや…うんあの…」
くすっと笑ってそっと手を離し
「いってまいります。エドワード様」
ソフィアは馬車に乗って出発した。
あー心配だ…やっぱり一緒に行くべきだったか…でもまだやることあるし…
ブンブンと頭を降ってふりかえる。
「シモン!急ぎ戻るぞ」
「はいはい。しかし本当に…」
「やると言ったらやるぞ」
急げ!と先に歩き出す。迷いない背中を見ながら、エドはこうなると止まらないな…と諦めて姿勢を正しあとをついて行く