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朝馬車で出発して、休憩をとらながらゆっくりと向かったので3時間以上かかったが、ソフィアたちはスタンリー伯爵領地の屋敷にたどり着いた。


「ソフィア様!お疲れ様です」


「マギー?もう…花嫁さんがどうしてここにいるのかしら?」


「私のために来ていただきありがとうございます。本当に…」


「ふふっ。マギーは私のお姉さんだもの当然よ。明日楽しみにしているわね」


今回一緒についてきたダリアが持ってきた荷物の運び先を指示している。そちらは任せて中に入る。本邸程ではないがこの辺りでは大きな屋敷の1階にある応接室に入りソファーに座りふーと息を吐く。


夜に最終確認をかねてサイモン子爵家に行く事になっている。そのため昼食は控えるつもりだ。明日はマギーの結婚式と披露宴、さらに次の日は領地内視察をスタンリー伯爵の代わりにする予定である。


ソフィアは本来伯爵夫人がする仕事を1年ほど前から担ってきた。同じ頃ソフィアの1歳年下の従兄弟がソフィアが結婚して家を出た後に伯爵家に養子に入り、後を継ぐことに決まった。明日はその従兄弟の紹介も兼ねているので責任重大だ。ソフィアは今から緊張している。


しばらくマギーやダリア、久しぶりに会った使用人たちと歓談しマギーが帰る時間と合わせて子爵家へ向かう。




◇◆◇



「ソフィア!」


短めの黒髪、黒い瞳のダンが手を広げやや大袈裟に迎える。小さい頃から父親について領地に遊びに来ていたのでダンとは幼なじみに近い関係である。


「お久しぶりですね。ダン様」


「そんな他人みたいに…呼び捨てでいいのに」


18歳なのに幼い少年のように笑うダンにつられてソフィアも笑う。

その様子を後ろから見ながらサイモン子爵が息子の肩を掴み後ろに引く。わぁ…と後ろに転びそうになりつつ父親を睨む。


「ソフィア様。おつかれのところ、こちらまで来ていただき申し訳ございません。後、愚息が失礼いたしました」


「いえ、我が家のメイドの為にありがとうございます」



とりあえず中へ…と案内され、明日使うホールや食事の確認など事務的なことを素早く済ませる。子爵家でかなり用意してくれ、完璧な準備になっている。

そのままの流れで食堂に案内され豪華な夕食をいただく。食後のお茶も終わりそうな頃


「細かいところはダンが担当しております。何かあればこき使ってやってください。当家に仕えてきてくれたユンの為、協力は惜しみません。」


「サイモン子爵本当にありがとうございます。明日もよろしくお願いいたしますわ」


少し席を離れるという子爵に改めて礼をし、ソフィアはダンと向かい合う。


「本当にありがとう。明日楽しみにしています」


「任せてくれ!ユンはずっと俺の面倒を見てくれてたし絶対成功させるから。…でさ、良ければパーティーで俺にエスコートさせてくれる?ダンスも踊ってくれるかな?」


「あっ…えっと…そのお誘いは…」


エドワードを思い出し受けない方がいいかなと


「え?ダメなの?どうして!!」


ガタっと音を立て机に手を付き立ち上がる。



そのままソフィアの顔を真っ直ぐに見つめ、まさかと込み上げるものを我慢しながら尋ねる…。






「エドワード殿下に何か言われた?」



「実は…」


恥ずかしそうに頬を赤く染め微笑むソフィアに、自分の心臓がぐにゃっと潰れそうになる感覚を必死に耐える。

ずっと殿下の話になると苦しそうな泣きそうな表情をするソフィアを、解放してあげたくて寄り添ってきたつもりだったので嫌な予感しかない。



「…ソフィア…?」


「殿下にはずっと泣かされてきたよね?」




違うと、自分が思ってる事は間違ってると言ってくれ…



「まさか…」


頼む…何も言わないで…嫌だ…





「殿下との婚約を認めてもらえたんです」






ソフィアは幸せを噛み締める様な、今までダンが見たことがない綺麗な笑顔で答えた。

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