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街の中心にある協会でマギーとユンの結婚式はたくさんの人に祝福されて行われた。

愛を誓う2人はとても輝いていて幸せいっぱいなのが誰の目から見ても明らかだ。

誓のキスが終わると溢れんばかりの拍手がおこる



──今日のマギーはとても綺麗


ソフィアは光の中で輝いているマギーに拍手を贈る。


式のあとはサイモン子爵邸にそのまま移動すると言うのでソフィアは一足先に馬車で移動する。そこには従兄弟のマリウスも一緒である。


「サイモン子爵、従兄弟のマリウスです。私の弟になる予定なので今後もよろしくお願いいたします」


「はじめまして。マリウス・グロスターです。」


人との繋がりは広く持つ方が何かと有利になる。地盤となる領地から顔見せは必要だ。


「ダンもよろしくお願いいたしますね」


「え?…ああ」


まだ複雑な表情でソフィアを見つめる。


「ソフィア…あの…」


何か言いかけた時、教会での結婚式の後歩いて移動してきた人たちがホールに入ってきた。一気に人が増えたのでソフィアたちは場所を移動する。主役の2人がホール中央に立ち周りを人が囲む。サイモン子爵が少し高くなっている上手舞台から


「2人の結婚を心から祝福する。今日はみな遠慮せず楽しんでくれ」


わぁと歓声が上がり同時に音楽の演奏もはじまる。ユンとマギーが手を取り合い音楽に合わせて踊り始めるとそれが合図だったようにみんなが踊り始める。貴族が踊る綺麗なダンスではないが、音にのせ楽しそうに踊っている。


「マリウスも混ざってきたら?」


「ソフィア姉様…今日僕はここにいるだけで緊張しているのに…意地悪だな」


「これも経験よ」


ふふっと笑いながらマリウスの手を取って輪の中に連れ出す。背中をちょっと押して前に押し出すと、周りみんながマリウスを引っ張って一緒に踊り出す。普段ならありえない事だろうが今日は特別である。

そんな従兄弟を楽しそうに見ているソフィア、視線に気づいて横を見るとダンがいた。


「ソフィア…」


「ダン?どうかされました?」


まだ2人の距離は離れていたが、ダンはぐっと手を握りしめ歩き出しその距離を縮める。


「俺やっぱり…」



ソフィアの手を取ろうとしたその時、何もなかった2人の間に誰かが割り込む。




「残念だが、ソフィアは僕と踊るんだ」



「「 殿下!! 」」


ソフィアを自分の背中に隠しダンから見えなくしてさらに続ける。


「ソフィアと僕の婚約は正式に認められた!これ以上は近づくな」


「なっ!!まだ…まだ正式発表されてませんよね!まだ俺にも…」


「無理だ!()()()()を今持ってきた」


誇らしげに胸をはり書簡を目の前に出す。


「さて、子爵にこれを渡して…ソフィア踊ろう!」


「エドワード様!え?ご自身で持ってこられたんですか?」


「そう、早くしらせたくてね」


じゃあ行こうかとソフィアの肩を抱き移動しはじめる。少し顔を後ろに向け睨みつけるように目線を合わし




''あ・き・ら・め・ろ''



と声を出さず口だけ動かしてダンから離れていく。

残されたダンは唇をかみ少し震えながらそのままその場に立っていたが、しばらくしてホールから出ていった。




◇◆◇



挨拶もそこそこに子爵に書簡を渡し、もう一度ホールに戻る。


「待ってください!エドワード様!」


「何?ソフィア」


「ちょっと私まだ驚いていて…」


「後でゆっくり説明するね。それより先に踊ろう!」


最高の笑顔を見せソフィアをエスコートしてホール中央まですすむ。今までそこで大勢が踊っていたが、いきなり現れた王族にサッと場所をあける。2人が踊り出すとその優雅なダンスに見惚れる。


1曲踊った後エドワードが主役2人に


「結婚おめでとう。あとは2人に任せる」


わぁと先程よりさらに大きな歓声がおき、拍手の中エドワードとソフィアはその場から離れる。



その様子をホール入口からダンとシモンが見ていた。


「とんでもないな…殿下は」


「本当にね。付き合わされるこっちがもたない。…ダン、君は大丈夫か?」


大丈夫ではないがしょうがない…と。

エドワードといると泣きそうになっていたソフィアが今は幸せそうに笑っているからそれでいいとそう言いながら、急いで来て疲れているシモンに飲み物を手渡す。


どれくらい時間がたったのか、用意していた食べ物も飲み物もほぼ無くなった頃、楽しかった披露宴は終わりをむかえた。お客を全て見送ってからマギーが急いで主人のところまでやってくる。


「ソフィア様、本当にありがとうございました」


「マギー本当に今日は綺麗だわ。幸せになってね」


結婚後もソフィアのメイドは続けていく予定なのでまた屋敷で会えるからと、マギーたちとは別れ、子爵にも礼を伝え(ダンには会えなかったが)エドワードと共に屋敷に戻ってきた。






「驚かせてごめんね」


「エドワード様先程の書簡は…」



ソフィアが領地へ行くと聞いてから、父親である国王とソフィアの父親と話をつけ国内全てに発表できるようはたらきかけ、全ての準備をして1番早く仕上がった書簡を早馬を使い届けにきたのだ。


「明日にはもう戻らないとダメなんだけど…」


「殿下がお泊まりになるとは思っていなかったので何も準備が…」


「一応…知らせておいたんだけど」


ちらっとダリアの方を見ると


「はい。お部屋の準備はできております」


「ダリア?知っていたの?どうりで荷物が何か多いなとは思っていたけれど…」


申し訳ございません。っとダリアは頭をさげる。


「僕が内緒にって頼んだからね」



もっと話をしたかったが、早馬で来たエドワードを気遣い早めに切り上げそれぞれ休むことにした。

翌朝食事を終え、ゆっくりする時間もなくエドワードとシモンは帰る支度をしている。


「お気をつけてお帰りください」


「ソフィア早く帰ってきてね」


エドワードはソフィアの頬にキスをして少し離れる。真っ赤になっているソフィアを見てもう1度と近づこうとするのを

時間がありませんから…とシモンが止める。


「ではまた」


来る時も風のようだったが、去る時も同じようにエドワードたちは王都に帰っていった。





◇◆◇




領地での視察を終えソフィアが戻ってきたのは2日後だった。


「会いたかった。ソフィア」


馬車が着くのを待っていたエドワードは手を出してソフィアを降ろす。


「只今戻りました、エドワード様」


エドワードはにっこり笑ってまたソフィアの頬にキスをする。びっくりしているソフィアに


「3年後、ソフィアが高等部を卒業したら結婚式だね」


「エ…エドワード様!!」


あー可愛い…真っ赤になっているソフィアを見て抱きつこうとすると、3度目のシモンの止めが入る


「いい加減にしてください!」


「シモン!いつもいいとこで…」


「お茶の準備ができています。どうぞ中に…」


執事のロイドが全員を促し玄関へ案内する。先にすすむエドワードがくるっと振り向き


「ソフィア」


と優しい声で呼びかける。



「はい」


と幸せいっぱいの声でソフィアは答え、差し出されたエドワードの手をとって一緒に歩き屋敷の中に入っていく。

本編としてはここで終わりです。後少しおまけが続きます。

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