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第3幕〜セリーヌの工房・⑪VSギャメレオンの群れ

 

 数十体のギャメレオン達に取り囲まれてしまったオボロ達!

(入り組んだ洞窟の前では……戦いにくい……俺が先陣切るか!)

 本日あまり出番が無いと考えているオボロ……。

 両手を握り……オーラ全開!

 眉間から尻尾の先まで、オーラの細かな刃が現れる!


 ━━━!


 クロネとアミュの間を四つ足で駆け抜け、一気に高速前転し


「んにゃー丸鋸斬まるのこざんっ!!」


 ギャメレオンの群れを割るように先陣をきる!


(あら?オボロ様は何もしなくてもよくてよ?)

 従者らしい気持ちで空へ舞い上がるクロネ!


(お兄ちゃんはっ!アミュが守るのっ!)

 同じくアミュも、今までと違う感情が芽生えていた。

 オボロの丸鋸斬を間近で見たアミュ……。

(んーアミュの糸にも……あーい言うのあれば……格好いいかもっ!)

 何か閃いたアミュ!

 集中し指から糸を出す……。

 長さは1メートル弱……。

 手を挙げ糸を見るアミュ……。


(うんっ!ギザギザ付いたっ!)


 両手を振り回し、クロネとは反対のギャメレオンの群れに走って行く!


 丸鋸斬のままギャメレオンの群れを中央突破したオボロ!

 振り向くと………遠くにギャメレオンの群れが……。


(あっ!張り切り過ぎてしまった……)


 そこから見えるのは━━


 上空に舞い上がったクロネが『闇巻き』でギャメレオンを巻き上げ……放り出されたのを『翼針羽釘弾よくばりうていだん』で仕留めていた!地面に落ちたギャメレオン達の身体には、無数の黒い羽が針刺しのように刺さっていた!

 遠目で見ていても、華麗に一人連携しているように思えた!


 アミュの方を見ると………。


 オボロ「???」


 アミュがギャメレオンの群れの中で両手をぶんぶん振り回し、身体も回転させていた!


(踊ってるの?アミュ?)


 ━━━━!


 アミュに飛びかかるギャメレオン達が、等分の輪切りにされて行く!!


 走ってアミュの方へ向かうオボロ!!

(何した?アミュよ?)


「あはっ!これ使えるっ!!」


 自分の考えたのが思いのほか良かったので、喜んでいるアミュ!


 後ろから1匹のギャメレオンが長い舌を出し襲って来る!


(アミュ!後ろから━━)

 オボロは間に合わない!


 アミュの首の4つの単眼が光る!手を広げ糸を垂らし━━


 そのまま勢い良く身体ごと振り返る!!


 ズバッズバッズバッズバッ!


 長い舌から尻尾まで、綺麗に等分に輪切りにされるギャメレオン!


 胸のあたりに手を交差させ、ポーズをとるアミュ!


(んー名前……)


 ━━━!!


 アミュの中に爽太の記憶が伝わってくる!

(木を切る男性をしゃがんで見ている女の子が


「ねぇパパ?それなんて言う道具?」


「これは『糸鋸』って言う工具だよ」

 パパと呼ばれた男は、微笑み応えていた)


 ━━━!


魔操撚糸まそうねんし糸鋸いとのこ!!」


 息を切らせてアミュに駆け寄るオボロ!!両手を肩に当て心配するオボロ!

 アミュは、全然平気と軽く言う。


「お兄ちゃんっ!見たっ?アミュの新技っ!」


 指から糸を垂らし、オボロの目の前まで見せる。ギャメレオンを仕留めたクロネも隣に来る。


 糸を良く観察すると━━


 細かな刃が糸に付いていた!


「さっきのお兄ちゃん見て、思いついたのっ!」

 自慢するアミュ!


 オボロもクロネも、アミュの発想力と、それを可能にしてしまうことに驚いていた!


 ━━━!


 オボロの頭にブレインマウスでメルの声が!


(マスター?マスター?駆除できたぁ?)


 D=D(ディメンション=ドア)からメルを出しオボロは


「えーと……メルもブレインマウス使えるの?」


 当然とメルは言う。元はセリーヌの魔力だから、その辺のランクの低い冒険者よりは魔力量はあると。魔力量では最下位なオボロ……。


 メルはギャメレオンの死骸の上を飛び回り、状態が良さそうなのをオボロに回収させた。D=Dに死骸を引きずって放り込むオボロ……。

(あれ?やっぱり俺……下働き?)

 ちょっぴりナイーブになるオボロ……。


 工房へ昇る魔法陣へ向かう一行。

 魔法陣に乗りメルが魔力を流す!降りる時とは逆に魔法陣の裏側からエアショットが放たれ、上昇する魔法陣!

 昇りの方が速度も緩やかで、景色も楽しめる。


 そして工房へ戻る。


 庭の丸テーブルで酒を呑んでいたセリーヌ。

 メルが直ぐにセリーヌの所へ飛んで行く。

 オボロはD=Dからギャメレオンの死骸と採取した鉱石、狩りをした食用の蝙蝠や獣を、メルとホムンクルス達で地面に並べていった。


 その量に驚くセリーヌ。

 椅子から立ち、頭を下げ感謝するセリーヌ。

 オボロは……ほとんどクロネとアミュが仕留めましたと、素直に白状する。

 後ろで堂々としているクロネとアミュ!

 セリーヌは、なんとなくそんな予感はしていたとオボロに伝え、優しく肩を叩く。


 と、クロネが前へ出て


「オボロ様、セリーヌさん!今の私達が存在するのは、お二人のおかげですわ!」


 アミュを見て……

 黒い翼を広げ━━


「感謝いたします!」


 深々と頭を下げた。


 クロネのきちんとした態度に釣られ……アミュも


「アミュは……お兄ちゃんにも、クロネちゃんにも、セリーヌちゃんにも、みんなに……ありがとうだよっ!」


 ニコッと笑うが口から牙が出てしまうアミュ……。


 それを見て、笑ってしまう一同。

(アミュの愛嬌ってやつだな)

 ……そしてオボロは

(なんか二人とも精神的に成長したな)

 とも、しみじみ思ってしまう。


 メルはアミュに待っててねと告げ、ギャメレオンの死骸の一部と鉱石をリュックの素材として工房へ持って行った。アミュはオボロとクロネの手を取り、ぶんぶん振り

「アミュ!リュック楽しみっ!」

 仕上がりを楽しみにしている様子。

 元々子供っぽい話し方だが……幼い人型の容姿になり、さらに拍車がかかってきた。


 ━━!


 と、アミュが思い出したかのように……


「魔石……」


「あのナルシストのお腹にあったかも……」


 口にした。


 オボロは確認する!

 お腹の真ん中あたりに、感じてたとアミュは応える。


(今後の事を考えると魔石ってあった方が便利かも)

 と考えるオボロは、セリーヌに

「取りに行ってもいいですか?」


 しばらく考えるセリーヌ。

「……見つけた者勝ちさね!私はオボロちゃんからもらったのあるから、間に合ってるさね」


 今夜はギャメレオンのステーキと蝙蝠の串焼きを楽しんだ。

 なんか今日は精神的に疲れたオボロ……星の無い夜空を見上げ……良く寝られそうな気がした……。



【戦歴】

 オボロ・クロネ・アミュ

 VS

 ギャメレオン


 クロネの翼針羽釘弾、アミュの魔操撚糸・糸鋸により圧縮


【能力】

 ・アミュ

 魔操撚糸

 魔操撚糸・糸鋸


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