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第3話

前まではこの高難易度ダンジョンに設置された罠がモヤや違和感を感じ、近付くことで罠の鑑定をしていたが、今では見るだけでその存在がハッキリと見える。

さらに、秒で罠の処理が出来るので、さすが上位シーフ職といった感じだ。


また、完全に気配を断つ事で、魔物の急所を狙いやすくなった。なのでロイドの三又槍の遠距離武器を使わなくても容易に魔物を倒せる。


魔物を倒しながらダンジョンを進んでいると、目の前の角から数人......三人かな?の足音と息遣いが聞こえてきた。


「ふぅ......」


......さあ、ちょっと逆らってみるかな。


待っているとその三人がお出まし。その三人は勿論、剣崎 誠、水京 京香 、斎藤 霞だ。


「あら......生きてたのね」

「......生きてた。」

「転移罠だからよかったよ」


そう声を出したから彼ら。水京 京香は謝る事も出来ないのだろうか?黙り、そう思っていると剣崎 誠が僕の肩を触る。


「これは竜の鱗じゃないか!シーフ職は運のパラメーターがいいからね?宝箱で引いたんでしょ?分け前は分かるでしょ?」


ニヤリとそう言って笑った『王子』こと剣崎 誠に少々イラッとしながらも聞き流す。

すると水京 京香は僕の手にあるロイドの三又槍を見て、『キャーキャー』と叫ぶ。


「アンタ!それ、マジックアイテムじゃない!しかも魔法系の!アンタじゃ、INTゴミでしょ?寄越しなさい!私が有効活用してやるわ!」


どいつもこいつも、アイテムに群がってくる。ウチのクラスカーストのトップはこんなゴミ共なのか?『腹黒王子』、『性格ブス魔女』と。あとは斎藤 霞か。


って、斎藤 霞は時にデカい印象というか......なんか、その話に合わせる感じで悪口を言ってるような......


そう思っているとコイツら、剣崎 誠と水京 京香が僕のロイドの三又槍と魔剣エルディートを取ろうとしてくる。


「はぁ?何言ってるんだお前ら?」


そう言ってやった。


「は?いいから渡せ」

「アンタは雑用でしょ?こんな良い物渡せないわ?」


何を言ってるんだコイツらは......コイツらが狩った魔物の僕への分け前、微々たる物なのに.......うん。ちょっとした仕返しをしようとしたがやめた。パーティ解除をしよう。関わりたくもない。


『パーティ:剣崎 誠チーム、から秋谷 周は離脱しました。』とログが流れた。


「は?」

「なにやってんのよ」

「......生きて帰れない。やめておいた方がいい」


こいつらが文句を言う中、雫はそう言うがもう遅い。


「じゃあな」


そう彼らに別れを告げる。しかし剣崎 誠は肩を掴んできた。


「アイテムは置いていけよ。ここでは単独では自殺行為。君の行為は自殺と受け取った。要らないだろ?」


は?


剣崎 誠の肩を掴み、軽く真っ直ぐの通路に向かって投げる。


「うわああああああ!!」


綺麗に放物線を描き、1バウンド2バウンド3バウンド。50メートルは飛んだだろうか?


「アンタ!!」


水京 京香は剣崎 誠が飛ばされた姿を見て、キッとこちらを睨んで、魔法陣をこちらに向けた。


「ファイヤバレット!!」


八発の炎の弾丸が僕に迫ってきたが目で追える。魔剣エルディートで八発全てを切り裂き、分散させる。


「はぁ!?化け物!!」


そう水京 京香は驚くが、彼女にそんな暇は無い。


軽く京香の顔面に向け、ロイドの三又槍を投げて十本の三又槍を飛ばす。軽く投げたおかげ、ロイドの三又本体と周りの三又槍自体がゆっくり飛んでくれる。


お、これなら余裕だ。そう思い、僕は分散した三又槍を避けて、水京 京香の鼻先スレスレで本体のロイドの三又槍を掴む。おっと、分散した槍が腹に1本刺さるから蹴っとかないと殺しちゃうな。一応、殺人罪とか嫌だし、蹴っとこ。


「うわぁあああああん......!!」


ロイドの三又槍が当たりかけたり、他の三又槍がグサグサと地面に刺さる様子を見て、

水京 京香は力が抜けたように、その場でへたり込んで号泣。更に足元に水溜まりが出来ていた。


「......ひっぐ!......ひっぐ!アンタ、最低!嫌い!大嫌い!!」

「うわ、きたなっ!」


水京 京香が泣く中、斎藤 霞が近寄ってくる。


「なんだ?それ以上近付くな。」


斎藤 霞は警告をするとすぐさま止まった。


「......嫌いにならないであげて。彼女達は.....バカなの。だから、ちょっとがめつい所もあるけど、その点は考慮してあげて.....聞き流していいから......」

「......」


まさかの味方の馬鹿扱い。このパーティで一番図太いのは斎藤 霞かもしれないな。しかし、他のやつよりかはマシだな。


「もう関わらないで、と後で言っておいてくれ。あと、剣崎の怪我もよろしく」

「......うん」


そう言って、僕はその場から去っていく。


......はぁ、緊張した。上から目線の言葉とか慣れないからね......。せめて、近くの魔物は処理してあげようか......

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