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状態確認「激レアすぎて困ってる」



・ダンジョンの経験値チャージ・なし

・召喚魔物リスト・なし

・景観改造リスト・なし



がくっ……と二人とも肩を落とす。


「なんだこれは!? ……なにかないのか!? 力が欲しいぞ……!」

(三下の悪役みたいなこと言ってるぅ)


ルナはそう思ったが、力がないとダンジョンが作れなくて困るのは明確だ。


そして訪れるのは、死。


頑張って思考し、ウィンドウをスクロールして、隅から隅まで指を走らせて調べていく。


「あ、これは……!? コアさん! ダンジョンマスターとダンジョンコアの現状ステータスって」

「でかした!」


コアが目をゴシゴシこすって、真剣にウィンドウを眺める。

白目が若干赤くなっていて、ルナはペロリと舌舐めずりしたが、青い瞳が衝動を抑えてくれた。

食欲減退色、バンザイ!


コアはまず、祈るような気持ちで深呼吸。


ダンジョンマスターの項目に指で触れる。

有益な情報が書かれていそうな方から。



「……神の美貌、神の剛力、神の瞳、神の強運、神の魔力、神の歌声!」


目を丸くして読み上げる。

二人とも目を輝かせた。


「わあ、凄そうだよ!?」

「これは……すごく……すごいぞ……!」

「本当によかったですねっ!」

「最強のダンジョンを創るぞぉーー! うわっはっはっは!」


喜びに打ち震えるコアを微笑ましく見ながら、ルナが(……あれ? 私が強いってことは私が有効活用されるのでは?)と気づいた。


ちょっと考えたくなさすぎるのと、今は言い出しづらいので、いったん思考から追い出す。

追い出すったら追い出す!!

考えたくない!


「コアさんのステータスはっ?」

「うむうむ」


・状態、お米粒


「[食欲増進][神の一粒][温度管理][匂い管理]」

「ふざけるな!?」


叫んだコアはもちろん落胆しているが、能力を読み上げたルナも遠い目である。


「サポート能力だこれ……」

「なるほど我のサポートによって、ダンジョンマスターが狂戦士(バーサーカー)となるのか」

「あっコアさんの学習が早い!? ヤダヤダ……!」

「だってそれ以外に使いようがない能力だろう? お互いに」


二人で想像する。


ダンジョンを守るマスター・ルナ!

狂戦士(バーサーカー)モード!

右手に箸、左手に茶碗、「食らい尽くそう頂きます!!」


((ダンジョンってなんだっけ……?))


二人は激しい頭痛を覚えた。


「他には?」

「装備品、神の食器、だって!」


ルナとコアは、振り返って、神のご飯とともに登場したスペシャルなお茶碗、お箸、お盆を眺める。


((まさかあのなんちゃってイメージの通りに戦うことになる? まじで……?))



「…………戦い、ですか? これで?」

「そうだなぁ」

「戦いなんて、嫌ですよ。さっきもそう言いましたよね……!?」


涙目で訴えてくるルナを、コアは困った顔で見た。


ただ戦え、と言うのは簡単だ。

しかし装備品はコレで、召喚魔物もゼロ。


ルナの日本の常識から、戦いなんて、と言いたくなる気持ちは理屈としてコアでも分かる。

戦いを拒む民族性のようだったから。


ルナに選ばせる事にした。


「では、どうしたらいいと思う? このままダラダラとダンジョンで過ごしているだけでは、死んでしまう」

「う……!」

「必要なのは経験値を得ること。えーと、これだけは知っている。一般的なダンジョンシステムでは、召喚魔物を発生させ、その魔物の素材欲しさにダンジョンを訪れる冒険者から経験値を得るのだ。その経験値によって、ダンジョンが維持され、成長する」


ルナとコアは、経験値ゲージを見た。

からっぽ。

これを成長させなくてはならない。


「日本の記憶がルナの戦いの邪魔をする。であれば、日本の記憶で突破口を見つけ出してみせろ。ギブアンドテイクだ」


言葉の使い方が違うんじゃない? とは、今は言及している場合じゃない。


ルナは、開けた穴を埋める方法を、必死で模索した。


「……冒険者をこのダンジョンに誘い込むには、美味しいエサがあればいいんじゃないでしょうか?」

「エサ? 従来なら魔物のことだな」

「そのまんま、ご飯!!」


コアはバカにした表情でルナを見る。

一応、顎で続きを促した。


「つまりですね。レストラン、そう、レストランです! 美味しいご飯を提供しましょう。そしたら人がやってくる!」

「経験値は!?」

「えー。人がやってくるだけじゃだめなんですか?」

「…………分からない」

「じゃ、お試しして見るのがいいかなって! ね!」



コアの常識がバッキバキにへし折られる。


レストランダンジョン。


「平和だーー! わーい!」


あまりのカッコ悪さに、豆腐の角で頭をぶつけて死にたくなった。

最強ダンジョン計画のために死ねないけど。



「……最強ダンジョン計画、その二!」

「おっ? レストランダンジョン、採用ですか!?」

「うるさいうるさい! いったん保留だ、バーカバーカ! その二……食材調達ぅぅ!」


コアは叫び、がっくり項垂れながら、指を二本立てた。


ピース! とピースサインを合わせてくるルナに頭突きをくらわす。


「ふざけている場合ではないぞ! 食材を得るにはどうしたらいいか、作戦会議しなければならない」


ぐうぅ、とルナのお腹が鳴る。


「さっきご飯を食べたのに?」


コアは白い目でルナを見た。


テヘヘ、とルナがごまかし笑いする。


またご飯が食べたいなぁ、と考えると…………【美食】の衝動が疼き始めた。


──立ち上がる。


「どうした? 熱く天を見上げて……」


コアが訝しげな表情で、ルナを見る。


二人ともが立ち上がっているので、視線は同じ高さだ。

ルナの額に光が集まり、魔法陣が現れているのに気づいて、コアは驚愕した。


ルナはコアを見ない。

熱く、上を眺めるのみ。


(何が起こっている!?)


コアには分からない。

それがもどかしくて、奥歯を噛んだ。


ルナの目がキラキラぎらんと輝き、歌うように喋る。


神の歌声により、ふわんと柔らかな風が吹き、なんとコアは踊りに誘われてしまった!


「近くに美味しそうな気配があるの……! うふふふふふ……まるで私を呼んでいるみたーい♪ どうしよう♪ 食べたいなったら、食べたいな♪」

「やめろってば!?」


勝手に体が動くので、コアはステータス画面に触ろうとしたが、からぶり、腰に手を当ててステップを踏むことに。

くるくるとルナが踊って、その腰を支えた。


【美食】の舞いとでも言おうか?


ズバリ、コアにとってはとんでもない羞恥プレイであった。


踊りのことも、何も分からず助けられないことも。



「 ──そうだ、迎えに、行けばいいんだ!?」


ルナが高らかに歌う。


ぽいっとコアの手を離した。


「ルナ!?」


コアが慌てて伸ばした手は、届かない。


ルナはすごいスピードでびゅーんっと駆けて、ダンジョンの出口を踏み抜いたのである!


「ああー!?」


コアの叫び虚しく、ルナの姿が消えてしまった。



喪失感。

ばくばくと鼓動する心臓。

生きているのに、見捨てられた、どうしてこんなことに、あいつめ、いや自分のやり方のせい? といろんな気持ちがコアを蝕む。


「死んでしまうぞ、ルナ……」


一番強いはずの言葉は、ルナには届かなかったようで、まっさらなダンジョンに吸い込まれるだけだった。


コアが一番強く抱いたのは後悔の念だ。


では、どうすればいいのか?

先ほど実践した通り。


「……謝ろう。脅しすぎた……」


帰ってきて、というのが何よりもいいということは、コアはまだ知らない。


目をこすって、白目が赤くなった瞳で、改めてステータス画面を見た。

ルナと繋がっている唯一だ。


「! 大罪活性化状態……?」


それならば、と、自分の一番強い欲望も唱えてみる。


ダンジョンマスターの願いはそれぞれの大罪による。


ダンジョンコアの一番強い願いは、統一して「ダンジョンの強化」だ。


つまり強くなり、



「生きたいッ!!」


コアとルナの魂が、リンクする。



あてずっぽうの作戦だったが、たまたま、この時は本当に二人が同じことを考えていたのだ。



コアの額にも、魔法陣が浮かび上がる。


ルナの視界をぼんやりと共有した。

そしてはっきりと繋がる。


「ルナ!! ……こんのばかぁ!」

「ひえええ生きたい生きたい生きたーいッ!!」



コアが見たのは、大口にズラリと並ぶ凶悪な牙。

それが目前に。


つまりはルナが喰われる危機に陥っているのだ。

ブワッ、とコアの腕に鳥肌が立つ。


「避けろ!」

「っはーい!?」


怒声によりルナが反射的に動くと、ビュンッと景色がスライドする。


神の脚力で、とても高く跳躍したのだ。


ひとまず助けられたことに安心して、コアが安堵の息をつく。


そして視界は下を映した。



「「黄金のドラゴンー!?」」


コアとルナの悲鳴は同時であった。



リンクがより強くなり、コアの鼓膜にも、ビリビリと響く竜の怒りの咆哮が聞こえている。


「簡潔に言え! なにがあった!?」

「あれっそういえば、なんでコアさん!?」

「簡潔に!!!!」

「なんかね引っ張り上げられるみたいにダンジョンの外に出ちゃったらドラゴンのお尻の下で思いっきり蹴り上げちゃって怒られてんのー!」


バカーーーーー! と叫ぶ余裕はない。


ドラゴンが大口を開けている。

喉の奥にバリバリと雷のような光。


「ドラゴンブレス、くるぞ!」

「お肉焼ける!?」

「跳躍ッ!!」


コアの怒声でルナが反射的に動いて、なんとか直撃は避けられた。

スカートの端が少し焦げたけど。


天井に穴があき、真っ暗だったこの場所が、照らし出される。



洞窟だ。


岩がゴロゴロしていて、地面の起伏も激しい。

遠くには水の音も聞こえていて、ムワッと湿度が高くジメジメ……これはドラゴンブレスにより水分が熱されたからだろう。

普段は涼しくて快適な場所のはずだ。



「どうする?」


コアが頭脳を急速回転させる。


「助けて!」


ルナに求められた言葉が、やけに自分の心に響いて、コアは一瞬だけポカンとした。


まだ、手は繋がれたままなのだ。

ルナとコアは相棒。

ちょっぴり大罪に邪魔されただけ。


「いいぞ、助けてやる。ともに窮地を切り抜けよう!!」

「コアさん大好きーーー!!」

「ちなみに失敗したら死だ」

「やだ!?」


ルナとコアの魂がしっかりと繋がって、ドラゴンと対峙した。


「「生きようね」」


食材にしてやる!!!!!!



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