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食材探索「あるものでなんとかできなかった」

「グレイビーソースの作り方って?」

「動物脂、小麦粉、コンソメ、水……なんでこんなことばっかり明確に知ってるんだ!?」


ルナの記憶を覗いたコアは頭を抱えた。

そんなことよりもダンジョンの成長方法についてわかったらよかったのに! と……


「まあまあ、コアさん、落ち着いて」

「ヨダレ拭けよ」

「ハンカチありがとう。つまりはグレイビーソースを作るには……材料が足らないってことです! クレイジー」

「動物脂はドラゴンの肉から滴ってるやつを使え。で。あとはとろみを出すもの、旨味をたすものが必要な訳だ……」

「コアさんあったまいい!」

「ルナは年相応の賢さをどこに落としてきたんだ?」

「今は大罪テンションだからこの世界が悪いと思うんだよね」

「一理ある……いやいやいやいや。世界を悪くいうのは禁句だ。それはどうして? ……何か思い出しそうだぞ!」

「そんなことよりもソース作ろう」


ルナがズリズリとコアの襟首をつかんで引きずっていく。

ダンジョンの真っ白な床はツルツルなので、抵抗むなしく、コアは神の剛腕を持つルナに引きずられるしかなかった。


「さあここにある材料! ドラゴンの脂、ドラゴンの肉、ドラゴンの金の鱗、ドラゴンの骨、ドラゴンの牙と爪、ドラゴンの血の名残、ドラゴンの内臓……」

「あれだ。骨をすりつぶしてみるか?」

「小麦粉の代わり!?」

「元が同じドラゴン種で統一されてるからあんまり変な味にはならんのではないかな……おそらく……多分……」

「私の食欲がぴょんぴょこぴょんっと喜んでるからきっと美味しい結果になるよ!」

「美味しい結果」

「わああい!」


ルナは元気に骨を引き剥がす。

スペアリブのように骨つきで解体してきた部分があるのだ。


「[武器創造(カトラリーメイキング)]すり鉢!」

「すり鉢……」


お茶碗が大きな入れ物になる。

高さ1メートルほどもある。

どっしり重くて転げたりはしなさそうだが、一応コアが支えてやる。


「[武器創造(カトラリーメイキング)]すりこぎ!」

「すりこぎ……」


コアはうんざりした顔になった。


「武器とは……」


コアの疑問は置いといて、さあ粉砕しよう!


骨をルナが拳でたくましく粉砕する。

美味しそう! 美味しそう! 

それからすり鉢に入れて、神の剛腕で混ぜるッ!!!!


ゴリゴリゴリゴリゴリゴリイィ!!!!


凄まじい異音が響く。

コアの鼓膜が痛くなるほど。

鼓膜というか多分お米の樹皮のようなものだけれど。


「はい粉々」

「すごく粉々……」


さらり、と砂漠の砂のような繊細な粉ができあがった。

どういう材料なのか、ルナが鑑定。


「バッチリ! ドラゴン粉……栄養価の塊。体力アップ、魔力アップ、幸運付与。加熱すると粘り気がでるらしい、いろんな加工品に使えそう」

「ドラゴン粉」


一つ一つのアイテムの名称の癖が強すぎる。


「次はコンソメの代用品が欲しい!」

「味がありそうなのは……ドラゴンの血?」


ペロリ……ルナが舐める。

ミディアム・レアになっていて血が滲んでいたところを。


「これは……まずくはない。でもね美味しくもないんだ……塩みたいなものが欲しいよ。そうだ岩塩!」

「結論までが早いぞ、直感娘。こら待てルナ!!」


コアが呼び止めたが、ルナは先ほど痛い目を見たことも忘れて、外へ飛び出して行ってしまう。

わなわなとコアが震えた。


「ローストドラゴンが冷めてしまうからな!?」

「絶対にやだー! 早く帰るー!」

「そうしろ!」


本能をフル活用して、ルナは迅速に帰還することだろう。

だんだんと扱いかたが分かってきた。


コアはため息をついて、ドラゴンの金の鱗に、すり鉢の粉を移す作業に勤しんだ。





先ほどドラゴンの肉をひとかじりしたため、ルナの暴走は抑えられている(当社比)。


「殺風景な洞窟」


ゴロンと岩が転がって、先ほどの戦闘痕がひどいことを差し置いても、黒と茶色で構成された、生物の気配が何もない場所であった。

天井ぽっかりと空いた空間には、青い空が覗いている。

それはルナの記憶にある日本となんら変わらないように穏やかで、なんだか懐かしいような、胸がキュッと痛くなった。


「私、どうなっちゃうんだろうね。でも、コアさんと一緒に、生きよう」


そんなことより食欲だ!!


……と、頭を振って気持ちを切り替え。

食欲減退色の空よりも、もっと美味しいものを見つけなくっちゃと、ルナがから元気で微笑んだ。


舌舐めずり。

自分の直感を知ろうと「うーん?」と目を閉じて首をかしげる。集中。なんだか行ってみたいのは……


「こっち!」


左の小道に入っていった。

ついでに壁を鑑定する。

どうやら溶岩が通り抜けてできた穴で、この洞窟は、火山からなるものらしかった。


「火力じゃん」


ルナの注目点はそこである。

極大のコンロ、ゲット! あとで火口も見に行こう。


まずは岩塩みたいなものを目指して、下に下に、下っていく。

ひんやりとした冷気がルナの足首を撫でて「うひゃ」と声をあげた。


ぽっかりと開けた空間に行き着く。


「ここ……。……何か魔法がかけられてる? ううん、魔力が濃いだけか。そんなことまでわかるって、直感って時にとっても便利なんだなー」


何よりも、とルナが舌舐めずり。

岩壁の一角に、ガラスのような不思議な光沢。ここだけ質が違って、ルナの望みを叶えてくれる、と誘っているよう。


「いただきます♡」


足を半歩、後ろに引いて。


「ええーーーーい!!」


右ストレーーーート!!


ドンガラガッシャン! バリィン! と艶やかな壁が砕ける。


「わあ……!!」


ルナがうっとりとため息を吐いた。

その赤い瞳はまん丸くなって、黄色にピンク、白に緑色、紫にオレンジ、様々な色をきらびやかに映している。

横をぐるりと見渡していくと、奥の方には赤青、金銀まで。


鑑定。


「宝石の岩塩ジュエリーソルト! とってもレアで美味しい素材なの! わああい!」


どれがいいかな、とルナは小さめ宝石を色ごとにつまむ。

ルナの身長ほどもあるクリスタルソルトから、涙の粒みたいなコロンとしたダイヤモンドソルトまで、大きさもそれぞれ、岩に突き刺さるように存在している。

指の力で引っこ抜く。


舐めてみたかったけれど、舌先をクリアにしてくれる水がなくて味が混ざってしまうので、ルナは我慢した。

そんな理由だ。


スカートのポケットいっぱいに宝石がギュギュッと詰まった。

ジャンプしてみても、ぎっしり詰まっているから落ちていったりしない。

満足げに、にーっこり! ルナが笑う。


クリスタルソルトに鏡のように映ったルナの顔はそれは可愛らしかったけれど、内心は「早く食べたい食べたい食べたい」という食欲全開模様だ。


「早く帰らなくっちゃね」


再来の際にはまた、直感に頼ればいい。


ルナは足踏みをすると、ギュンッッ!! 風のように素早く洞窟の小道を駆け抜けていった。





「コアさん、ただいま! 見てこれ! たっくさん頑張って採取したから、感激して泣いてくださいな!」

「なんでだよおかえり!」

「あっ泣いた。というか……元から泣いていました?」


ルナが、コアと生きよう、と発言していたことが嬉しくて。なんて。そんなこと、コアは言えないのだ。

ポコポコと叩く。


足元には、コアの感情が影響した結果の、清らかな泉が。


「グレイビーソースの材料に使えるお水」

天才バカ……!」


ポコン! と小火山がダンジョンに生まれた。


「あ、火力」

天才バカーーー!」



☆なんとか材料が揃った!


すみません!間違えて第1章に昨夜投稿してました汗


こちらに直しました〜〜!(。>ㅅ<。)汗

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