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もう一度

あの試作品から 海さんが 改良に改良を重ねてる間

僕なりに あの衝撃に 堪えられように体を鍛え 重心を何処に おくべきか リョウさんにも 協力してもらいながら 試作品の完成を待った。


リョウさんは 悪い状況下で リクは自分自身の 能力を発揮できると言ってくれた......が リョウさんの スパルタのような伝授は 僕の身体能力とやらを 遥かに越え 僕は 死に物狂いで......嫌...死ぬと 何度も 脳裏に過った。


今まで 僕がやってきた 鍛練とは まるで違う

リョウさんが言う 悪い状況下とは 崖の上で 宙吊りにされ そこから腕一本と足を使い登る事や 体を斜め横にし 腕一本で長時間 木の上でバランスをとったり ビルの屋上から吊るされ ビルの壁面を 横走り......それも 風の強い 天気の恵まれない日を選び

地獄のような特訓を......お陰で毎日 食事だけが幸せになっていた。


そして、いよいよ 試作品を試す日がきて......

海さんから 手渡された ビルを越える為の道具を見て 僕は 言葉を失い

呆然とその道具を見つめてしまい

海さんの糸が 分からず 思わず 海さんに 疑いの眼差しを 向けてしまった。

すると 海さんは

「この試作品は リクが持ってる 能力を スムーズに活かせるよう 最小限の機能なんだ。こんなんで ビル越えれるのかって 思ってるだろうけど 多分 リクには 本来......道具なんていらないと思う」


海さんは 何を根拠に そんな事を言ってるんだか 僕には 分からなかったけど

この 皮の手袋に少し仕掛けがあるらしく 手にはめて 手を握ると 皮手袋の甲部分から 槍先が飛び出し 壁面に 突き刺さる仕組みに...そして

スイッチはなく 僕が その槍先から皮手袋を繋ぐ この特殊な紐を握ると自動で巻き上がり 屋上に行けるらしい。

海さんには 悪いけど こんなのでと言う 気持ちの方が強く 半信半疑だった。

それでも やるしかないと 心に決め

皮手袋をつけ 手を握りしめた。

皮手袋から出る槍先は 一瞬で 屋上手前の壁面に突き刺さり 息を飲んだ。

僕が この特殊な紐を握れば......結果が見える...今までの あのスパルタ光景が 頭の中で映像として流れ僕に言い聞かした。

あれができたなら この壁は乗り越えれると...

辺りが 静止画のように そして無音の時が流れ

ゆっくりと 紐を握りしめた......

あの時の衝撃もなく まるで瞬間移動?サーカス?ものの数秒だった。

目の前に屋上が見え その勢いと共に 僕は 宙を舞い 静かに紐を離した。

カシャッ ヒュー ガシャン

そんな音が聞こえ 屋上に着地したと同時に 歓声が沸き上がった。

皮手袋を見ると 槍先も紐も 全て元の位置に収まっていた。


僕は 成功したんだ......この時の 嬉しさの震えが 今でも覚えてる。






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