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女友人と夢を見る壱

目を開ける。そこには見慣れている忌々しい風景があった。引きこもりの天敵である学校の教室である。夢でも見たくはなかったよ。


「あぁー、教室リアル過ぎるだろう。くそ、机でも蹴ってやる」


子供みたいな行為だが、先ほど気分を晴らすため机を思い切り蹴ろうとした。蹴った足は机に当たることはなく空振りをしたせいか勢いで体がよろけて転けてしまった。転けても痛みはないけど不満は黙々出てきた。

夢であることは忘れていないが夢の中ぐらい暴れたいのである。気分が落ち着かないまま教室のドアを開けて探索でもしようと思っていた時に違うドアが開く音がした。ドアから黒いセーラー服を着た女の子が現れたのだ。

女の子は俺の顔を見ると驚いた目で見てきた。この反応に俺は悩んでいた。変な人にみられているのかな、どうしよう。女の子にどんなことを言えばいいのか迷っている俺はコミュ障だと見られるだろう。まぁ、コミュ障なんだけどね。


「葉月…くん?」


落ち着く声が教室に響く。癒される声はこんな感じがするんだろうな。その前にこの少女と知り合いでしたけ俺。黒髪のショート、ニキビなど見えない白い肌、吸い込まれそうな大きな黒い瞳、体形は細めな体。クラスでいたら男子に告白されそうな女子高校生と俺が知り合いな訳がない。断言できるね。


「あの、覚えていませんか。中学の時同じだった如月綾音です」


「如月…綾音?たしか、クラス委員で文学少女だった子が君?」


「あ、はい。高校生になるのでイメチェンをしてみたのです。ひさしぶりに葉月くんと出会えて良かったです」


如月さんの満天の笑顔が俺の闇を溶かしてくる。てか、眼鏡掛けていて俺の同じオーラがあった子がここまで変わりますか。1個も変わってない俺は悲しさに満ちてくるよ。


「あのー、大丈夫ですか?」


「え、あ、大丈夫」


吃りつきだろう俺。くそ、これならコミュニケーションの本でも買っていればよかった。

俺の返事に安心したのか如月は教室を見渡した。


「そういえば、私風邪で寝ていたばすなのに、教室にいるのでしょうか?あれ、そういえば病気は大丈夫ですか葉月くん」


「病気?えっと、なんのこと?」


「葉月くんが学校来ない理由は病気があると先生に言われていましたよ」


病気かー。多分、医者である父さんがそんな言い訳を先生に言ったんだろうな。あの人はプライドがでかいからなぁ。息子のせいで評価を悪くしたくないんだろうな。ため息を吐くのを我慢して、混乱している如月さんに事情を話す。


「今、如月さんが見ているのは夢の中だよ。ほら、机に触れないだろう」


「え、ホントだ。凄い!?こんな意識した見ている夢始めてみたよ!!」


「俺も如月さんの成長した高校生姿を見る夢なんて始めてみるよ」


何故だろうか俺の発言危なく聞こえるのは?如月さんは先ほど発言気にすることもなく触れることもない机を何回も触ろうとする。夢中していた如月さんが急に俺を見始めた。集中して見られているせいか恥ずかしくなって下を向いた。


「えっと、夢の中だけど葉月くんは私と以心伝心状態なんですか?」


「多分、そんな感じだと思う」


「そうですか!!あ、あの、それなら目を覚ましたら家に行ってもいいですか。同じクラスになったのに1度も会ってないし、お見舞いして嫌な気持ちになるかなぁと思って不安だったんです。お見舞いには私の好きな本を持ってくるのでまた一緒に感想を言い合いましょう!!」


如月さんとは中学の時、一緒に本の感想を言い合った仲である。友達なのか不安だったがこんなにも熱心にお見舞いしたいと言われてると友達だったんだなぁとわかって俺は嬉しくなった。でも、友達に今の本当の姿を見せたくない。


「ごめんな。俺の病気は人に移るからお見舞い駄目なんだ」


「…そうなんですか。病気は治りそうですか」


「…まだわからない」


如月さんは落ち込んだ顔をして俺を見つめている。苛めているみたいで嫌だなぁ。俺の言葉を信じている如月さんは何かを閃いた顔をした。


「あの、家のポスターに本を入れるので夢の中でまた合って話しましょう」


この子、昔から思っていたけど天然記念物なのかな。ここまでの天然は始めて見たよ。


「えっと、同じ夢を見ない比率が多いと思うけど」


「大丈夫です。一度あることは何度もあります」


言葉が間違っている気がするんだけど。そんな会話をしている最中、また視界が暗くなってくる。あ、夢が終わる。


「あの時の恩もあるし、また一緒に」


彼女の最後の声が聞こえることはなかった。





布団から起き上がり、近くの携帯で時間を見る。午後12時と書かれていた。あ、もう昼御飯かー。如月さんは風邪大丈夫だったのかなー。霜月も如月さんとあの時は同じ夢を見ていたのかなー。そんなことを考えていたが頭をリセットしてご飯来るまでネトゲをし始めた。駄目な高校生である俺は良い子である如月さんの笑顔を思い出すたびに現実が嫌になってくるのだった。


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