幼馴染みと夢を見る壱
少年は太陽に照らされている草原の中を風のように走り出す。走り出す足は目の前に塔が近付くと足を緩めた。塔の上を見ると大きな時計が見える。少年は上から人の姿を見えるのを確認してから、塔の扉に手をかける。古びた扉を奇妙な音を出しながら開けた。埃が舞ってるいるせいか気分は悪くなったが目的の場所に行くため前へと踏み出す。内装はレンガで外側が埋まれていて光が一切見えない。壁にある蝋燭の火を頼りに階段を登る。階段の段差は幅が小さく歩きにくい。走ると滑る危険性があるから走れない。すぐにいけないもどかしさを感じながら進みだす。上を見ても蝋燭の火以外に光が見えない。登り始めて15分後に上から光が見えた。不安だった心も晴れて足を速くした。やがて、光の先へにある扉の前までたどり着いた。塔の下の扉と同じ扉に手を添える。思い切り扉を開けると、強い風が全身にぶつかる。勢いある風のせいで目を瞑ってしまったが徐々に目を開けると、そこには俺の幼馴染みが立っていた。幼馴染みは俺に気がつくと驚きの目を見せた。まるで幽霊を見ているみたいだ。
「……葉月、どうして」
幼馴染みは悲しそうな声で俺の名前を言う。空が暗くなってくる。もう、そろそろ世界が終わる。
「また…お前と一緒に」
俺は最後の言葉を聞かずに目を閉じる。ごめんな。俺はお前と違う。お前の願いを叶えそうにない。そして、俺は一滴の涙を流した。
目を開けるとそこには床に転がっている自分の姿が壁掛けミラーで見えた。その一瞬で俺は理解した。あぁ、今までのことは全て夢だったのかと。そうだよなぁー、体育で2しか取っていない俺が風のように走れるわけがない。夢だとわかった瞬間、意識を現実に戻すため部屋を確認する。よれよれの布団、外の景色を見えないように黒いカーテンで隠している窓、昨日やっていたオンラインゲームが放置されている新型のコンピュータ、冷たい風が強になっているクーラー、よくわからないガラクタでうまれているカーペット。間違いない引きこもりである金谷葉月の部屋だ。何でだろうか、現実であることがわかったのに涙が出てくるのは。
「別にいいんだ。引きこもりで何が悪いんだ。これから、親の金で生きていくのに心を狭くしてどうするんだ!!」
他の人が近くに聞いていたなら「引きこもりは悪いし、親の金で生きているなら遠慮しろクズ」と言っているんだろうな。考えていただけでまた涙が出そうになりそうだ。落ち込んでいると下からチャイムの音がなった。また来たんだ。カーテンを少し開けて下を見る。黒い学ランの生徒はドアから出てきた俺の母さんと話をしていた。黒い学ランの生徒の正体は俺の幼馴染みである浪井霜月。勉強やスポーツもできる文武両道でクラスでも人気者である。根倉である俺と人気者である霜月が仲が良かったのは幼馴染みという繋がりあるからだ。毎日、霜月は俺の家に来ては一緒に学校に連れていこうとする。閉じ籠っている馬鹿に呼び掛ける優しい霜月。俺はそんな霜月に嫉妬している。最低な奴だなぁ、俺は。
「分かりました。また明日来ます」
話が終わったようだ。霜月は少しだけ開いてるカーテンを寂しげな目で見てくる。夢のことを少し思い出してしまった。
「……また、一緒に」
口にした言葉は凄く重たく自分にのしかかる。嫌な気分になってしまったので俺はもう一度寝るため布団にダイブする。少し寝よう。そして、忘れよう。




