未開のダンジョン 5階層
ジャスミンには母さんと姉さまの手伝いで、孤児院と農園の管理をお願いした。
俺たちは保留となってしまっていた未開のダンジョン攻略の続きに向かった。
ダンジョン5階層。
『このフロアに魔王の生まれ変わりの少女が居ます。』
『これは神の導きなのか? 策略なのか? どちらにせよ、弱い今のうちに殺すなり仲間にするなりしておかないといけないだろう。』
「みんなに伝えておかなければならないことがあるんだ。俺の職業は【賢者】だったのだが、いつの間にかに【真の勇者】に変わってたんだ。それで神様に聞いてみたのだが、魔王の生まれ変わりが産まれたから勇者をやってほしいと言われてね。その魔王の生まれ変わりなのだが、ここのフロアのどこかにいるらしいんだ。神様からは殺すか、仲間にするかは任せるって言われててね。俺はできれば仲間にしたいと思っている。」
「そうですか。いいんじゃないですか?」
「危険でなければ問題無いです。」
「それじゃ、基本的に仲間にするという方向でよろしく。」
最初に現れたのは一つ目で2mはある大きな鬼のオーガだった。
ここは悪魔の棲むフロアらしい。
*鑑定
種族: オーガ
ランク: B
スキル: 力溜め、会心の一撃
ドロップアイテム: 魔石、棍棒、革
巨大な棍棒を振り回し襲ってくる。
振り下ろした棍棒を避け、そのまま首を斬り落とす。
またはファイアボールで顔を焼く。
俺たちにとっては敵じゃなかった。
その後もコウモリ型のデビルバットや怪獣っぽいグレムリンが現れた。
どちらもCランクなのだが、飛び回り魔法を使うので厄介だ。
*鑑定
種族: デビルバット
ランク: C
スキル: 飛翔、超音波、吸血、音探知、風魔法
ドロップアイテム: 魔石、コウモリの羽
*鑑定
種族: グレムリン
ランク: C
スキル: 飛翔、幻術、闇魔法、炎ブレス
ドロップアイテム: 魔石、尻尾、革
魔法を使うときに詠唱を始めたら隙だらけになるので見逃さずにトドメを刺す。
魔物が使う魔法の詠唱も長いようだ。
さらに奥に進むとガイコツの騎士のスケルトンが現れた。
スケルトンは剣術を使って攻撃してくるので対人戦の練習に丁度良い。
Bランクなのでガイコツだけに骨が折れる。
*鑑定
種族: スケルトン
ランク: B
スキル: 剣術、盾術、加速、回避
ドロップアイテム: 魔石、鉄の短剣、鉄の盾、鉄の鎧、骨
そして、ボス部屋に到達した。
扉をあけると4階層と同じで3体の魔物が待っていた。
ちょっと待てよ。
ボス部屋まで来ちゃったけど、例の少女に会ってないぞ?
見落としたのか?
気付かなかったのか?
とにかく、ボスを倒してからまた探しに行こう。
*鑑定
種族: アークデーモン
ランク: A+
スキル: 火魔法、闇魔法、呪い、炎ブレス、鎌術
ドロップアイテム: 魔石、大鎌、角、革、宝箱
*鑑定
種族: ガーゴイル
ランク: A
スキル: 飛翔、呪い、眠り攻撃、石化攻撃
ドロップアイテム: 魔石、石柱、宝箱
*鑑定
種族: 悪魔神官
ランク: A
スキル: 火魔法、水魔法、風魔法、土魔法、闇魔法
ドロップアイテム: 魔石、杖、ローブ、宝箱
アークデーモンは、ワニと牛を合わせたような顔にオークのような中年太りの身体、手には大鎌を持っていた。
ガーゴイルは、ワシのような魔物の石像だ。
石像なのに羽ばたき浮いている。
どういう原理で飛べるのか不思議だ。
悪魔神官は、ローブを着て巨大な杖を持つ、明らかに魔法使いといった格好をしていた。
「今回も全力で魔法をぶっ放すのでちょっと下がっててね。」
仲間たちに結界を張った。
「行くぞ! インフェルノ! アブソリュート・ゼロ! サンダーストーム! エクスプロージョン!!」
粉塵がはれると3体の姿は無く、宝箱とドロップアイテムが散らばっていた。
木端微塵に吹き飛んでしまったらしい。
「あら? やりすぎちゃったかな?」
「何もせずに終わっちゃったじゃないですか。限度がありますよ。」
スノーがせっせとアイテムを拾い集めてくれた。
「あわわわわ。ごめんなさい! 殺さないでください! 何でもしますから許してください! うわぁぁぁん。。。」
ボス部屋の隅っこで土下座で平謝りしている少女がいた。
見た目は10歳くらい?
なぜか全裸なのだが。
裸で土下座ってシュールだな。
『あの子かな? 探す手間が省けて良かった。』
『あの子で間違いないですね。鑑定してみてください。』
*ステータス
名前: リリィ
称号: 魔族、ヴァンパイア×サキュバスのミックス
職業: 無職 (【魔王】:封印中)
性別: 女
年齢: 1歳
レベル: 30
状態: 混乱
スキル
魔力感知、魔力操作、魅了、吸血、統率、淫夢、催眠
ユニークスキル
全魔法適正、支配、眷属召喚、不老不死
「君は誰だい? ダンジョンマスターかな? 君を倒せばこのダンジョンを制覇できるのかな?」
「まってええええ! 私はダンジョンマスターじゃないよ。殺しても何もないよ!」
「じゃあ、そんなところで何をしているんだい?」
「私はここを棲みかにしようと思っただけ。ダンジョンコアをスキルで支配して仲間を増やしたの。ちょっとだけ暴走しちゃったけど。このダンジョンコアで召喚できる最強の子たちをボスにしたのに瞬殺しちゃうなんて信じられないわ。」
「それでスタンピードが発生したわけか。じゃあ、お仕置きしないとな。」
「ひぃぃぃぃ。ごめんなさい。悪気はなかったの。本当になんでもするから殺さないでええええ。」
「何でも? じゃあ、俺たちと仲間になって一緒に戦ってくれるかい?」
「え? 許してくれるの? もちろん仲間になるよ! 信じてもらえないなら契約を結んでもいいよ? 魔族の契約は絶対だよ!」
「わかったよ。じゃあ、契約を結ぼうじゃないか。俺たちや善良な民には危害を加えない。俺たちの秘密は絶対に守ること。俺たちを裏切らないこと。これでどうだ?」
「それだけでいいの? 奴隷になれとか、エッチなことしろとか言われると思ってたよ。」
「おい、そんなことしないから。嫁には間に合ってるし。スノー、マリー。この子の衣服を作ってやってくれ。じゃあ、契約を結ぼうじゃないか。」
「じゃあ、お兄さん。ちょっとこっちに来て。」
少女に抱きつかれると2人の周囲に魔法陣が発動した。
そして、首筋を噛まれた。
「これで契約完了。僕とお兄ちゃんは仲間になりました。」
「俺の名前はアオイだ。よろしくな。」
「あたしはリリィ。まだ生後2週間ほどしか経ってないんだ。」
魔族は、親が子を育てることは無く、産まれてすぐに自立し急速に成長し、数日で戦える状態になるそうだ。
あと1週間ほどでヒューマンでいう成人の状態まで成長をとげるという。
あと1週間遅かったら魔王になっていたかもしれない。
ギリギリだったな。
「ところでリリィ。ここにダンジョンコアがあるってことは最下層なのかい?」
「そうだよ。そこに宝物庫があるから持って帰ろう。」
「ということは制覇ってことで良いんだな。丁度かわいいワンピースも出来上がったみたいだし、地上に戻ろうか。」
『未開のダンジョンを制覇したのでエクストラスキル《スキル改変》を獲得しました。』
『ん? 《スキル改変》と《editor》って一緒じゃないのかな?』
『《スキル改変》の方が上位スキルのようです。他人のスキルも編集可能ですね。削除やコピーもできるようです。ユニークスキルも編集可能ですよ。』
『いろいろヤバそうなスキルだね。俺以外の人に渡ったら悪用しそうだよ。』
『エクストラスキルは唯一無二のスキルで、初回ダンジョン制覇者のみに与えられるものなので大丈夫ですよ。マスターは複製できちゃうから唯一無二ではなくなってしまうのですがね。取り扱いには注意しましょう。』
宝物庫にあった宝を全部インベントリに収納した。
「リリィ。ところでここのダンジョンマスターはどうしたんだ?」
「あっ! 忘れてた。邪魔だったから寝てもらっているの。起こしてくるね。」
奥からリリィに連れられて少年が現れた。
「おはよう。我はダンジョンマスターだ。まだ名前も付けていないダンジョンだったのにもう制覇されてしまったのか。それで我を倒してダンジョンマスターを引き継ぐのか?」
「いや、ここは君に任せるよ。王都に戻ってここのことを宣伝するから整備しておいてくれ。それとボスのランクはもう少し下げておいた方がいいぞ。それじゃ、俺たちは帰るね。」
「ボスの件、承知した。宣伝よろしく頼む。」
「じゃあ、みんな帰るよ。」
リリィを連れて地上に戻った。




