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73.「なにそれなんて無理ゲー」

書いていたら自然と主人公以外のキャラ視点になりました。

主人公の登場はもう少し先です。

 

 

 

 イオとメイランが森に残された数々のジェノザウルスの痕跡を見つけ、それを辿り後を追い始めた頃。

 ドラン、リック、シャロン、マリエル、エリーザ、マレットの六人はジェノザウルス相手に苦戦を強いられていた。



 ――――――。

 ――――。

 ――。





「ぐぁああっ!」


「ドラン!? マレットちゃん! ドランに回復を頼むっ」


「は、はいっ」



 恐竜のティラノサウルスにもにたモンスター《ジェノザウルス》が、尻尾を鞭のようにしならせ側面から攻撃を仕掛けようとしていたドランを吹き飛ばす。

 森の中にぽっかり空いたこの小さな広場のような空間を、全て攻撃範囲に収めたような攻撃だった。

 吹き飛ばされたドランは地面を数回バウンドし、さらに数メートルほど地面を滑るとようやく止まる。



 そんなドランを広場から少し離れた木の陰から目撃したリックは、すかさず離れた場所にいたマレットにドランを回復するように頼んだ。

 マレットも今は緊急事態と言うこともあり、男性恐怖症もなりを潜めておりリックの言う通りにドランに回復魔法を掛けた。



「それだけじゃダメ! マリエル、みんなに《ディフェンダー》を掛け直してっ」


「わかったわ~。《ディフェンダー》」



 今度はシャロンの指示でマリエルがこの場にいる全員に対し、補助魔法ディフェンダーを使う。

 この《ディフェンダー》という魔法は、対象者の物理攻撃に対する防御力を上げる補助魔法だ。



「っ!? た、大変ですっ、ドランさん、《気絶》状態です!」



 ドランに回復魔法を掛けていたマレットが、悲鳴にも似た声色でそう言った。

 マレットの言った《気絶》状態とはバットステータスのひとつで、一定時間気を失ってしまい動くことが出来なくなるという物だ。

 


「私があいつの注意を引き付けるから、マレットは解除魔法をドランさんに!」


「う、うんっ」


「他のみんなは魔法で攻撃して!」



 大声でそう言い残すとエリーザは双剣を手にジェノザウルスへと駆けていく。

 だがエリーザの双剣が届く前にジェノザウルスはいち早く反応してみせ、顎を大きく開き真っ赤な口内と鋭く凶悪な牙を剥き出しにしてエリーザに噛み付こうとする。



「させないよ! 《ウィンドニードル》!」


「援護しますっ、《アクアバレット》!」



 エリーザにジェノザウルスの攻撃が届く前に、シャロンとリックの魔法が炸裂した。

 シャロンの放った《ウィンドニードル》、リックの放った《アクアバレット》はそれぞれジェノザウルスの首と横っ面に命中する。

 ダメージが入った赤いエフェクトが発生し、ジェノザウルスは攻撃を中断せざるを得なかった。

 


 だがそれも一瞬のことで直ぐさまジェノザウルスは体勢を立て直し、再度エリーザへと頭を向ける。

 しかしその時にはもうエリーザは安全圏へと待避済みであった。



「ありがとう、シャロン、リックさん。おかげで助かったわ」


「気にしないで。それより……なんなのあいつ! こっちの攻撃殆ど効いてないんですけど!?」


「ジェノザウルスは魔法耐性が強いモンスターなんです。だから魔法による攻撃はあまり期待出来ませんね。全く効かないというわけではないんですけど」



 軽口を叩きつつもシャロン、エリーザ、リックは突進してきたジェノザウルスを避ける。

 幸いにもここは木々が生い茂る森の中だ。

 ジェノザウルスのように図体のでかいモンスターには、少々窮屈なためこうして会話しながらでも、楽々とは行かないがいなすことが出来ていた。



「でもさリックさん」


「はい? なんですか」


「ドランさんとかウチのエリーザが何度か仕掛けたけど、物理攻撃もあんまり効いてないよね?」


「それはジェノザウルスの皮膚の特性です。ジェノザウルスに一番効くのは槍や剣などによる刺突で、斬撃や打撃はあまり効果が期待出来ません」



 攻撃を避けられたジェノザウルスは、ゆっくりとその体を旋回させ再びこちらに方向転換しようとしている。

 だがやはり体の大きさが邪魔をして上手く行かないようだ。

 自分の図体を考えず、広場から飛び出してしまうような突進をしてしまうからだと、エリーザは皮肉を込めて呟いた。



 ちょうどその時ドランが《気絶》状態から回復した。

 ドランは回復魔法を掛けてくれていたマレットにお礼を言うと、横たわっていた体の側に落ちていた自身の斧を手に取り、再びジェノザウルスと対峙するため立ち上がった。



「え~っと、ちょっと待って。整理してみると、『魔法に強くて、尚且つ物理にも強い(刺突を除く)ボス級モンスター』ってこと? なにそれなんて無理ゲー」


「一応刺突は効くみたいだから、倒すのは無理ってことはないでしょ」


「でもエリーザ、今の私達のメンツを考えてみてよ」



 シャロンに言われてエリーザは今この場にいるメンバーを頭の中に思い描いた。



 自分……双剣。

 シャロン……魔法(攻撃系)

 マレット……魔法(回復系)

 マリエル……魔法(補助系)

 ドランさん……斧。

 リックさん……魔法(オールラウンダー?)



「……うん。ちょっとヤバイかもしれないわね。一応私の双剣も突きが出来ないわけでもないけど」


「でも双剣って突きより斬撃だよね。あ~あ、こんな時お兄ちゃんがいたらな」



 今この場にいない槍使いの兄のことを考えるシャロン。

 それを偶々耳にしたリックがシャロンに話しかけた。



「シャロンさんのお兄さんですか」


「そう、ウチのお兄ちゃん槍使いなんだ」


「なるほど、そうだったんだですか」



 納得したようにリックは頷く。



「僕の知り合いにも槍を使っている人がいるんですけど、今みたいな状況になるとわかっていたのなら、無理を言ってでもパーティに加えておきたかったですね」


「私も。無理矢理にでもお兄ちゃんをパーティに入れておくんだった」


「シャロン、リックさん。おしゃべりはそこまでにして。来るわよ」



 おしゃべりを続けていた二人だったが、エリーザに注意され軽く謝ると気を入れ直し、目の前の脅威へと集中する。



「ドランさん、体の方は大丈夫?」


「ああ、問題無い。さっきはすまなかった」


「いえ。ドランさんがいてくれなかったら私達のパーティはすぐに全滅していました」



 前衛であるエリーザとドランは武器を構え、他の者よりも前へと出た。



「じゃあ~、この魔法もみんなに掛けておくわね~。《スプリンター》」


「わ、私も。《癒しの光》」



 マリエルの魔法スプリンターは対象者の俊敏性を上げる魔法、マレットの魔法《癒しの光》は一定時間に限り自然回復する体力の量が増加する魔法だ。



「みんな頑張ろう! ドランさんの仲間が援軍を呼びに行ってるし、倒せなくても時間を稼げば良いんだから! あ、もちろん私達で倒しちゃっても問題無いよ~」



 シャロンの言葉にその場にいた全員が大小差はあれども、口元に笑みを浮かべた。






お読み頂きありがとうございます。


この場を借りて少々宣伝をさせて頂きます。


シリウスコミックより第一巻発売、ニコニコ静画にて連載中の『アルノサージュ』というゲームが原作の漫画。

私の親戚が描いていますのでよろしければ一度読んでみてください。

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