病室207号室
傷を負うのは簡単。それを癒やすのは簡単ではない。
「先生・・・どうでしょうか・・・」
「うむ・・・1日経ってもこれですと、かなり厳しいですね・・・もう少し、様子を見てからでないと・・・」
「あ・・・そ、そうですか・・・」
「とりあえず、包帯変えましょうか・・・」
空はがっくりと肩を落とす。
空の入院生活は始まったばかりだが、1日経っても痛みは引かなかった。
しかし、彼はそこまで落ち込んではなかった。
何故なら・・・
「・・・っと、そろそろ時間だな・・・」
時刻は昼の12:30。
空は売店でお菓子を買い、病院の屋上へと上がる。
そこに居たのは・・・
「あ!来てくれたんだ!」
「遅れてゴメン・・・その、車椅子、まだ慣れていなくて・・・」
「ううん、全然構わないよ。むしろ、遅れても仕方ないかなって」
「ご、ゴメン・・・あ、お菓子買ってきたけど、一緒に食べよう」
「え?買ってきてくれたの?ありがとー☆」
そう、彼女、桜川 風香がいる限り、空は簡単には諦められないのだから。
すると、風香の声が低くなる。
「・・・あ、あの・・・き、昨日は・・・そ、その・・・あ、ありがと・・・」
「へ?あ・・・い、いや、こちらこそ・・・」
「い、言っておくけど、あれ、ファーストキス、なんだから・・・」
「え!?・・・に、にしては、結構大胆なお誘いだったよね・・・」
「だ、だって・・・正直、モテるでしょ?」
「・・・へ?」
「容姿も整ってるし、スタイルいいし、モテそうな気がして・・・」
「そ、そうかな・・・今までそんなことなかったけど・・・」
「・・・もしかして、勘違い、だったかな・・・?」
「正直ここに来るまではモテたことはない・・・」
とは言うものの、彼は自分からアタックしたことは何度かあったのだが、ことごとく失敗に終わっていた。
(正直、風香には何か特別な・・・運命を感じる・・・いや、運命しか感じない!受け身って男らしくないけど・・・まあ、結果オーライってことだ!)
と、空は運命を感じている。
しかし、風香はというと、
(どどど、どうしよう・・・かなり失礼なこと言っちゃったかもしれない・・・。怒ってるかな?悲しんでるかも・・・)
と、さっきまでの自分の言葉を思い返す。
すると・・・
「「あ、あの、その・・・」」
「ありがとう」
「ごめんなさい」
「「えっ?」」
一部見事にハモってしまった。
空が先に口を開く。
「な、なんで謝ったの?」
「だ、だって、私、空のこと、まだよく知らなくて、もしかしたら触れちゃいけなかったのかなって・・・」
「た、確かに一瞬戸惑ったけど、気にしないで!」
「で、でも・・・」
「えーっと・・・ほ、ほら!今は風香がいるし!」
「えっ?」
「・・・・・・あっ」
訪れる静寂。空は焦りを隠せずに冷や汗をかく。
一方、風香はいままで感じた事のない感情を溢れさせる。
「・・・・・・あー」
「それって!」
「は、はいぃ!!?」
「・・・それって、告白?」
「・・・・えっ?あー・・・・そう、なる、ね」
「ホントに?」
風香の反応に戸惑いを隠せない空。
言葉は違えど、彼は彼女に、「今は風香が恋人」と、改めて意識させてしまったのだ。
(・・・お、俺も男だし・・・よし・・・)
「・・・う、うん」
「・・・そ、そっか・・・そっかあ・・・」
「・・・」
「・・・」
再び訪れる静寂。
すると、今度は風香から口を開く。
「・・・わ、私で良ければ、」
「うん・・・」
「こんな、車いす乗ってて、歩けない私で良ければ・・・よろしくお願いします・・・」
「こ、こちらこそ・・・なら、俺は風香の・・・」
「私の・・・?」
「風香の、足になるよ!」
夜空に浮かぶ星々は、彼らを見つめていた。
願いを叶える流れ星なんかないけれども、二人それぞれの傷は簡単には治らないかもしれないけど、
それでも二人は満足そうに夜空を眺め続けた。
3年空いても変わらない書き方。
次話からは「・・・」を「...]にしようか考え中。




