不幸中の幸い
『空』は『くう』と読みます。
とある病院。
「いててて・・・あの、どうですか、先生?」
「うーん・・・打撲の他にも、右足を軽く骨折していますね。正直、これで済んだだけ奇跡ですよ」
「そうですか・・・」
7月の上旬。僕、晴山 空は、トラックの事故に巻き込まれてしまった。被害者は僕1人だが、重症には至らなかった。
「まあ、長く見ても3ヶ月で治るでしょう。それまでは、おとなしくしていて下さい。しばらくは通院ですよ?」
「それで治るなら、よろしくお願いします」
「では、とりあえず明日も来て下さい。1日様子を見て、耐えられないようでしたら、その時は正直に申して下さいね」
「分かりました。ありがとうございました。失礼します」
ガチャ・・・バタン。
「・・・3ヶ月か・・・ま、3ヶ月ならいいか・・・」
しかし、彼の不幸は続いた。
その日の3日後、オートバイの信号無視、空はそれに激突。全治3ヶ月の足をまたしても酷くしてしまった。
その後も空は、不良に出くわしたり、学校の友達からの嫌がらせだったり、不幸が続いた。
そして・・・
「・・・先生、どうでしょう・・・?」
「・・・うーむ、ここまで酷くなると、入院ですね・・・」
「そ、そんな・・・ど、どれくらいかかりますか?」
「正直、治るかも分からない。ここまで酷くなるとは・・・とりあえず、空いている病室に案内しますので・・・」
「は、はい・・・」
空は絶望した。案内された病室に入った。
「何かあったら、コールして下さい」
「は、はい、分かりました・・・」
ガチャ・・・バタン。
「・・・はぁぁ、不幸過ぎだよ、こんなの・・・」
部屋の中、1人でぶつぶつ喋る。
「・・・売店、まだやってるかな?」
もう夜の8:50。そろそろ閉まるんじゃないかと思った空は、車椅子に乗り売店へ。
売店は各階に1箇所ずつある。空の病室がある2階にももちろんあり、さほど遠くもなかった。しかし、慣れていない車椅子の操作に戸惑いもあり、着いたのは9:00を過ぎた。
売店は閉まる前だった。
「「あ、あの!」」
瞬間、後ろから声がした。
「え?」
振り向くと、そこには同じ車椅子に乗った、女性だった。
「あ・・・ごめんなさい。うるさかった?」
「あ、いや、そんなことは・・・」
「あらあら?そちらの男性は、今日入院した晴山さん?」
売店の女性が話しかけてきた。
「え?あ、はい」
「もう閉めちゃう時間だけど、最初だから、特別よ♪」
「あ、ありがとうございます。あ、あの、こちらの女性もよろしいですか?」
「えぇ。かまわないわ」
そう言って、2人でお菓子を買った。
そして売店は閉まった。
「・・・ありがとうございます。貴方のお陰で、お菓子を買えました」
「いえいえ、そんな大したことじゃ・・・」
「あの、良かったら、屋上で食べない?今日は天気がいいから、星も見えるでしょうし・・・案内も兼ねて、ね?」
「ホント?なら、お願いします!」
2人は屋上に向かった。
屋上の扉を開けると、満天の星空が広がっていた。
「わぁー、きれーい♪」
「ホントだ・・・こんな星空、見たの久しぶりだ・・・」
「そうなの?」
「うん。あ、君の名前は?」
「教えてほしいの?」
「あ、嫌なら別に・・・」
「・・・なら、キスして・・・」
「・・・へ?」
「私、待合室にいる貴方を見て・・・こう、運命的なものを感じたの・・・だから、もし、名前を教えてほしかったら、キス、して・・・」
(え?待合室?そーいえば、あの時も確かに車椅子に乗った女性を見たけど、そんなの他にもいたけど・・・そ、それはおいといて!こ、これはチャンスだ!もしこれで、勢いでキスをすれば・・・!)
しばらくしてようやく決意して、深呼吸をする。
「じ、じゃあ・・・んっ」
チュッ・・・
「んっ・・・」
星空の下で、2人はキスをした。
どのくらいしていたか、わからない。
5分くらいしていたかもしれない。
しばらくして、女性は唇を離して、言った。
「・・・桜川 風香よ・・・」
「そ、そっか・・・良い名前・・・僕は、晴山 空」
「空・・・良い名前ね・・・」
「あ、ありがとう・・・あ、あのさ・・・」
「・・・そろそろ戻ろっか・・・また明日ね・・・」
「う、うん!また明日!」
「うん・・・あの、よろしくね♪」
こうして、彼の病院生活が始まった。
気分を改めまして、ということで、こんなものになりました。
一応早めに次話を書こうと思います。




