『第100話 マカロン次の目標』
いつも応援ありがとうございます!
皆様の温かい応援のおかげで、ついに大台の【第100話】を迎えることができました!
本当に、本当にありがとうございます!記念すべき第100話は、マカロンが焼き上がった大ピンチ(?)から
スタート。
あまりにも甘く魅力的な香りがホテル全体に広がった
せいで、公爵家が泊まる部屋のドアを激しく叩く音が
止まりません!
部屋の前に直々に押し寄せてきた料理長と、それを必死に止める部下たち。
一方、部屋の中ではお兄ちゃんたちやジント様
そして復活したみちゃーれと萌ちゃんが、この事態を
どうするか話し合っていて……?
マカロンの香りに釣られて集まってきた可愛いお友達の登場や、物語の核心に迫る萌ちゃんの
「次なる大きな目標」も明かされる、特別で大ボリュームな第100話をお楽しみください!
ドンドンドンッ!
部屋の重い扉が 激しく揺れていた。
マカロンの甘い匂いがホテル全体に広がったおかげで、部屋のドアを叩く音が
さっきからずっと止まらなかったのだ。
「開けてくれ! この甘い匂いはなんなんだ! 一口だけでもいい、味見をさせてくれーー!」
「料理長! さすがに無理ではないですか!? ここは公爵家の方々がいらっしゃるんですよ!」
どうやら匂いの凄さに正気を失った
ホテルの総料理長が、直々に公爵家の
ドアの前まで来てしまったらしい。
それを部下が必死になって止めているが、料理長がやめる様子は全く伺え
なかった。
そんな外の大騒ぎをよそに、部屋の中ではライダにい様、アレクにい様、ジント様、そして私の頭の上で完全復活した
みちゃーれと私が、この状態をどうするか話し合っていた。
「ちっ、この甘ったるい匂いはこの部屋じゃあ誤魔化せなかったか。それもそうだよな……匂いを嗅ぐだけでもヨダレが止らねえもんな」
ライダにい様はドアをじっと見つめ
ながら、太い腕を組んでうなっていた。
いくら隠そうとしても、この異世界で
誰も嗅いだことのない極上のスイーツの香りは、壁を透過してホテル中に
飯テロ……いや、お菓子テロを巻き起こしてしまっている。
「しかも、マカロンにつられて下級精霊たちがふわふわと浮かんでるんだよね」
アレクにい様が部屋のあちこちを見つめながら、スマートに眼鏡を押し上げた。
アレクにい様の視線を追って周りを見てみると、なんと部屋の中に、光の粒の
ような小さな下級精霊たちがたくさん
集まってきて、マカロンのまわりを嬉しそうにふわふわと飛び回っているではないか。
(わあ……本当だ! お砂糖とアーモンドの特別な甘い魔力に釣られて、精霊さんたちまで集まっちゃったんだ!)
言葉はまだ「ばぶばぶ」しか言えないけれど、私は頭の上のみちゃーれと一緒に、ふわふわ浮かぶ精霊さんたちを目で追いながらパタパタと短い手を振った。
みちゃーれの口元には、さっき食べた
マカロンのピンク色のクリームが可愛くくっついている。
「ふん、騒々しいな。萌ちゃんとの神聖なおやつタイムを邪魔する奴らは、俺が全員ぶっ飛ばして――」
「ライダ、待て。相手はここの料理人だ。萌ちゃんの作ったお菓子の価値を
理解させるには、力ではなく味で分からせるべきだよ」
アレクにい様がライダにい様をなだめる。
ジント様も優しく微笑みながら、大理石のトレイの上に乗ったいくつかのマカロンを指差した。
「まだたくさん残っているからね。
萌ちゃん、彼らにもお裾分けをしてあげようか」
「ばぶぅ! あぅーっ!(うん、みんなで食べよーっ!)」
私が元気よくバンザイして賛成すると
ジント様はそっと近づき、部屋の大きな鍵を開けて、扉をがちゃりと開け
放った。
「うわあああーーーっ!!」
なだれ込んできたのは、目が血走った
ホテルの総料理長と、慌ててそれを止めようとしていた従業員たちだった。
だが、彼らは室内に一歩足を踏入れた
瞬間、さらに濃厚になったマカロンの
香りと、光り輝きながらふわふわと浮かぶ下級精霊たちの幻想的な光景に
包まれ、まるで雷に打たれたかのようにその場に呆然と立ち尽くした。
「な、なんだ……この香ばしさは……。
精霊たちまで魅了する、神の果実のような甘み……。料理人のプライドに
かけて、こんな匂いは嗅いだことが
ない……!」
料理長がフラフラと大理石のテーブルに近づいてくる。
その視線の先にあるのは、コロンとした丸いフォルムが愛らしい、ピンク色の
マカロンだ。
中のクリームが綺麗なうずまき状に挟まれているのを見て、料理長は息を呑んだ。
私はトレイからマカロンを一つ手に
取ると、短いおててで料理長に向かって
「ばぶーっ!(はい、どーぞ!)」
と差し出した。
「えっ……? これを、俺に……?」
料理長は、まだおぼつかない足取りの
赤ちゃんである私から、宝物を受け取るようにして恭しくマカロンを受け取った。
そして、緊張した面持ちでパクリと口に放り込んだ。
サクッ。ジュワッ。とろ〜ん。
「っ!?!?!?!?」
料理長の目が、これ以上ないほどカッと見開かれた。
「な、なんだこの食感は……ッ!? 外側はサクッと信じられないほど儚いのに
中はしっとりとしていて、濃厚な甘みが口いっぱいに広がる……!
それにこの、鼻に抜けるアーモンドの
気高い風味と、木苺の鮮烈な酸味の調和はなんだ……!!」
料理長はその場に崩れ落ちるようにひざまずくと、大粒の涙をポロポロと流し始めた。
「美味い……美味すぎる……! 料理長と
して何十年も生きてきたが、こんな至高のスイーツは見たことも食べたことも
ない……! これを作ったのは、一体どこの天才パティシエなんだ……!?」
ジント様が私の前に立ち、抱き上げて
みんなに見せるように誇らしげに微笑んだ。
「作ったのは、我が領地が誇る天才
赤ちゃん、萌ちゃんだよ」
「な……っ、この赤ん坊が……!?」
料理長をはじめ、従業員たち全員が
ひっくり返りそうになりながら驚愕の声をあげた。
「ばぶーっ!(えへへ、おいちー?)」
私がジント様の腕の中でご機嫌に笑って見せると、大人たちは一斉に
「おお……神の申し子か……!」
「伝説のパティシエ赤ちゃん様だ……!」
と、まるで聖女様を拝むかのように両手を合わせて拝み始めてしまった。
(あはは、みんなすごい大袈裟だなぁ。でも、喜んでもらえてよかった!)
頭の上のみちゃーれも
「にゃーん(萌のすごさが分かったか
にゃ)」と自慢げに胸を張っている。
ライダにい様とアレクにい様も
「どうだ、俺たちの可愛い萌ちゃんは
世界一だろう!」と我がことのように
威張っていた。
こうして、ホテルの大人たちを完全に
ノックアウトしたマカロン大作戦は
大成功のうちに幕を閉じた。
みんなで残りのマカロンを囲み、温かいお茶を飲みながらほっこりとした時間が流れる。
(マカロンは完璧に作れた。お兄ちゃんたちやジント様、みちゃーれのおかげで、異世界での最初のお菓子作りは
大成功だ!)
もぐもぐとマカロンを噛み締めながら
私は小さなおててを見つめた。
マカロンの次は、私にはどうしても達成しなければならない大きな、大きな目標がある。それは、この赤ん坊の姿から元の姿に戻ることだ。
私が寝ている時の夢で神様は私にこう
言っていた。
『ある物を見つけると元に戻るし、今
よりお姉さんになるかもね』と。
その『ある物』が一体何なのか、今の私にはまだ分からない。けれど、たくさんの人や物資が集まるこの大市場
『グランマルシェ』なら、きっとその
手がかりがあるはずだ。
グランマルシェでその『ある物』を絶対に見つけて、元の姿に戻る。
それこそが、私の次なる本当の目標。
「ばぶぶっ! あぅ、あぅーっ!
(にい様、ジント様! 萌、次の目標に
向かって頑張るね!)」
私がやる気に満ち溢れた顔で
「ばぶー!」と拳を突き上げると
お兄ちゃんたちとジント様は、力強く頷いてくれた。
「おう、次は何が必要なんだ萌ちゃん! どんなものでも、俺が地の果てまで行って取ってきてやるぜ!」
「僕の頭脳もさらにフル回転させよう。萌ちゃんの次の目標のためなら、なんだって手伝うさ」
「私も全力で君をサポートするよ
萌ちゃん。君の描く『次の夢』を
一緒に形にしよう」
頭の上のみちゃーれも「にゃあ!
(僕もずっと一緒だにゃ!)」と元気に鳴いた。
大好きな家族と相棒、そして大好きな
ジント様に見守られながら。
天才パティシエ萌は赤ん坊から
元の姿を取り戻すための新たな大冒険が、ここから幕を開けるのだった。
(第100話 完)
記念すべき第100話をお読みいただき、本当にありがとうございました!
皆様の温かい応援のおかげで、ついに大台の100話に到達することができました。本当に感謝しかありません!
第100話では、マカロンの美味しさでホテルの料理長たちをガチ泣きさせた萌ちゃんですが、ラストには物語を
揺るがす超重要な新展開が!神様が言っていたという
「ある物を見つけると元の姿に戻れる(今よりお姉さんになるかも)」という言葉。
その手がかりが、これから探索する大市場『グランマルシェ』にあるようです。
お菓子作りの才能を発揮しながら、萌ちゃんは無事に元の姿を取り戻せるのか? 新章の展開もどうぞお楽しみに!
次回予告:特別編開催いたします!さて、新章突入の
前に、次回は【特別編】をお届けいたします!
萌ちゃんたちがグランマルシェで大騒ぎしている一方
今現在のヴィンテー・ラジ家のお母様とお父様は一体
どうしているのでしょうか……?
萌ちゃん恋しさに大変なことになっていそうなご両親の様子を、ちょっとだけ覗いてみましょう!
100話記念の最大のお願い 「100話到達おめでとう!」「元の姿に戻る目標、めちゃくちゃ気になる!」
「次回のパパとママの特別編が楽しみすぎる!」
という方は、この大きな節目に、ぜひ作品への最大の応援をお願いいたします!
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見つけるための最強の幸運魔力になります。
星を5つ満点にして応援していただけると、作者も嬉しくて飛び上がってしまいます!これからも萌ちゃんたちの冒険をどうぞよろしくお願いいたします!




