ノーハートエンジェルの祭り ①
アーガイルという奴らを調べてみると、本当に酷かった。
やはりPKをメンバーとしたグループらしい。あいつらを鑑定してみたら所属グループがアーガイルというグループという鑑定結果もあったようだ。
被害者は結構いるもんだな……。
「運営はBANしないのかね」
そういう悪質なプレイヤーはBANの対象となりそうなものだけど。
多すぎて追いつけないとか? 最近の日本って治安悪いからな……。こういう奴らが増えるのはまぁ、理にかなっているというかなんというか。
ゴキブリ並みの生命力に虫のような増殖能力。本当に今の日本はどうかしてるな。
「死ぬ苦しみとか味わってないからこそこういうことできるんだろうなー……」
かくいう私も苦しまずに死んだのだが。
「被害が及ぶ前になんとかしたいな。みんなで手を組んで潰さないかと」
私がそう書き込むと、鬱憤がたまっていたのか知らないけれど、参加希望と書き込んでくる人がたくさんいたのだった。
そして、有志が拠点の場所などを調べており、いつのまにか先に行って調べておく、今から俺らが祭りの準備をしておくと書き込みがあった。
「今から祭りか……」
私は掲示板を閉じる。
「ふぅ。できました、シグレさん」
「お、ちょうどよかったな。少し急用ができて今すぐ行くことになった。ありがとね」
「いえ!」
私は鎧を受け取り、急いで調べられた拠点の場所に行く。すると、大勢のプレイヤーがとある建物の前に集まっていた。
建物は大きく、人がいる分大きい建物を得ることができたのだろう。
「あなたが祭りの主催者ですか?」
「え? ああ、そうです」
「思い切りましたね。ですが、ありがとうございます。アーガイルをここまで潰したい奴らがいるということは安心です」
「そうですね……」
意外と多かった。が、懸念はあり、味方だと偽っている敵がいるかどうか、だ。
迅速に決断してすぐ実行に移したはいいが、相手のほうに筒抜けだった場合急に仲間の振りをする可能性がある。
……まぁ、それは考えている暇はないか。
すると、建物の中から誰かがでてきた。
「あれ、心無き天使さんじゃね?」
「うわ、まじだ!」
「主催者って、もしかして心無き天使さん!?」
なにそれ。広まってんの?
私は心無き天使じゃなくて体無き天使なんですけど。
「心無き天使さん。ぜひあなたが先陣を!」
「え、私?」
「はい! 天使様の後に続いて我らも行きます!」
と、なんだか私のハンドルネームが心無き天使になっている感じだった。天使さんはいいが心無き天使は少し嫌だ。私だって心ぐらいあるもん。
ま、みんなに先陣切ることを望まれたのならしょうがない。
「わかったよ。本当に後に続けよ」
と、私は煌雨の弓を持つと、あるスキルを思い出した。そういえば私のスキルに心無き天使ってあったな……。もしかしてそれか?
……まあ、考えたら負けだろう。
「まずは一本」
私は建物の一室めがけて矢を放った。矢は建物を貫き崩壊させた。
「よし、続け!」
そして、プレイヤーたちが一斉に扉をけ破りアーガイルの拠点へと攻め込んでいったのだった。




