ピッツァが食べたい! ②
私の評判はいつの間にか悪くなっていたらしい。心無き天使ってなんだ。心ぐらいあるわ。
あれをやったのはハルサメなんだけど。ものすっごい風評被害だ。
「なんかめちゃくちゃショック受けてますね……」
「心無き天使ってなんだよちくしょう……」
「おまたせいたしました」
「ほら、運ばれてきましたよ」
そういうので、私はピザカッターを手に取り、綺麗に八等分にする。そして、一切れを持ち上げ、口の中へ。
チーズが美味い。アスパラガスの触感やトマトの風味なども合わさってとてもうまい。あと生地がカリっと焼かれていて美味しいな。
「くぅ! 久しぶりのピッツァ美味い……」
「僕も久しぶりですよ。冷凍のピザならたまに食べてるんですけどこんな本格的なのは久しぶりです」
「そうなんだ。でも都会にピザ屋って割とあると思うけど」
「僕の住んでるところは田園風景が広がるど田舎なのでないんですよね。近くのピザ屋まで100kmあります」
うわ……。そこまで?
100kmって県またがるじゃん。
「あ、あとシグレさんに会ったら報告したいことがあったんですよ」
「報告?」
話を切り出してくる。告白だろうか。
「あの、ついに僕、自分自身の工房を持つことができまして!」
「おお、ついにかおめでとさん!」
「はい! なのでこの後何もなかったら来ませんか? お礼もありますし何か装備でも……」
「作ってくれんの? それはありがたいんだけど、今のこの装備が割と強いからなぁ……」
「そうなんですか?」
私は皇帝の服について説明する。
防御力が序盤にしては本当に破格であり、しばらくはこれでいいと思う。武器も武器で割と完成されているしまだ大丈夫なほうなのだ。
だから鍛冶屋に作ってもらうものは……。
「あ、そうだ。可愛くて防御力がある鎧とか作れる? 色はピンクか白がいいんだけど」
「ああ、レシピありますよ」
「まじで?」
「素材も確かあったと思いますし作ってあげましょうか?」
「頼むよ」
私はリンドウに頼む。
「わかりました」
「代金は?」
「そうですね……。ピザ奢ってくれるだけでいいですよ。フレンド料金です」
フレンド料金……。いいな。
私は奢ってやると豪語し、ピッツァを食べる。
「でもいいんですか? 自分のじゃなくて」
「いいのいいの。機嫌取りのためだから」
「機嫌取り?」
「いやぁ、ちょっとした軽いいたずらで怒らせたというか泣かせちゃったからね。可愛い装備を上げて機嫌とるんだよ……」
「た、大変ですね」
「まぁね。私の友人感情豊かだから」
喜怒哀楽の怒る以外はある。
私はミノルが怒ったところは見たことがない。悲しんだり、笑ったりするのはたくさん見ているが、ミノルが怒った顔なんて言うのは見たことがない。
ああ見えてめちゃくちゃ優しいからな……。
「ま、自分で蒔いた種だし大変だけど気が楽だから一緒にいてすごく楽だよ」
「いい友人なんですね」
「そうそう。リンドウも作ったほうがいいよ、そういう友人」
私はピッツァをほおばる。




