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82話 準備の準備の仕方

〜前回のあらすじ〜

モナに追い出された

情報収集じゃーー!


 情報集め、誰にしよっかなー。

 お、バーのカウンターに一人でいるおっちゃんなんていいかも。行ってみよう!


「マスター、オレンジジュースを」


 おっちゃんの隣に座る。気分はまさにトレンディ俳優。


「プッ……はいよ」


 あ!こいつ笑いやがった!ぐぬぬっ!


「悪い悪い、そう睨まないでくれよ。オレンジジュースは俺が奢ってやるから」

「マジか!やったー!」

「クックック、元気だねぇ」


 あ、素が出てた。情報収集だからな。今の俺はトレンディ俳優っと。


「マスター、隣のお客さんにこれと同じ物を」

「プフッ……わかった」


 あ!またか!……まあいい。トレンディ、トレンディ。

 マスターは隣に座っているおっちゃんにオレンジジュースを出してくれた。隣のおっちゃんが俺の方へ視線を向けてくる。俺はウインクを返す。するとおっちゃんはそっぽを向き、肩が震え始めた。


「プハッ……クッ……フフフッ……」


 あ!こいつ笑ってやがる!ってマスターも肩が震えてんぞ!


「笑うって酷いだろ!?そして、おいマスター!笑ってんのバレてるからな!?」

「わ、悪い悪い……フフ……もうちょっとちゃんとしてるつもり……プフッ……だったんだが」

「クックックッ……無理、もう無理。めっちゃ面白いもん……クックックッ」


 マスターめっちゃ笑うじゃん。


「もう!……まあいいや。これから遠出したくてさ、準備の仕方を教えてくれない?あと、気をつける事とか、何かアドバイスも欲しいんだ」

「なんだ、そういうことか。なら見返りはあるのか?」

「さっき、さんざん笑ってたのは誰かな?」

「まさかそれが対価だって言うのか?」

「そのまさかだよ。遠出の準備なんて商店で聞けば大抵の場合、教えてくれる。おっちゃんに聞いたのはベテランの冒険者なら俺の気付かないことを教えてくれるかも、と思ったからなんだ。ちょっとしたアドバイスくらいなら、おっちゃんのひと時に笑顔を与えるって対価で充分じゃない?オレンジジュースもあげたし」


 まあ、商店で聞くと要らない物も買わされそうだからギルドに聞きに来たんだけどね。


「へぇ?まあアドバイスくらいならしてもいいかな。クックックッ……オレンジジュースも貰ったしな」

「でしょ?」


 気前のいい君にはウインクしてあげよう!


「プッ……アッハッハッやめろって!背伸びしてるガキにしか見えねえよ!アッハッハッハッ!痛っ!!脛を蹴るなよ」

「笑い過ぎ!笑った分アドバイスしてもらうからね?」

「クックッ分かったよ。ならまずは、どのくらい遠くへ行く気なんだい?」

「竜の里までね」

「ふーん。観光か?」

「まあそんな所」

「結構遠いな。なら保存食は少しにして現地で買うのが良いぞ。買うのは移動中に食べるくらいだけだ。保存食と言っても腐るからな」

「なるほど……」

「あと、宿で寝る以外は必ず浅く眠れ。魔物や賊に襲われた時に逃げれるようにな。上位の冒険者になると身体の周りと周囲10mくらいに魔力で薄い膜を作るらしいがな」

「10mはわかるけど身体の周りはなんで?」

「乗り合い馬車に乗るとたまにスリに遭うんだ」

「なるほど」


 敵は内にありってヤツか。ちょっと違う?


「テントも正直いらないな。一人で野宿する気はないんだろ?乗り合い馬車では馬車の中で寝ればいいからな。あ、馬車の床が硬くて嫌ならタオルケットを持っていくといい。寝る時に寒ければ被ればいいし、下に敷いてケツが痛くなるのを防げるからな」

「ん、持っていくことにする」

「まあ、最悪、金と冒険者証を持ってればなんとかなる。金が無くなれば依頼を受けて稼げばいいからな」

「おお!なるほどね!」


 いいねそれ!旅って感じがして!


「そんなところかな?」

「いい店紹介して?」

「クックッ、いいぜ。ここに行くといい。質の良い物が安く手に入る」


 そう言って店の場所と名前を紙に書いて渡してくれた。


「ありがとう!じゃあまたね!」

「おう!気をつけてな!」


 俺はそのまま冒険者ギルドをあとにした。



 ♢



 さあ来ました商店街!ここは商業地区にあり、少し安く手に入ったりする。あと品揃えがいい。

 おっちゃんが紹介してくれたのはあの店かな?


「たのもーー!」

「いらっしゃいませ。おや?坊ちゃん、どうしたのかな?」

「遠出をするから商品を見せてくれないかい?」

「おお、お客さんでしたか。失礼しました。それでは案内いたしますね」


 へぇ、子供は門前払いって事はないんだな。客扱いしてくれるし。おっちゃん、いい店知ってるね!


「ひとり旅ですか?」

「うん、竜の里まで行くんだ」

「ほう、竜の里ですか。なら近付き過ぎないように注意してくださいね。観光地として竜の里の門は有名ですが、魔力濃度が高すぎて近付くと破裂するらしいので」

「へ、へぇ。そうなんだ」

「ええ、毎年何人か破裂しているらしいですよ?」


 マジすか。俺、観光じゃなくて修行しに行くんですが。ていうか、破裂って!!魔力、怖っ!!

 え?行くのやめるかって?行くに決まってるじゃん!破裂はやだだけどね。


「遠出するならまずは鞄ですね。大き過ぎると邪魔ですが、少ないと不便ですからね。慎重に決めましょう」



 ♢



 鞄は背負うリュックタイプにした。色は緑と焦げ茶色や淡いだいだい色なんかを使ったカッコイイ物にした。黒だと中が熱くなるらしい。

 ちなみに50Lの物だ。あれ?ちょっと小さくない?って思う人もいるかもしれないが、小学生にとって50Lのリュックってそこそこ大きい。それに荷物が多いと重くて動けなくなるからこれくらいがベストだ。


 あと、面倒なので会話は省くが、水筒と保存食入れ、小さなフライパンと試験官みたいな調味料入れを三本買った。お金は今まで俺が冒険者して稼いだお金の半分が飛んだとだけ行っておこう。

 まあ、そんなに稼げる依頼は受けてないんだけどね。

 あ、ちなみに冒険者ランクはE級まで上がった。これでなんとか街から自由に出られるようになったよ!


「あとはテントですね」

「あ、テントはいらないです」


 危ねーー。すごい自然な流れでテントすすめてきた。危うく買うところだった。


「そうですか?」

「うん、いらないです」

「わかりました。では以上ですね。何かお求めでしたらまたこの店をご利用ください。お安くしますよ?」

「ありがとうございました。また来ますよ」


 そう言って店を後にした。



 ♢



 その後は塩、胡椒、植物油を買って、調味料入れに入れた。植物油は太陽花の種から採れたものらしい。ちょっと高かった。太陽花って多分ひまわりだよな。確か、ひまわりの種もいい油が採れるらしい。


 胡椒は塩と同じくらいの値段だった。人工栽培が盛んらしい。塩も塩田があるんだって。なので比較的安価だった。


「よし、あとは旅の間の服と靴か。服は冒険者してるときの服でいいとして、何かあったら現地調達でいいかな。靴は自分が今履いてる靴と家にあるもう一足を持っていけばいいか」


 靴は新品を買うと靴擦れして痛いからね。最悪、現地調達かな。何でも現地調達だな(笑)。

 旅では持ちすぎないのがセオリーらしいから、これで正しいんだと思うけどね。


「じゃあ、準備も終わったし帰りますか」


 時間も6時前くらいだ。帰ろう。

 今夜の夕飯なにかなー。

何を食べよう?_(:3 」∠)_

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