75話 おじさんと会話
〜前回のあらすじ〜
デートしてたらおじさん達に囲まれた!
俺とマリーは周りを男達に囲まれていた。
背にマリーを庇ったまま戦えない。さっさと倒すか?いや、足運びを見るに男達はかなりの手練れだ。下手に動けない。まあ、最悪マリーを抱えて逃げるかな。
「どちら様ですか?デートの途中なので邪魔しないでくれますか?」
あれ?なんだろう。男達が生温かい目で見てくる。
「これは失礼しました。小さな紳士さん。私どもはさるお方の警護を行なっているのですが、そのお方がにげだしましてね?」
後ろのマリーがビクッとする。
「街中を血眼になって探していたんですよ。ねえ、お嬢様?」
マリーが渋々と前に出てくる。知り合いか?
「……は、早かったわね!さ、帰るわよ!」
あ、知り合いなんだ。笑顔なのにすごく怖いな……。マリーはなんとか有耶無耶にしようとしてるみたいだけど。
「………………何か言うことはないですか?お嬢様?」
「すみませんでした!!!」
おー、傲岸不遜のマリーが謝った。自分がどれだけ心配をかけたのか理解してるんだな。
「はあ、説教は帰ってからです。皆心配しているので帰りましょう」
「……わかったわ」
マリーが振り返って俺の方を見る。
「ケイ!今日は楽しかったわ!迎えが来たからこれで帰るけど、また縁があったら会いましょう!」
そう言って目の前の馬車に乗り込んだ。
「ああ、今度は誘拐されるなよ」
「あ!それは言わないで!」
「……お嬢様?どういうことですか?」
「うっ!バレた……」
「後で詳しく聞かせてもらいますからね」
おっと、口が滑っちゃった(笑)。
「しゃあねマリー。元気でね」
「ええ!ケイもね!」
俺は馬車に揺られて去っていくマリーに手を振って見送った。男達も馬車を囲むように移動していった。
「あれ?おじさんはついていかないの?」
さっき話していた一人だけこの場に残っていた。
「ええ、貴方と話してみたかったので。ちなみにお兄さんです」
「ふーん。話って何?」
「まず、お嬢様を守っていただき、誠にありがとうございました」
そう言って頭を下げた。
あのお嬢様は十中八九貴族だ。そして貴族に仕える人もまた、貴族に準ずる者達で形成されている。つまり貴族の次男や三男だ。さっきの男達もきっとそうだろう。そしてこのおじさんも。
何が言いたいかと言うと、お貴族様が平民に頭を下げて感謝するなんてビックリだね!ってこと。
「お嬢様は誘拐されていたんだよね?君がいなかったらと考えると寒気が止まらない。本当にありがとう。これは気持ちばかりだが、受け取ってほしい」
そう言って取り出したのは質の良い革袋だった。中から硬貨のジャラジャラと擦れる音がするので、お金だろう。
「いらないよ」
「なっ……!じゃ、じゃあお菓子はどうだい?」
「それもいらない。だってそれを受け取ったらマリーとの関係も終わってしまう気がするんだ。だから何もいらない」
するとおじさんはハッ!としていた。
「……そうだね。私が間違っていた。そういうことなら私はこれで失礼しよう」
完全にドヤ顔で決めた俺だったが、少し後悔していた。
うわー、受け取っときゃ良かったかなっ……。だってパンパンに入ってたよ?パンパンに!(笑)
まあ、冗談はさておき、多分あれは口止め料だろう。貴族なら悪い噂は消しておきたいはずだ。うわー、殺しにくるかな?面倒な……。
「そうだ、これを渡しておこう」
渡されたのは紋章の掘られたコインだった。紐が結び付けられ、首から下げられるようになっている。
「何か困ったことがあれば、出来る範囲で助けよう。屋敷の場所はその紋章を衛兵に見せれば教えてもらえるはずだ」
おお、結構すごいものを渡されたな。助けてくれるのか……。お金を下さいって言おうかな(笑)。いや、そんなこと言ったらカッコ悪すぎるから言わないけど(笑)。
「それじゃあ私は帰るよ。お嬢様への説教があるからね」
「ありがとう、おじさん」
「お兄さんな」
「わかったよ、おじさん」
「……わざとやってる?」
「そんな訳ないだろ?おじさん」
「あ!また!おじさん、そろそろ泣くぞ!?」
「自分でおじさんって言ってんじゃん」
「あ……」
「それにおじさんは渋くてカッコイイ、ナイスミドルだよ」
「……そうか。ありがとう。なんか、おじさんでいい気がしてきたよ。それじゃあね、小さな紳士さん」
「うん、さよなら」
そう、おじさんはもうおじさんだよ。だって苦労人臭がするんだもの……。きっとこれからもお嬢様に振り回されるんだろうけど、頑張ってね!
ホットケーキ食べたい。メープルシロップをかけて_:(´ཀ`」 ∠):




