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76話 マリーはお姫様(←ネタバレ)

書けたー!

 ーーーマリー視点ーーー


 馬車に揺られながら流れる風景を眺める。夕陽に照らされた街並み、家へ帰る子供達、全裸で叫ぶ変態……あ、捕まった。それにしても今日は楽しかった。まさか脱走してすぐに誘拐されるとは思わなかったが、お陰でケイに会えた。「寄り道には寄り道にしか咲かない花がある」ってやつだね。歩きながら食べた串焼きは美味しかった、立ち寄った小物屋さんはキラキラしてて綺麗だった、街は活気に溢れていた……。もう会えるとは思えないけどね……。


 ガチャ


「お帰りなさいませお嬢様」

「ええ、ただいま!」

「さっそくですが……」


 どうせお父様だろう。……めんどくさ。


「分かってるわ。どうせ呼び出しでしよ?場所は謁見の間?」

「執務室です」

「そう……」


 うわー、行きたくない。謁見の間なら周りの目があるけど、執務室は完全にプライベートだ。うへー。


「二時間後にお越しくださいとのことです」

「うぇ……」

「お嬢様?」

「わかってるわ!」

「転移陣の準備は出来ております。お嬢様のお部屋へ繋いでおきました」

「ありがとう!」


 この城は大きすぎる。城の外だけでも端から端まで3日はかかる。城内は空間魔法が入り組んでいて、もはや何処まで広がったのか誰も分からない。普通に入ったら餓死してしまう。たまにミイラが出てくるらしい……。なので基本的に移動は転移陣を利用している。


「着きましたよ」

「おえぇーー!」

「相変わらずですねお嬢様」


 私は転移酔いが酷い。これも城が大きすぎるのが悪い。本当に腹立つ!


「ふっかーーつ!!」

「はいはい、着替えましょうね」


 まあ、もう慣れたけどね!復活も早い。


「おや、可愛らしい髪飾りですね。どうされたのですか?」

「えへへ、いいでしょう!貰ったのよ!」

「ええ、お似合いですね」

「!!えへへ!」


 褒められるとなんだか嬉しいわね!


「さあ、着替え終わりましたよ。綺麗なドレスですね」

「ありがとう!」


 さて、お父様に会いに行こう!


「お嬢様?何処に行かれるのですか?」

「あら、お父様が呼んだんでしょ?会いに行くわよ!」

「あの……二時間後の予定ですよ?」

「知らない!どうせ会うなら早い方がいいわ!」

「ハァ、そう言うと思って転移陣を用意しています。どうぞこちらへ」

「さすがだわ!行くわよ!」

「はい」



 ♢



 やってきました執務室!


「とうちゃーく!!……うぇ」

「はいはい、どうぞエチケット袋です」

「さすがおえぇーー!!」

「喋りながら吐かないでください」


 やっぱり転移酔いは嫌になるわね。


「えっと……呼んだのは二時間後だったはずだよね?」

「ふっかーーつ!!」

「話し聞いて?」

「あらお父様!ご機嫌麗しゅう!」

「はい、こんにちは」

「申し訳ございません。お嬢様がすぐに会いたいと申しましたので来させて頂きました」

「あー……なるほどね。疲れてると思って二時間後って言ったんだけど元気みたいだね」

「ええ!私は元気よ!」

「うん、そうみたいだ。それにしてもよく吐くね。復活も早いし。どこか悪いところないかい?」

「私は元気よ!」

「ん、それならいいや。外は楽しかったかい?」

「えへへ、秘密!でもみんないきいきしてたわ!」

「そうか、それなら良かったよ。誘拐されたみたいだから心配してたんだ」


 げ……バレてた。


「大丈夫よ!ケイに助けてもらったもの!どうせ影たちに見張らせてたんでしょう?」


 あの場所であの馬車の登場の仕方、たぶん機会を伺っていたはず。


「……よくわかったね。まあ途中からだけど見張らせてたよ」

「で?ケイをどう評価するの?」

「うーん、一言で言うならかなり面倒な相手だね。影たちにも気付いてたみたいだし、何より驚いたのは予防線の張り方かな?報告によると、いつでも逃げられる位置どり、君を庇えるよう離れ過ぎず、自然体でいたらしい。まだ子供だよね?まったく、なんでそんな事が出来るのか甚だ面倒だ」

「ふぅん。そんな事してたのね」

「一番厄介なのはそれだね」


 ?何の事だろう?


「その髪飾り、護符の結界が張られている。それも悪意ありきで近づく者のみを弾くように作られてるね」


 ……ケイが髪飾りを触っていたのは長くても15秒程度。その間に髪飾りを触媒なしで魔道具化するなんてとんでもない魔力操作技術だ。ありえないと言いたいが現物があるので反論もできない。


「それだけじゃない。その髪飾りをあげたってことは自分の手の内を晒しても問題ないってことだね。それともただの自信家か。どちらにしろ凄い技術なのには変わらないね」

「それで?お父様はどうするつもりなの?まさか捕まえろなんて言わないわよね?」

「……いや、言わないよ。まあ、うちで働いて欲しいとは思っているけどね」

「ならいいわ!」

「とりあえずは観察対象になるかな……っていないし」


 それだけ聞ければいいわ!助けてくれたケイに危害が加わるなんて心苦しいもの!

 私は執務室を出て魔法陣に乗った。



 ♢



 就寝時間になった。今日は色々あった。ケイは今どうしているだろうか。

 さすがに会ってすぐ恋に落ちるなんてならなかった。物語の中のお姫様達はすぐ恋に落ちるけど、現実問題そんな訳にはいかない。そんなチョロい姫なんて、面倒事の塊でしかない。政治的なバランスは?その後の王配の選定は?どこに嫁ぐつもり?まさか平民になるなんて許さらない。だから簡単に恋愛なんてできない。

 ……でも、もう一度会ってみたいな。


 あ、惚れてないわよ?私そんなチョロくないわ!

 ただ、髪飾りのお礼くらいしたい……だけ。

 そう、それだけよ。

シャケナベイベ_(:3 」∠)_

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