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14話

 クラスの生徒が落ち着き始めたところでユリーカは口を開く。


「えっと、クラスの皆の自己紹介とかしちゃおうかな♪ ついでに執事とメイドも宜しくね、じゃあそこの金髪縦ロールから始めよっか♪」


 貴族の御令嬢をいきなり金髪縦ロールと呼んでいたが、それが許されるのがこのユリーカ・フォン・ヴィヴィオンである。

 金髪縦ロールと呼ばれた女子生徒は怒る様子など微塵も見せずにむしろ嬉々として自己紹介を始めた。

 そしてその少女の自己紹介が終わるとお付きの従者が自己紹介をし、その少女の後ろの席の少女が自己紹介を始める。それが続き、今はサラシャと今朝方軽い口論を繰り広げていた青髪の少女が自己紹介をしていた。


「オファイアス公爵家長女、メアリー・フォン・オファイアスですわ。趣味は手芸、エナジーがそこそこ使えます。以上です」


 これまた素っ気ない自己紹介だったが主人が主人名だけに執事であるジンもかなり素っ気ないものとなった。


「お嬢……あー、メアリー様の専属執事をしているジンだ。まあ従者連中は気軽に話しかけてくれ、おじょ……、慣れねえな。メアリー様に何かあった場合俺が物理的に社会的に家ごと潰すんで宜しく」


 それを聞いた何人かの貴族の令嬢がぴくりと反応した事にジンは気付いていたが気付かないふりをした、反応があった貴族の家を調べ上げる予定だ。今反応しては何か隠し事をしている証拠を隠される、もしくは隠滅される危険性があるからだ。


 デリトはこの事は執事として当たり前の威嚇だと思っているので、別段気にしていなかったが、周りはやり過ぎだと思っているらしく、少し顔を顰めた者も何人かいた。


「次、紫色の番だよ? 皆静かにしようか♪」


 しかしユリーカが気を利かせて一度場の雰囲気をリセットした。

 指定されたサラシャは自己紹介を始める。


「ミネラス公爵家長女、サラシャ・フォン・ミネラスと申します。趣味は読書、得意科目はエナジーの実技です。私の父が治めているミネラス領は温泉や花畑など自然にあふれた観光地として有名です。これからこのクラスの皆さんと共に切磋琢磨して成長していけたら嬉しいので、気軽に声を掛けて下さいね。これで自己紹介を終わらせて頂きます」


 クラスの生徒ほぼ全員が拍手をした。

 次はデリトの番だ。


「私はミネラス公爵家御令嬢、サラシャ・フォン・ミネラスお嬢様の執事、デリトと申します。私もどなたでも気軽に話しかけて頂けると嬉しいです。皆様これから三年、宜しくお願いいたします」


 最後に微笑むと生徒は頬を染め、メイドはデリトから顔を逸らし、執事は冷めた顔をしていた。

 何故こうも男性に縁が無いのかと、毎回不思議に思うデリトは、人生初の男の友人であるジンに念話で理由を聞いてみようと、普段の彼ならその場にそぐわないことは考えないが、物心ついたときから疑問に思っていたことを不覚にも考えてしまったのだ。


「(ジン、相談があるのですが……)」


「(何だ?)」


「(どうしてこうも私は男友達が出来ないのでしょうか? 話しかけてみてもまるで親の敵でも見るような目で睨まれることが多いのですよ)」


「(お前自分で分かってねぇのか? てこたぁ、あれは無自覚かよ……)」


「(……? 一体何のことですか? やはり気分を害するようなことを無自覚で行っていると言うことでしょうか?)」


「(いや……まあ、そのようでそうじゃねぇってのが答えだな。まあ、自分で考えろや)」


「(分からないから聞いているのですが?)」


「(おいおい。ミネラス公爵家の執事は有能だって噂だったのにそんなことも分からねえのか)」


「(む、このままではミネラス公爵家に泥を塗ってしまうことになるのですか、わかりました、自分でまた考えてみます)」


 念話でジンに質問をしていると生徒とその従者達の自己紹介が全て終わり、ユリーカがこの学院について説明を始めていた。


「ここは聖ディーレイラ女学院。麗しい御令嬢達が競い、学びあう乙女の園なんだよっ、この学院は完全な実力主義な学校だから頑張ってね♪ ここでは基本的にエナジーについて学ぶところだから、実力だけじゃ無くて勿論座学も含まれるから♪ ただの脳筋には卒業できないよ♪」


 つまりいくらエナジーを学ぶ学院であったとしても、エナジーの実技だけ成績が良くて座学が伴わないのではこの学院にはいる資格すら無いと言うことだ。


「あと~♪ 従者が付き人として入学になるのは何も身の回りの世話をするだけじゃ無いってのは知ってるよね? うちの学院は一年を三つに区切って学んでいくわけだけれども、その学期の始めと終わりに従者のみの戦闘試験と模擬戦トーナメントがあるから、主人だけ頑張っても従者がその試験に合格出来なかったら主人諸共退学だからそこんところよろしく♪」


 従者達の顔に緊張が走る。これは入学時に知らされることだ。ここではただの従者は入学できない。

 その理由は今言った従者のみ行われる試験があるからだ。


 この試験は学期の始めに行う、戦闘力を測る試験と、学期の終わりに行う従者同士の模擬戦トーナメントの二つに分かれる。

 この試験に合格出来なかったら自分の仕えている主人とともに退学となる。

 主従の片方が試験に落ちると、どちらも退学させられる事になるため、普通の従者はこの学院に入学できないのである。


「まあ、簡単に言うとこんなもんかな♪ 詳しいことは後日従者に伝えるから、じゃあ今日の授業を始めるよー♪」


 これで朝のHRは終了した。

 次はエナジーについての基礎復習と応用についてだ。



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