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9話

読者の皆様のおかげで日間ファンタジーランキングで2位にランクインさせて頂きました事をご報告させていただきます(*・ω・)*_ _)ペコリ

ありがとうございます(*・ω・)*_ _)ペコリ


この9話を楽しんで頂ければ幸いです。

よろしくお願い致します(*・ω・)*_ _)ペコリ

「……はぁ!?」


 デリトはいつもは出さないような声で叫んでしまった。

 それだけ驚くことなのだ。なんと言ったって相手はこの国の公爵家御令嬢。デリトに「様」を付けるような立場ではない。


「も、申し訳ありません! 執事としてあるまじき声を……。立場を弁えずに、ミネラス公爵家執事として失格です」


 しかしデリトは未だに動揺している。

 胸元からは女性特有の甘い香り、抱きしめられている事で感じる柔らかな二つの膨らみ。

 全てがデリトを誘惑しているかのように感じさせるが、不思議と不快感は無い、寧ろ安心感すら覚える様だ。


(ど、どういう事だ!? ラームス様に敬称を使われるなど、おかしい! それに、愛しい? 訳が分からない!)


「……その、デリト様、私を覚えていらっしゃいますか? あ、あと敬語はやめてくださるかしら? 婚約者にそのように話しかけると私……他人行儀みたいで寂しい、ですわ」


「!?」


 婚約者という言葉にデリトは言葉を失った。

 少なくともデリトには婚約などした覚えもないし出来るはずもないのだ。

 まず立場が違う、デリトはミネラス公爵家に仕える執事で、フィリアは公爵家御令嬢。

 どう考えても身分が釣り合わない。


「あ、えと、その、私を覚えていらっしゃらないのですか?」


 もの寂しそうにこちらを見上げるフィリアに、デリトは申し訳ない気分になる。


「……いえ、その、覚えているというより、お名前を存じ上げていると言うか……。その……」


 そう言い淀むデリトの言葉にフィリアは一瞬苦痛を堪えるかのような表情に変わったが、一息つくと慈愛に満ちた目で見つめ始める。


「そうでしたか。デリト様、私を覚えていらっしゃらないのであれば、思い出すまで付き合っていただくしかありませんね」


 ようやくフィリアは自身の抱擁からデリトを解放する。

 デリトは思い出すまで、という言葉に少しだけ嫌な予感がした。


「は、はぁ……」


「では、今週の週末、デートをしましょう」


「え、え!? 急に言われても、そんな……」


 やはりデリトの感は当たった。


「もしかして空いていらっしゃいませんか? 予定が入ってなさるなら無理にとは言いませんけれど……」


「いえ、そんなことはありませんが……」


 確かに週末は空いているし予定も無いが、サラシャの機嫌取りに使う予定だった。

 だがフィリアは無理にとは言わない、と言っているが、この様子だとどんな事をしてでもデリトとデートをする気だろう。


 元々デリトはミネラス公爵家の執事なので、従う必要は無いが、何かしらの力を使ってデリトを捕まえるだろう。そう考えたらミネラス公爵家に少しでも負担を掛けないために自らこの件に乗る事を決意した。


「はぁ、わかりました、ラームス様。今週末、予定を開けておきます」


「そう、ならいいのですわ。きちんと私服で来てくださいね? 場所は観光地区にある噴水の広場に午前十時です、よろしくお願い致しますわ」


 そう言い残すと女神の様なほほ笑みを浮かべ、フィリアは学生服のスカートを翻し、校舎へと向かう。


「…………ハッ! ラームス様! その、私は女性の悲鳴を聞いてここへ飛んできたのですが、この辺りでゴロツキや女性を見ていませんか?」


 危うくここに来た目的を忘れるところだった、とデリトは情報を求めてフィリアに尋ねるが


「それでしたら、私の声です。叫び声を聞けばデリト様は必ず来てくださると信じていましたから。殺気を出したのは私を警戒しないかの確認ですわ。誰一人として危険な目にあっていませんので、あしからず」


 ふふっ、と柔らかく笑うと今度こそフィリアは学院の校舎へと向かって行った。


 まるで嵐のように来て嵐のように去って行く少女だった。


 デリトは暫く放心していると、段々と先程のやり取りを思い出して恥ずかしくなり、顔を赤くした。


(婚約者!? 愛しい!? 公爵家御令嬢とデート!? 一体何がどうで、どうなっているんですか!)


 デリトは、頭を振り、気持ちを整理すると、こういう時はお嬢様の側が安心するとその場から足早に去って行った。




 ☆★☆★☆★




「あら、デリト、遅かったじゃない。何か疲れているようだし、何かあったの?」


 早速サラシャの下へ帰ったデリトは先ほどとは違い、表情を引き締めると、自分の決まった予定を知らせなくては、とサラシャを見つめる。


「な、何? デリト、そんなに見つめられると、私……」


「サラシャお嬢様」


 更にサラシャの顔を真っ直ぐ見つめ、覗き込む。


「ふぇ!?」


 何故かサラシャは動揺しているようだが、デリトは全く気にせず、続ける。


「私、今週末に王都へと出かける用事ができてしまいました。本来ならばお嬢様に付いていなければならないのですが、少々特殊な事になりまして……」


「え、あ、何だ、そんなこと? まあ、うん。いいけどさ」


「はい、ありがとうございます。……それで、いいけどさとは?」


「いいけどさぁ、デリトから他の女の匂いがするんだけど?」


「ゔぇ!? 何のことでしょうか?」


 何故かサラシャにフィリアのことについてバレてしまった。

 更にデートの件どころか抱きつかれたなんて事がバレた日には……。

 想像するだけで寒気がした。


 サラシャは何故かわからないがデリトが女性と親しげにしていると物凄い不満ですアピールをしてくるのだ。

 それでも、それだけに収まらず、機嫌を損ねると一週間はデリトに対して命令を頻発に行うようになる。


 例えばこの前は街中のベンチで愛を囁く男性の役をやらされたり……、ほかは思い出したくもない。


「くんくん。ほら、胸元辺りから香水とか女の香りがするもん」


「い、いえいえ。気のせいです、お嬢様」


「そうかなぁ?」


「はい、気のせいでございます」


「まぁ、いっか」


 なんとか納得してくれたようで安心したデリトは、せめて何も起きずに学院生活を終えられればと切に願う様になったのだ。



読んでいただきありがとうございます(*・ω・)*_ _)ペコリ


デリトに誘惑系は効きません、ということはデリトが心の底から警戒していないということ……。


さあ、フィリアとデリトの過去に一体何が……、的な形です。今後をお楽しみに……。


【予告】次話辺りからエナジーについて入っていけたらと思っています。

予定通り行けるかわかりませんが、頑張っていきます(๑•̀ㅂ•́)و✧


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