第二十二話
ーーーーー翔鶴ーーーーー
「失礼します、B-29からの通信筒を持って参りました。」
「御苦労様。」
B-29からの連絡を無線で受けとりたかったかのだが無線では写真を送ることができないので、通信筒で送ってもらったのだ。
「どれどれ・・・港から船が殆んど無くなっている。それに港の近くで戦闘もあったようだ。」
「どのような戦闘だったのですか?」
楓君が聞いてくる、これは一緒にみた方が早そうだな。
「誰か台になるものを持ってきてくれ。・・・それで良いありがとう。セシリア殿も呼んでくれ。」
B-29からの空撮写真を広げる、拡大しているためにかなり画素は悪いが大体のことはわかる。
「まず港の状態だが、船が軒並みいなくなっている。港の倉庫等も爆撃らしいものを受けている、数件爆発しているのは可燃物が集められていた所と言ったところだろう。」
「船は移動したのでしょうか?」
「今の状態では何も言えないな、逃げたかも知れないし、戦って撃沈されたのかも知れん。情報の少ない現状では何とも言えないな。」
「はい。」
楓君と話しているとセシリアが入ってくる。
「失礼、呼ばれたと聞いたのだが。」
「お呼びして申し訳ない、こちらの武器や兵器は貴女の方が良く知っているでしょう?その辺り意見を出して頂けないかと思いまして。」
なるほどと頷く。
「分かった、それぐらい喜んで協力しよう。それと私の事は呼び捨てで良い。」
「では私の方も呼び捨てで結構です。まずこちらの写真ですが港をここまで破壊出来る兵器に心当たりはありますか?」
少し考え込んだ後、答える。
「私達のいた海軍では無いな、調べてもらったから分かると思うが私の船は比較的新しい船だった。だから海軍では無い、いや出来ないと言う方が正しい。」
確かに、有効射程が長くないあのカタパルトでは港の内部を破壊することは出来ない。黒煙が上がっていたのは市街地も含むからだ、明らかにあのカタパルトでは狙う事は出来ない。バリスタは城壁のため直接狙う事は出来ない。それに特別製の弾の金額は遥かに高額のはずだ。
「では空軍はありますか?この間我々が戦ったのにドラゴンがいるのですが、それを用いているとか。」
「・・・と言うよりドラゴンと戦ったのか?あなた達ならば可能だろうが無茶をする。」
「ええ、少なくない損害を被りましたがね。」
「そうだろうな、飛竜とドラゴンは全くの違う種類だ。力の差は雲泥の差がある。」
「なるほど。」
「話を戻そう、確かに飛竜空軍がいる、彼らならば可能だろう。」
「ではどうしてすぐに港に侵攻しないのですか?」
空軍として機能しているのならばある程度の共同作戦は可能な筈だ、無線機は無くても魔法という手段でどうにかできると思うのだが。
「仲がな、悪いんだ。」
「どれくらい仲が悪いんです?」
「揚げ足を取るのは日常茶飯事、作戦を妨害することも、まあ普通にしているな。他の軍の食事に毒を混ぜたりもしている。」
・・・旧帝国陸海軍よりも酷いな、それは。
「では陸軍が侵攻しているのは・・・」
「多分想像通りだ、空軍が落とせないならば陸軍で落とすとでも言っているのだろう。」
「上空支援の無い陸軍等良い的だぞ。それに兵力の集中運用こそ兵法の基本の筈だが。」
「それだけ反目しているのでしょう、それとも無知なだけかも知れませんが。ではどうしますか?」
楓君が聞いてくるが答えは決まっている。
「あの港を支援する、見たところ兵力も人も殆んど残っておるまい。危機を助けて恩を売る、可能ならば周囲の土地も一部貰うとしよう。」
「了解しました。航空機で攻撃しますか?」
場所を考えると余裕を持って届く距離だから問題はない、だが
「それを行うと上陸部隊の仕事が無くなる、だから今回は上陸部隊に任せる。ただでさえ出番が無いからな。」
「陸戦してませんからね、伝えます。」
「では艦隊速度を上げろ、早めに着いて負傷者の治療にあたる。」
「了解しました。」
機関が増速する振動を感じつつ、港を目指す。




