第二十一話
ーーーーーB-29ーーーーー
「そろそろ港に着くな、何て言う名前だったかな。曹長?」
「ヨルトリンゲルです、大尉。雲も殆んど無いですから高空からでも十分な情報が手にはいると思います。」
「そうだな、カメラとかの準備はどうだ?」
今度は爆撃手席から返事が返ってくる。構造上そこにおいた方が使い勝手が良かったからだ。
「バッチリです、2台とも問題ないです。しかし偵察に行けとはどういうことですかね?」
「知りたい情報があったのかもしれないな、まぁ私達は命令を遂行するだけさ。」
「ですねー、後一時間程で着きます。」
機内は平穏である。
ーーーーー1時間後ーーーーー
「何じゃ、これは?」
ヨルトリンゲルに到着したが港の様子は酷いものだった。
「あれだけいた船が一隻もいませんね、何処かに行ったんでしょうか?」
前回偵察したときには数十隻が停泊していたのだが今は数隻残っているだけだ、港自体も爆撃されたのか所々黒煙が上がっている。
「何かしらあったのかも知れん、撮影し終わったらすぐに帰還するぞ。全員警戒を怠るな。」
「了解。」
カメラで撮影する間は直線飛行しなければいけない、偵察機にはこの瞬間が最も危険なのだ。全員が目を皿のようにして周囲を監視する。
「大尉、終わりました。」
「よし、離脱するぞ。少し内陸に入るから念のためカメラを回しておけ。」
「了解、・・・あれは?」
「どうした?」
「港の門の近くを見てください、どうやら戦闘しているようです。」
そちらに目を向けると盛大な土ぼこりが上がり火柱が立つ。
「どうしますか?」
「うーむ。」
大尉は悩む、この港の偵察が命令である以上もう任務は成功している。危険に自ら飛び込むのは憚られるのだ、だが我々の閣下が望まれるのは情報収集だと思われる。その為に我々を港に派遣されたのだろう、今後のためにも敵の戦闘を知ればそれに対する戦法の確立は容易な筈だ。
「よし、寄り道になるが戦場も一航だけ飛ぶぞ。寄り道になるがどのような兵器が使われているのか分かれば後々のためになろう。」
「了解、進路を北にとります。」
ゆっくりと上空を旋回し撮影した後離脱した、この報告でヴァルトから直々の言葉を賜り有頂天になるのは後の話である。




