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第二十話

現在分かったことを纏めよう。この世界は「アーク」と呼ばれている。大陸は一つだけで、巨大な山脈で区切られている大陸の形は五稜郭を思い浮かべれば分かりやすいだろう、それを二つに割る形で山脈が存在する(その山々は標高8000メートル)。それぞれ種族が住む名で呼ばれている、呼び方は獣人境、亜人境、魔人境、人境と呼ばれている。人境は大陸の南部が勢力圏でエーリスの位置は大陸の南方に位置している、魔物はおり基本的に動物に一定の魔力が溜まると魔物になる、魔人と亜人以外は魔石を持っていないと魔法は使えない。ごく稀に使えるものがいるが、基本的には強制的に国に仕えさせられる。魔石は魔素が多いところにある石が自然に変化することでできる、魔石になった場合宝石のように透き通る。魔人は人と肌の色が違うだけの人種、人間に魔力が溜まっても魔人になることは無い。

 商船や海賊船などが活動していたのは交易港「ヨルトリンゲル」の近くで交易国家「エーリア」の主要港の一つだ。人境は、ここ200年の間、戦争が続いているそうだ。現在強大な勢力になっているのは、エーリアの北西にあるラルクス帝国と北東にあるホルフェス皇国の2つだ、他にも小国があるがどれも吹けば飛ぶような弱さらしい。この二国は一応休戦協定は結んでいるそうだが仲は悪いそうだ。

 エーリアは両国の国境線の南に位置している。両国から見ても交易の要衝にある上に、強力な海軍があるため平和だった。だが、セシリアの所属している帝国がの帝王が代替わりしエーリアに宣戦布告したそうだ。皇国に動かれる前にエーリスを陥落させるために兵糧攻めをしていたそうだ。海賊になっていたのは混乱させる為にしていたのであって、セシリアはまだ正規の軍人らしい(本人談なので正しいかどうかは分からない)。

魔石は地球で言うところのバッテリーの様なもので魔力が無くなるまで使用することができる、最大の特徴は魔法の使い方さえ知っていれば魔力の無い人間でも魔法が使えるという点だろう。魔法の事が出てきたので魔法の事も説明する、この世界の魔法は無から有を作り出すことは出来ない、形を変異させるのが基本である。その為使用者の近くに該当するもの(火なら松明、水ならば氷等)が必要、原理が分からなければ氷等は出来ないらしい。射程は視界内で自身が判別出来ないと発動しない、例えば双眼鏡で認識しても自身で判別したということにはならないので魔法は発動しない(要はどれだけ視力が良いのかという事だ)。

 エーリスはその魔石が豊富に採れる為極めて重要な土地なのである、だが岩場が多く植物が少ない。その為食料や衣類の原料等は交易で入手するしかないそうだ、これはエーリアという土地そのものの問題であるためどうしようもないそうだ。なおセシリアは無益な殺戮は行わず、物資のみ投棄するか略奪しており、船自体は他の港に行かせたそうだ。

船での交易の際にも良い位置に有るためヨルトリンゲルで補給をしてから他境に向かうのが一般的らしい。昔は中立国なので安心して寄港できたそうだが今では見る影もないそうである(この話を本当だとするならばヨルトリンゲルにいた多数の船は商船ではないことになる、着いたときにキナ臭くなってなければ良いのだが)。

甲板上を移動しているとカタパルトとバリスタが見える。近寄って見てみても地球の物とそんなに違いはないように見える。

「ふむ、楓君。こんな状態で遠距離に攻撃出来るものかな?」

「それは難しいかと、カタパルトは500メートル、バリスタでも最大で800メートル位ではないでしょうか。正確な記録が無いため分かりませんが。」

弾を見てみると普通の石と矢であった(少し鉄の弾があったが)、これでどうやって3000メートルまで届いたのだろう。

「それは魔法で強化しているからです。」

「魔法で、しかし使用者がいなければ発動しないのでは?」

先程の説明ではそう判断できるのだが。

「魔方陣を組んでおいてそれに魔石を繋げれば問題ない、強いて言うならば使用する魔力が魔法を使うより多く使用される位だ。」

「なるほど、ではバリスタ等に使っているねじりバネの材料は何なんだ?」

かつて使われていたねじりバネ等の材料は馬の健等だそうだ、ねじりバネが発明されたことにより射程が格段に延びたと言われる。

「普通は馬の健を使うが海の上だと長い距離での戦いが多い、その為この船には最新のバリスタとカタパルトが積まれていたのだ。使用しているのは竜の健だ、耐久力・反発力が桁違いに高い。だが余り数がいないため小数しか作れていない。」

となるとまだ数は余り無いということか。

「で、明らかに軍機にしなければならないような事まで教えるとは。何か用件があると見えるが、いかがかな?セシリア殿。」

「セシリアで結構だ。ええと・・・」

「ヴァルトだよ。名乗ってなくてすまなかったね。あと知りたい情報があったのでね、先に話を聞いたわけなのですよ。」

「い、いや、別に構いはしない。話をした理由は部下たちの事をを助けて欲しいのだ。そのためならば私の事は好きにしてくれて構わない。」

「「「隊長。」」」

 男共が喚いているが、虐殺などする気は無いんだが。抵抗したら話一人も生かすつもりはないが、降伏のときに反撃した奴ら?そんなものは生かす価値が無いとしか言いようが無い。

「心配せずとも、そんなことはしないよ。だが君たちが生きていると君たちの家族に害が及ぶ可能性が高いのでね。すまないが船は調べさせてもらった後、沈没させてもらうが宜しいかな?」

「あ、ああ。私たちの家族にまで気を使ってくれて感謝する。」

「いや何、賢明な判断をした者達に対して何かするほど愚かでは無いつもりだ、余り関係のない人間を殺すのは忍びないのでね。うまくいくかは賭けだがね。」

「それでも・・・だ。ありがとう(チュッ)」

 ほほにキスをされてしまった。まあ役得だと思っておこう。

「司令官。」

 後ろから恐ろしい気配がする。と思ったら反対側のほほにもキスをされた。

「な、なんだい、楓君?」

「いいえ。ただ司令官の事が好きなのは私も、ということを知っておいて欲しかっただけです。」

 そう言って微笑んだ彼女の笑顔はとても魅力的だった。

「はは、ありがたく受け取っておこう。で用件は何かな?」

「はい、艦隊の進路をどうしましょうか?」

「速度を落としてゆっくりとヨルトリンゲルに近づいていってくれ、多分この数日で戦争状態になっている可能性がある。B-29に偵察させてくれ。」

「了解しました。」

さて、どうなっているやら。肩入れするにしてもある程度見極めないといけないな。

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