第五話
ーーーーー大淀・食堂ーーーーー
「ようこそいらっしゃいました、艦長。後ろの方々は?」
食堂から一人の兵士が出てきて艦長に話しかける。
「こちらは我々の総指揮官です。お腹が空かれたそうなので食事はできますか?」
総指揮官とわかったので直ぐに敬礼をしてくる、別に構いはしないのだが。
「ご苦労様、いきなり来て悪かったね。軽食でも良いから何か無いかな?それと君の名前は?」
ちらと後ろを見て答える。
「早波 梓中尉であります、下士官食でしたらもうすぐ出来るのですが将校食はまだ出来ません。暫しお待ちください。」
そういえば日本軍とイギリス軍は食事が別だったな、腹が膨れれば私はどちらでも良いんだが。
「それも美味そうだが今は腹を膨らませたいのでね、下士官食を頼むよ。メニューはなんだい?」
「今日はカレーです、空いている席でお待ちください。直ぐにお持ちいたします。」
厨房に急いで戻っていく。空いている席にみんなで腰かける。
「今日は金曜日だったかな?いやそれ以前にこの世界の一年とかはどうなっているんだい、楓君?」
「はい、一日二十四時間、一週間は六日、一月は三十日です。一年は十カ月ですので三百日になります、曜日の呼び方は火の日、水の日、風の日、土の日、光の日、闇の日です。今日は光の日になります。」
「地球とはまるで違うな、では光の日はカレーにするように各艦に伝えておいてくれ。」
「了解しました。」
この世界ではまず常識が通じないと思っておこう、そう考えなければ納得の出来ないことが多すぎる。
「お待たせしました、当艦自慢のビーフカレーになります。」
「ありがとう。さあ、腹が膨れたら今度は陸戦隊でも召喚するとしよう。」
遅めの食事を皆で取り出した。
「では、行ってらっしゃいませ。」
高元艦長に見送られて神州丸に向かう、神州丸には連絡しているので直ぐに出迎えてくれるそうだ。
「閣下、陸軍はどうするのですか?」
楓君が聞いてくるが、今の戦力はどんなに見積もっても一個大隊にも満たない。
「陸軍というよりは陸戦隊とでも言った方が良いだろう、理想ではドイツ軍が良いんだが多分無理だろうな・・・。」
「どうしてですか?組織的な行動能力ならばドイツ軍が最も優れていると思いますが。」
楓君の言う通りだ、下士官が優秀なドイツ軍は強力ではあるがその分隊長が殺られると脆い。それに出航してから波が穏やかな所を進めるとは思わない方が良いだろう、只でさえ陸軍国は海に弱いから船酔いで使い物にはならない筈だ。
「以上の事からドイツ軍は却下だ、それでもイタリア軍よりかは使い物になると思うがな。」
第二次世界大戦中、最弱とまで言われるイタリア軍は流石に使いたくない。敵であるイギリス軍の将軍にさえ「イタリア軍は影の連合軍である」とまで言われているからだ。使うとしたら食糧ぐらいなものだろう、そこは評価できるしパスタなどは保存しやすいからだ。
「では残りはアメリカ、イギリス、ソ連、日本ですか。先程の理由ならばソ連も外しますね。」
「ソ連も海はあっても泳げないところばかりだからな、それにソ連軍は個人的に嫌いだ。督戦隊を使う理由も分からなくはないがそれでも気分の良いものではない。」
ソ連軍は前線将兵が逃げないように督戦隊が後ろから機関銃で狙っていたと言う、敵に殺されるのならばまだしも味方から殺されるのは想像もつかない。そんな奴等はいらん。
「ではアメリカ海兵隊にしますか、世界最強とも言われていますし丁度良いでしょう。」
「そうだな、では召喚と。」
消費魔力
アメリカ 一個小隊(50人)500 イギリス 一個小隊(50人)450 ドイツ一個小隊(50人)550 日本 一個小隊(50人)400 イタリア 一個小隊(50人)200 ソ連 一個小隊(50人)450 なお全員がベテラン。装備は当時の軍の平均的な装備。
ベテラン揃いでそこまで低いか、イタリア軍よ。まぁ召喚しないから良いけどね。
召喚内容
アメリカ海兵隊一個中隊(250人)2500 装備代250 戦車一個小隊(3輌)300 ハーフトラック一個小隊(3輌)150 合計3200
内容
小銃 へーネルSTG44アサルトライフル
携帯対戦車火器 パンツアーファウスト
戦車 M-4シャーマン
戦闘車両 KFZ251ハーフトラック(牽引式の20ミリ対空機関砲を装備)
これぐらいなものであろう。出しすぎても困るのでこれくらいで押さえておく。




