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第57話

ーーーーー上陸軍ーーーーー

「ただいま戻りました、閣下!!」

上陸軍の指揮を取っていたマンネルヘイム少将は揚陸艦に戻った後、ヴェイスに報告するために副官と共に大和に移動していた。

「ご苦労様、敵も撤退したことだし当分は戦いになることはないだろう。それもこれも君達のおかげだ。」

にこやかに接する司令官に緊張してガチガチに固まってしまっている少将は、かなり対応がぎこちない。さすがにヴァルトも口頭で伝える。

「そこまで肩肘を張らなくても良いよ、気を楽にしてくれ。では昨日襲撃してきた地竜の報告をしてくれるかな?」

砦を救出してから二週間ほどたったが何事もなく終わったため上陸軍は帰還、警備は王国軍に任せることになった、その交替の時に先程の話に上がった地竜が襲ってきたのだ、正確には竜騎士だったようだが。動きは鈍重であったが12.7ミリのブローニングを弾き返す鎧を着込んでいたらしい、数は10体だったが歩兵が浮き足立ってしまい一時は指揮系統が混乱してしまったほどだ。結局動きが遅いため戦車部隊が到着次第狙い撃ちにした、さすがに8.8サンチ戦車砲や120ミリ戦車砲には耐えられなかったらしい。

「撃破した地竜は蝦夷に運んでおります、全部は無理ですので比較的損傷の少ない地竜です。ご覧になられたら驚くと思いますよ。」

緊張も和らいだのか、饒舌に報告をしてくれる。確かにどの様な状態なのか見てみるのは悪くはない、百聞は一見にしかずという諺もあるからだ。

「よし、では見に行こう。他の地竜等はどうしたんだ?」

「あまりにも状態が悪いので使える鎧などだけこちらが引き取っています、鎧の成分を分析しておりますがお聞きになられますか?」

「ブローニングを弾き返す鎧とは興味があるな、どんな成分だった?我々が知らないような鉱物で出来ていたのか?」

この世界にはミスリルがあり軽量で信じられないほどの耐久力がある、シュラーク群島にも鉱脈はあるのだが精製方法が全く分からないため保留している。使えるようになれば艦船や戦闘車両に付けてみるつもりだ、最初は増加装甲みたいになるだろうが。

「成分は単純な鉄です、ですが厚みが桁外れです。一番厚い顔面はなんと50ミリもあります、微妙に曲げられていますので若干の避弾経始の効果が出ています。」

「50ミリもあったのか?それではたしかに12.7ミリでは抜けんな、するとその地竜は中戦車並の能力があると見た方がいいだろう。各員に写真つきで教えておいてくれ。飛空船も層だが。我々の常識が通用しない兵器が多々あるようだからな。」

「了解しました。」

これでこの世界には戦車に該当する兵器があることが判明した。注意を促すことにより被害が少なくする事が肝要であろう。


ーーーーー強襲揚陸艦・蝦夷ーーーーー

内火挺で蝦夷に移動し出迎えの士官にどこに地竜が置かれているかを尋ねる、格納庫の一部に置かれているようだ、蝦夷に積まれているエレベーターはサイドエレベーターが一基、艦体の中心に一基の合計二基搭載されている。艦体の中心にあるエレベーターは艦底の揚陸艦挺収容区画と繋がっており物資の搬入が容易なように造られている。ただし戦闘中は装甲シャッターが閉まりエレベーターは使用出来なくなる。

「こちらになります、我々も見たときには驚きました。本の中でしか見たことの無い生き物がいるのですから。」

案内してくれた士官の視線の先には地竜がいる、彼女が言うようにあれは確かに本でしか見たことがないだろう、小説などではない、かつての地球に君臨していた陸の猛獣恐竜なのだから…。

「これは・・・どう見てもトリケラトプスだよな?」

一通り地竜の周りを回ってみて、出た感想がこれである。名前を付けるのならば重装甲トリケラトプスとなるだろう。

「正面は軒並み50ミリはあります、ですが他の部分は厚くても10ミリ位で重量の軽減を計っているみたいですね。」

鎧を見ながら報告を受ける、重量も相当なものになるから機動力は無いんだな。

「これからの戦いではこれ等にも注意を払わないとな、とりあえず戦闘は自然停戦の形になっているから後はどの様な条件で講和が結ばれるか…だな。」

レイウェル公爵達をは砦に下ろした後、すぐに王都に向かっていき、その時に講和を結ぶように努めると言っていたのだ。

「多分帝国も講和をすることを考えているだろう、何せかなりの数をこの侵攻作戦に投入したのだからな、その人員の大半が返ってこないし何よりも成果が上がっていないのが厳しいところだな。」

我々だけで戦死者、捕虜を含めて最低でも八万近くの人員を捕まえている、当然馬匹や魔獣なども含めると数えるのが馬鹿馬鹿しいほどだ。砦はむしろ破壊されたため損失は桁外れだ。

「かといって他の戦線から戦力を引き抜く訳にはいかないと…、法国との戦いはまだ望んでいないようですからね。」

公爵から聞いた話では帝国は合計四個の陸上軍団と三個の艦隊、後は近衛軍団や飛空船軍団がいるそうだ。そのうち飛空船軍団はすでに壊滅している、現在は量産型の飛空船で戦力を整えていると思われているそうだ。陸上軍団は常に法国と王国を含む小国郡の方面に貼り付けられ交代で警備についているらしい、その部隊の一つが今回の侵攻に用いられ壊滅した、補充をしようにも他の戦線からは戦力が出せない、法国との戦いになれば確実に総力戦になる可能性が高いのだから。したがって簡単には予備の軍団を使う訳にはいかないと状態になったわけだ。そのため帝国は講和をするしかない、王国の方は戦力が枯渇しているからこちらも講和をするしかない。 両者共に講和をしたいがここで国の面子が邪魔をする、帝国はどうにかして土地が欲しい、土地でなくても目に見える成果が欲しい。王国の方は遺族の賠償金や経済的損失の補填が欲しい。結局どちらかが妥協しなければ終わりは果てしなく遠いだろう。

「まぁ、我々は気にしなくても良いがな。」

「司令官、出発準備が整いました。」

「分かった、では大和に戻るとしよう。我々の目的は達成した、ここでの存在感を示すこと、そして情勢を把握すること、補給地を得ること。次は我々の本拠地を充実させ我々の国を作ろう。」

「「オー!」」

艦隊は一路シュラーク群島を目指す、その後初めに現れた無人島に向かうことになっている、そこが本拠地にするには良いところと判断されたからだ。近い大陸からはかなり離れているため。

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