第46話 大和、武蔵炎上す
ーーーーー第一艦隊・大和ーーーーー
「予想通り、輸送艦を後方に置き去りにしてこちらに向かってきています。護衛すら残していないようです。」
「輸送艦のような船に護衛を付けないとは、敵の指揮官はさぞかし腕に自信があるのだろうな。」
その自信を打ち砕いてやろう、天狗の鼻は折るに限る。
「楓君、飛空船はこちらに向かってくるかな?」
「それはないでしょうな。」
答えたのは公爵だった。
「おはようございます、公爵。休めましたかな?」
「ええ、この船は全く揺れないので快眠でしたよ。それはそうと飛空船ですが…」
そうだった、なぜ断言できるのか聞いておかねば
「なぜ断言できるのですか?言ってはなんですが、今入ってこられると邪魔くらいは出来ると思うのですが。」
「仲が悪いのですよ。陸上の騎士団などは問題なく協同して攻撃してくることがあるそうですが、海軍には手伝うことは今まで一度もありませんでした。それが理由です。」
どこの世界にも似たようなことはあるんだな、まるで日本の陸軍と海軍だな。滞在武官が日本には国が二つあるようだと言った感じだな。あれ?じゃあ飛竜の場合どうなるんだ。聞いてみると「陸軍と海軍で分けて育成したり貴族の場合は自費で育成する」そうだ、ますます旧日本軍じみているな。
「それでもゼロとは言い切れませんから警戒はしておくとしましょう。楓君、例の準備は?」
「いつでも行えるそうです。」
あれが上手くいかないと作戦が始めからつまづくからな。
「では最上にこちらが攻撃された場合直ぐに予定の行動に入るように連絡を入れておいてくれ。」
「了解しました。」
「公爵達もお座り下さい。これから長くなりますから立っているとキツいですよ。」
私が勧めると空いてあった椅子に座る、メイドと執事は要らないらしく丁重に断ってきた。いつまでも耐えられるのかな?まあ疲れたようならば座るように頼もう。
「第二艦隊に打電、逃走もしくは待避する船を拿捕せよ。反撃する船は沈めよ、蝦夷以下揚陸艦は揚陸準備を開始せよ、富嶽隊は発進し帝国の前線基地及び帝国内にある砦、城を粉砕せよ。」
「了解しました。」
ーーーーー帝国艦隊ーーーーー
「敵の船は真っ直ぐにこちらに向かってきています。」
「我々の偉容を見て逃げないとは誠にあっぱれだな、あとどれくらいで接触しそうだ?」
見張り台にいる兵士が答える。
「あと、半刻ほど(一時間)だと思われます。」
「将軍、先に飛竜で攻撃しましょう。」
「何故だ?逃げるかもしれんぞ。」
「逃げればそれだけの力量しかありません、将軍と戦う価値すら無いでしょう。」
「先にふるいにかけるのか、分かった。我が国の偉容を示すためにも飛竜は全て攻撃に使え。」
「全部ですか?」
さすがに副官も驚いている。
「殺るからに徹底的にやらんとな。」
「了解しました、飛竜を全部攻撃に向かわせます。」
艦隊から合計250騎の飛竜が飛び立ち敵艦隊に向かっていった。
ーーーー帝国艦隊所属・爆撃騎隊ーーーー
「お前たち、将軍は敵を倒すことを求められている。我々だけで敵艦を沈め存在価値を示すのだ!」
「オーーーー!」
余り出番が無いのでストレスが溜まっているのか元気なことはこの上ない。
「隊長、そろそろ敵の上に着きます。ですがすごくでかいです。」
皆が同じ物を見ているので感想は大体同じだ。
「まるで島が動いているみたいだな。」
「その分動きは鈍いだろうぜ。行くぞ!!」
多数の油壺が大和と武蔵に命中し炎に包まれ、ゆっくりと停止する。
「よし、デカブツを殺ったぞ。後は細かいのを沈めるぞ。」
反転して逃走に移っている船に目標を変え爆撃騎隊はそちらに向かった。




