お風呂ですか?勇者さま。②
第65話の投稿です。
ルチアの健気な対抗意識の暴走の先には?
そんな事しなくても、、なんてフェンの気持ちには気付きません。
ルチア対シオンの妹対決の行方は、果たして、、
では、『お風呂ですか?勇者さま。②』です♪
お楽しみ下さい。 ふえん
「ううん。入ります!、今すぐ入ります!!」
「無理しなくていいんだよ?」
「入るよ!、、本当に入るんだからっ!、もう止めたって遅いんだからっ!!」
うん、うん。解ってるよ・・・恥ずかしいもんね、、。
向きになって言うルチアの強がりが無性に可愛く思える。
ルチアはドアの前で大きく深呼吸を繰り返し、三度目の決心をしてドアを開け、中へ入る。
見ると、お兄ちゃんの上に居たシオンちゃんが、、居ない?
シオン?・・・は、居た! 湯船に浸かっている。
、、、負けない!
シオンからフェンに視線を移すと、持てる勇気を全部使って近付いた。
・・・恥ずかしい、、けど負けない!!
自分の顔が熱いのが分かる。多分、鏡を見たら真っ赤な顔をしているのだろう。
そして、フェンに近付き『どうよ!』と胸を張る。
フェンの方が恥ずかしくなって思わず目を逸らしてしまう。
、、一体どうしちゃったの、、ルチア?
恥ずかしい筈・・・先程までは恥ずかしがっていた筈のルチアが目の前で、、
その顔は『私の勝ちよ!』と言わんばかりに勝ち誇っている。
・・・ああ、そうなんだ・・・
フェンは自身も恥ずかしがりながらもルチアの様子から理解した。
ルチアはシオンに対抗意識を燃やしているのだ。
それでさっき脱衣場でシオンの胸を見て思っちゃったんだね…勝った、と。
でも…
ちょっと違う気がする。
シオンに胸の大きさで勝ったからって・・・
『どう? 凄いでしょ!』と、更に胸を張り見せつけるルチア。
うーん、、可愛いよ。可愛いのは間違いない。
自慢の妹だという言葉に嘘は無いのだから。
ただ、、残念と言おうか、年相応と言おうか、、、
正直、お世辞にも『大きい』とは言えないのだ。
一般的な同年代の女の子と比べたら『小さめ』と言った方が正しい評価だろう。
それを・・・シオンと比べちゃうなんて、、
そして『勝った』なんて思っちゃうなんて、、
間違いなく自慢にはならないよね・・・
でも、断言出来る!、、駄目な訳ではない。
ルチアは肌も綺麗だし、胸の形も綺麗だ。
『将来的には』誰もが見とれる様な女性になるに違いない。、、多分。
あくまで将来的には、、ね。
お兄ちゃんも鼻が高いよ♪
胸を張る得意顔のルチアが更なる一言を発する。
「お兄ちゃん、洗って!」
正直、『えーっ』、、だった。
「洗ってって?」
「うん♪ シオンみたいに!」
「ルチア・・・自分で洗えるんじゃ、、」
・・・途端にまたルチアが悲しそうな顔をする。
「また、、何でお兄ちゃんはシオンは良いのにルチアには駄目って言うの?」
「ルチアの事、、そんなに嫌いなの?、、そうなんだ…」
「ち、違うよ!ルチア…そんな事ないからね?」
「言ったよね?ルチアもシオンも僕の可愛い妹だって。」
「そんなルチアを嫌いな訳ないじゃない。」
「でも、、だって、、お兄ちゃん…駄目だって…」
今にも泣き出しそうなルチア。
「言わない!言わないから、、ね、ルチア。」
「じゃあ、洗って。」
・・・えーっと、、
「やっぱり嫌なんだ…」
「違うよ!いいよ。洗ってあげるから。おいで、ルチア。」
恥じらいながらも、決心した顔で近寄ってくるルチア。
ドキドキするけど違うよ!
うん。頭と背中を、、洗ってあげるだけ、、洗ってあげるだけ、だよ。
「じゃあ、ルチア、後ろ向きに座ってね。」
自分の座っている椅子の前にもう1つ椅子を置いて促す。
「!・・・嫌っ!!」
えっ?・・・嫌?って何?・・・洗って欲しいんだよね??
「ほら、座って。」
「嫌!」
「何が嫌なの?言ってくれないと、お兄ちゃん分からないよ?」
「シオンと一緒、、同じ風に洗って!」
・・・シオンと同じ風に、、って?
まさか、、
「シオンと同じってどういう、、、」
「・・・こう。」
ルチアは言うなり僕に正対して太ももの上に股がり抱き付いた。
「あ、、えっ・・・ル、ル、、ルチア?」
「洗って!」
洗ってって・・・シオンと同じ様に、、って、このまま?
ルチアはフェンに力任せに、しっかりと抱き付いている。
ルチア、む、胸が当たってるってば!、、小さいけど。
その胸を通じて伝わって来る、、ルチアの小さな鼓動、、気持ちが。
やっぱり恥ずかしいんだよね? それを無理して、、、
凄くドキドキしているのに、優しく、そして、温かい鼓動。
今、世界でルチアの鼓動を感じているのは僕だけなんだ、、
そう考えると、何だか嬉しくなる。
自分だけの鼓動を味わっていると、声に呼び戻される。
「洗って!!」
もう、、変な所で頑固なんだから・・・
だが、洗ってあげないと納得してくれそうにもない。
そもそも、僕がシオンを抱いた格好で洗っていたのは、理由が在るのだ。
前に一緒にお風呂に入った時に知った、、シオンは後ろから身体に触れられるのが極端に苦手なのだ。
触れた途端に飛び上がる程に怯えて嫌がるのだ。
極端な反応から、以前、何か酷い目に遭ったのだろうと予想はつく。
嫌がり、怯えるシオンを無理矢理、、なんて事はしたくない。
フェンは聞いたのだ。
「じゃあ、ね。シオンはどうして洗って欲しい?」
「えっと、、ね、、」
だからと言うか、仕方ないので、あれ以降はシオンが望んだ通りにしている。
、、向かい合ってシオンが抱き付いた格好で頭と背中を洗ってあげているのだ。
まさか、それを見たルチアが対抗心を燃やすなんて流石に思わなかったけど、、。
何でそこまでシオンと張り合うの?
ルチアとシオンとじゃ、比べる根本から違うのだから、どちらが?なんて最初から無理が有る話しなのだ。
そう。シオンは男の子、、男の娘だけど・・・なのだ。
幾らルチアが胸の大きさで勝ち誇っても空しいだけなのだ。
、、、ルチアはどう考えているんだろ?
「早く!、洗って!」
仕方ないので洗い始める。
「じゃあ洗うよ?先ずは頭からだよ。」
恐る恐る髪に触れる。
シオン達、犬人族とは違った感触だった。
『サラサラ』というより『しっとり』とした黒髪。
洗っているフェンの手の方が綺麗になっていく様な気さえする。
「次は背中だよ。」
言って背中に触れるとルチアは『ビクッ』っと跳び跳ねた。
・・・ルチアも背中が苦手なの?、、こんな所までシオンに似てるんだね。
タオル越しにも分かる、、柔らかく、すべすべな素肌。
もっと触れていたい気もするが、雑念を捨て、手早く洗って行く。
幾ら妹だとは言っても、長く触れてはいけない気がしたのだ。
「じゃあ流すよ。」
綺麗にお湯で洗い流す。
「ほら、終わったよ、ルチア。…ルチア?」
声を掛けるがルチアからの返事が無い。
「ルチア、どうしたの?」
抱き付いているルチアの肩に手を置き、引き離す。
そして視線が合うと漸く返事が返る。
「お兄…ちゃん…」
きっと、気が遠くなりそうなくらい恥ずかしかったのだろう、、、
トロッとした表情は、まるで寝惚けてしまっている様だった。
「ルチア、大丈夫?」
心配そうな顔をするフェンにルチアは答える。
「大丈夫・・・これで私、、妹、、だよ、ね?」
もう、、だから何で『妹じゃない』なんて思っちゃったの?
でも、、、
『こんな事しなくても妹だよ!』
・・・とは言えない。
せっかくルチアが恥ずかしいのを我慢して頑張ったのだから。
頑張ったお陰で妹になれた!・・・という事にして置くべきだ。
「そうだよ♪これでルチアも、僕の妹なんだから安心していいよ。」
「お兄ちゃん…」
もう一度、ルチアはフェンに抱き付く。
元々ルチアは妹なんだから何の心配も要らないのに・・・
その時、小さく「お兄、ちゃん、、」という声が聞こえる。
「、、シオン?」
見ると、湯船から上がったシオンが真っ赤な顔をしてフェン達を見ている。
恥ずかしい?…からじゃない!!…凄く赤い顔をしている。
「シオン?」
「お兄ちゃん…気持ち…悪い…」
「!!…シオン!!!」、、湯あたりしちゃったの?
ルチアが来たからとシオンに湯船に浸かって温まってね♪と言って入れたのだけれども…
元々、長湯が苦手で入っても直ぐに『熱い』って言って上がってしまうのに。
・・・僕が入るのを待っててくれたの?
ルチアの事で一杯一杯で、シオンの事をすっかり忘れていたのだ。
「シオン!しっかり!」
「ルチア、コップにお水を汲んで来て。早く!」
「う、うん。」
「シオン、ごめんね。熱かったよね、、」
床に寝かせてタオルで扇ぐ。
「お兄、ちゃん、、、」
「いいから寝てて、今、ルチアがお水を持って来てくれるからね。」
慌てた様子でルチアが戻って来る。
すぐさま水をシオンに飲ませる。
美味しそうに水をコクコク飲むシオンに一安心する。
でも安静にさせなきゃ!
「ルチア、湯船に浸かって温まってて。僕はシオンを部屋に運んで寝かせてくるよ。」
「うん。」
フェンがシオンを抱き上げた拍子にシオンのタオルが『はらり』と落ちた。
「・・・えっ!!」
ルチアの目が釘付けになる。
・・・シオンの『あそこ』に。
「う、嘘っっ!・・・シオン・・・お、男、、男の子、なの?」
・・・え?知らなかったの?
フェンは思う、、何でルチアは驚いてるの??
ミヤの様子を見に行く時に『自己紹介からね♪』と二人に言って出掛けたのだ。
性別、、自分が男か女かなんて自己紹介の基本中の基本だよね?
何でルチアは知らないの?
あれ?・・・知らない、、かも?
良く良く考えると、見た目で女性か男性か判りきっていれば、特殊な人を除けば、自己紹介でわざわざ性別を言う事など必要無いし、言わない…だろう。
ルチアとシオン・・・どちらも女の子だと信じて疑問にも思わなかったのだろう。
今になって思えば、だからルチアはシオンに必要の無い対抗意識を燃やしていたのだろう。
考えてる場合じゃない、今はシオンを休ませてあげなきゃ!
「ルチア、待っててね、行って来るよ。」
シオンを抱き上げて手早く身体を拭くと部屋へ運んで布団に寝かせる。
「シオン、気持ち悪くない?」
心配そうな顔をするフェンにシオンは答える。
「大丈夫。」
「お兄ちゃん、、寒くなるよ?」
・・・シオンたら、、この状況で僕の心配なんて、、、
「大丈夫だよ。これからお風呂で、ちゃんと温まって来るからね♪シオンは安心してお休み。」
「うん。」
頭を撫でてあげると返事をしてシオンは目を閉じた。
シオンの顔を見ながら後悔する。
まただ・・・また、なのだ。
僕の言葉、、指示でシオンに辛い思いをさせてしまった。
一緒に入りたくて、シオンが自分で長湯したのだろうけど、だ。
湯船に浸かって温まる様に言ったのは僕なのだから。
・・・ごめんね、シオン。 もっと気を付けなきゃだよね、、
フェンがお風呂に戻ると、ルチアが湯船に浸かっている。
「ただいま、ルチア。」
「・・・・」
返事が無い。
悪い予感がする、、、えっ!、、まさかルチアも?
慌てて湯船に飛び込み、ルチアを抱き上げた。
「き、きゃーーっっ!!」
ルチアの悲鳴が響く。
「ル、ルチア?大丈夫?」
「大丈夫、、大丈夫だから、、下ろして・・・」
フェンが下ろすと、赤い顔で向こうを向いてしまう。
「ルチア、大丈夫?、、どうしたの?」
「嫌、、見ないで、、」
「え?、、見ないでって?」
さっきまで自分から抱き付いていたルチアの言葉とは思えない。
「どうしたの?ルチア。」
「違うの! 忘れて! 今日のは何かの間違いなの!!」
・・・そういう事ね、、、
ルチアもまさか対抗意識を燃やしていた相手が男の娘だったなんて思いも寄らなかったのだろう。
僕に胸を見せ付けたり、抱き付いたりしたのが恥ずかしくなっちゃったんだね、、、
せっかく頑張ったのに・・・
ルチアが気の毒だ。
そうだよね! 妹が頑張ったのを認めてあげなきゃ!
「ルチア、ルチアは僕の大事な妹だよ。」
「お兄・・・ちゃん?」
「今日もお兄ちゃんの為に頑張ってくれたんだよね? ありがとう。」
「うん、、」
「頑張り屋さんの妹・・・ルチアの事、お兄ちゃん大好きだよ♪」
「あっ、、うん。好き・・・ルチアもお兄ちゃんの事、好き。」
「うん。嬉しいな、ルチア。」
「お兄ちゃん、、」
今度は恥ずかしがらずに胸に飛び込んで来るルチア。
触れたルチアの身体はお風呂で温まったからか、恥ずかしさからか、相当熱い。
「いい子だね、ルチア。そろそろ温まったよね?具合悪くなる前に上がろうね。」
「うん。温まったよ。」
と、ルチアは答えるが、フェンから離れる気配がない。
・・・このまま上がりたいの?、、かな?
「じゃあ、上がろうね。」
ルチアを抱いたまま湯船から上がった。
脱衣場まで着くとルチアを下ろす。
「ほら、早く身体を拭かないと風邪をひいちゃうよ。」
ルチアに言うが『じーっ』っと僕を見つめて動かない。
「ほら、ルチア。」
「お兄ちゃん・・・拭いて。」
何?ルチア?・・・やけに今日は甘えん坊さんだね・・・
子供返り?、、いや、ルチアは戻れる程の年じゃないし、、
両親の事を思い出しちゃったのかな?
両親に甘えたい時に甘えられなかった寂しさはフェンも知っている。
ルチア、、、我が儘が言いたいんだね?
いいよ! 今日はお兄ちゃんが叶えてあげるよ♪
手早く自分の身体を拭き、服を羽織って声を掛ける。
「いいよ、じゃあ拭くからおいで、、ルチア♪」
モジモジしていたルチアだがフェンが声を掛けると我に反ってニコニコしながら近付いて来る。
今度は広げたタオルで包み込んで抱き止める。
清潔なタオルの良い香りが気に入ったのか、ルチアは大きく深呼吸する。
その内にも、身体を拭き、頭と髪を拭き始める。
拭き初めはくすぐったそうに身体を捩っていたルチアだが、すぐに慣れたのか気持ち良さそうに、拭かれるがままに身を任せる。
こうして見るとルチアは甘えたい盛りの普通の女の子だ。
だが、実際はルチアはファリス教の最年少神官なのだ。
神官は大人でもおいそれと成れる地位ではない。
そして、それは『成って終わり』ではない。
戒律を守る為、普段から表に出せない、我慢している気持ちや、物事も多いだろう。
常に周囲の模範となる生活、行動をする必要が有るのだ。
だが、僕と居る時くらいは、少しの我が儘くらい言っても許される筈だ。
今は、今だけは、、僕が許してあげる、、認めてあげる。
これから頑張る為の心のエネルギーを貯めているのだと思えば良いのだ。
事実、大司教さんの話しではフェンと別れた後、教団でルチアは凄く頑張ったのだから。
話した事の無い他の神官さん達に果敢に自分から話し掛けたり、、
用事が有るなら話し掛けるのは当たり前だよね?
・・・と、普通の人なら考えるだろうが、ルチアにとっては一大事なのだ。
勇気を振り絞って、知らない誰かに話し掛ける…それだけでルチアにとっては大冒険なのだ。
それを僕の妹になったのだから、、勇者の妹なんだから、という理由だけで、頑張ってくれたのだ。
それはルチア自身の為にもなる事だが、僕の為に頑張った部分も多いのだろう。
僕への信頼や尊敬、、、
ルチアの『その気持ち』に答え、受けとめてあげるのが僕の、お兄ちゃんの居る理由だと思う。
そしてルチアの今は、休憩の時、、充電期間なのだろう。
・・・甘えていいんだよ。
・・・とは思っているが、敢えてフェンは口には出さない。
言ってしまってはルチアが、変に気を使うかもしれないからだ。
今はただ、好きな様に、、思うままに、、いいんだよ、ルチア・・・
「ルチア、拭き終わったよ♪」
「・・・・」
フェンから離れるとルチアは少し寂しそうな顔をする。
そして、物足りなそうにフェンを見つめてモジモジする。
ルチアが何をして欲しいのか大体の予想はつく。
遠慮しないで言えば良いのに…こんな時にこその『お兄ちゃん』なんだよ?
言い出せないルチアに代わってフェンは行動する。
「ルチア、おいで、、。」
もう一度、新しいタオルでルチアを抱き締め、そのまま包み込んだ。
「きゃっ、、ふ、、」
少しルチアは驚くが、すっぽりとタオルでくるまれると安心してフェンに垂れ掛かる。
フェンの予想したルチアの『して欲しい事』は、どうやら正解の様だ。
暫く抱き締めていると、徐々にルチアは『うとうと』してくる。
お風呂で温まった事と、フェンと、、お兄ちゃんと一緒にいる、という安心感からリラックスしたせいだろうか?
急に眠気が勝ってしまったらしい。
ルチアは、せっかくのお兄ちゃんとの一緒の時間をもっと過ごしたいと思っている。
・・・と、思っているのだが、この気持ち良さ、、眠気という魔物には勝てる気がしなかった。
何度かの『コクリ、コクリ』を繰り返し、無駄な抵抗をした後で、僕の肩に頭を預けて眠ってしまう。
「いいよ。おやすみ、ルチア。」
眠ってしまったルチアを、そのまま抱き上げて部屋に戻りベッドに寝かせる。
布団を掛けてもう一度、静かに言う。
「おやすみ、、ルチア。」
静かに『すぅすぅ』と寝息をたてるルチア。
・・・穏やかな寝顔が嬉しく、幸せな気分にしてくれる。
ルチアが眠ったのを確認して、、次は、、シオン…ちゃんと寝てるかな?
見ると、、、ちゃんと、、、起きてる?
フェンがシオンの様子を見ると、、目が合ったのだ。
「あれっ?シオン?…何で寝ないの?」
声を潜めて聞いてみる。
「お兄ちゃん、行って来るって…帰って来るって言ってた、、。」
「えっ?…もしかして僕が帰って来るの待っててくれたの?」
「うんっ♪」
布団から頭だけ出した状態で答えるシオンは耳を『ぴくぴく』させて嬉しさが出てしまっている。
「ありがとう、シオン。でも、もうおやすみよ♪」
「うん♪、おやすみ!」
「おやすみ、シオン。」
「・・・おやすみ!」
「うん、分かったよ。おやすみ、シオン。」
「おやすみ!お兄ちゃん!」
・・・あれ?・・・何で何度も繰り返すの?
シオンは僕を『じーっ』って見ていて目を瞑らない。
・・・何か言いたい事でも有るのかな?
「なーに?シオン。お兄ちゃんに何か有るのかな?」
「おやすみ!!」
・・・おやすみ?
「・・・・キス!」
、、、あ、そうだね、、
すっかり忘れてた・・・そういえば、してあげていた様な・・・
シオンは『おやすみのキス』を待って起きてたの?
シオンに対して何か申し訳ない気分になる。
僕が忘れずにして行けばシオンも、もっと早く眠れたのかも、、
「うん。じゃあ、ほら、おやすみ♪」
シオンの頬に顔を寄せ、優しくキスする。
満足そうにニコニコと笑うと目を閉じるシオン。
二人が眠るのを見届けて安心する。
・・・大丈夫。二人共に僕の妹なんだから。
明日、起きたら今日より仲良く出来るよね♪
きっと、、、ね。
「ふっふっふっ、、」
「誰だ!!」
「愚かな勇者め!、、この私には誰も勝てはせぬ!」
「勝ってみせる!!」
・・・無理です。。
『眠気』という魔物には絶対勝てません。
なにせ、眠る瞬間、誰もが『眠る事』が何より大事に思えるからです。
暖かいから、、もう一眠り。。。
次回の投稿は、また来週末くらい、かな?
では! おやすみなさい。 ふえん




