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お風呂ですか?勇者さま。①

予定通り64話目、投稿です。

寒い時期には温泉、、贅沢は言いません。お風呂で。

リラックスして入りましょう。

では『お風呂ですか?勇者さま。①』です♪

お楽しみ下さい。  ふえん





『何で駄目なの!』


納得出来る訳ないよ!


ルチアはショックを受け、悲しくなる。


シオンは良くて私が駄目な理由って、、?


、、私とは、そんな仲では無い…って事なの?


シオンの言葉にお兄様は即答だったのに…


・・・なのに・・・何で?、何で私は駄目なの?







気を取り直して三人でご飯を食べに行く事にした。


道すがらもルチアは考える。


『シオンちゃんになんか負けないんだから!』


・・・とは思っているルチアだが、、、


シオンがやって来てから主導権を握られっぱなしなのだ。


同じ妹なのに『この差』は一体何なのだろう?


お兄ちゃんとシオンちゃん、、


根本的な部分で負けている、、と言うか通じる物が有る気がするのだ。


ルチアに無くてシオンに有る物が何かが有る筈だ、、が、分からない。


耳や尻尾ではない、何かが、、、





食堂に到着するとフェンは想像し、期待する。


お腹が満たされれば気も緩むし、お食事トークで女の子は盛り上がる、、よね?


ルチアとシオン並んで食べたら?、、


、、と思ったのだけど、自然とフェンを挟んで両側に座ってしまう。



仲良く…なるの失敗?


いや!そんな事は無いと思っておこう。


食事が始まれば打ち解けられる、、かも?


好きな物を食べて話が盛り上がれば、、と思ったのだけれども、ここは獣人の町だ。


ガルンさんが居るとはいってもルチアのお口に合う料理が無かった様で…


結局、食事しながらの楽しいトーク作戦も盛り上がらず…


いや! まだだよ!、、今日は『お泊まり』なんだから!


お布団に入ってリラックス気分で二人も話せば仲良くなれるはず、きっと!



因みにフェンは内心、思っている。


実は、『別に僕が何とかしなくても二人共、仲良くなれるんじゃ…』と。



二人を見ていると分かる。


心底、嫌っている訳ではない、と。


警戒はしているけど、敵対している訳ではない。


お互いを意識しているのは間違いないが、それは悪意の有る意識ではない。


まだ『何か』お互いにとって大事な部分を解りあえていないからこその、ぎこちなさなのだろう。


・・・大丈夫。きっと仲良くなれるよ♪


心の中で宣言しつつ、そそくさと部屋へ戻る。




外は寒い。シオンは平気そうだけど、ルチアは唇が青くなって震えている。


僕も体が芯から冷えた・・・寒い、、、



部屋に入ると急にシオンが後ろから抱き付いて来た。


「シオン…どうしたの?」


甘えたいのかな?と、フェンは思ったが、シオンが言う。


「お兄ちゃん、、寒い?」


…シオン…もしかして僕を温めようとしてくれてるの?


「シオン、良い子だね、ありがと。僕は大丈夫だから…次はルチアも温めてあげて。」


部屋に入ってもルチアはまだ寒くて震えていたのだ。


シオンはルチアを見る。


シオンの視線に気付いたルチアは身震いする。


「わ、私はいいよ、大丈夫だから…」


ルチアは抱き付かれて、またペロペロと舐めたりされないかと警戒しているみたい…



まあ、確かにシオンが温めてくれても一時的なものだ。


フェンは、妥当な体を温める方法を二人に提案する。


「今日は色々有ったし、、お風呂に入って早く休もう!」


「うん。」「はい。」


二人も同意する。


「じゃあ誰から入る?」


フェンが聞くと、元気良くシオンが答えた。


「お兄ちゃんと入る!」



・・・



・・・・!



・・・えっ!、、、えーーーっ!!



あまりに自然に、違和感なく、サラッっと言われたのでルチアも最初は『ふーん』としか思わなかった。


、、が、良く良く考えてみて…ルチアは愕然とする。


な、何を言ってるの、シオンちゃん?


お兄ちゃんと入る…って、一緒に?お兄ちゃんと?


考えただけで顔が赤くなった気がする。



・・・シオンちゃん・・・冗談、だよね?、ね?


と、思い、シオンの方を見るルチア。


その視線に気付いたのか、シオンもチラリとルチアの方を見て目が合う。


すぐに目を逸らしてフェンの方を見ると、もう一度言う。


「お兄ちゃんと一緒にお風呂入る。」


ルチアの思い過ごしかもしれないが、シオンちゃんの顔に『私の勝ちね♪』と、書いてある気がする。


ほ、本気なの?シオンちゃん・・・だって、、恥ずかしくないの?


ルチアが妄想でモヤモヤしていると、フェンが、これもまた当たり前の様に聞き返した。


「ん?、シオン、一緒に入りたいの?」


「うん♪」


嬉々として答えるシオンの尻尾はもう全力で『フリフリ』している。



えーっ!!…ルチアの迷いをよそにシオンの答えは即答だった。



「うん。じゃあシオン、一緒に入ろうね。」


何?…お兄ちゃんも一緒にお風呂に入るのが当たり前みたいじゃない!


お兄ちゃんの答えもシオンちゃんと同様に即答だったのだ。


えっ?、え?、何?、、もしかして、恥ずかしがってるのは私だけなの?


あれ?、、実は私が自意識過剰なだけなの?


おかしいの?、、私だけ?



こうも『当たり前』の様に言われてはルチアは自分の方が『おかしいのかな?』という気さえして来た。


でも、シオンちゃんは『いいよ』って言われたんだから、、、


じゃ、じゃあ、、わた、私も、、いい、よね?


「お兄ちゃん!、わ、私も一緒に!」


「えっ??…ルチア?…ルチアはちょっと…」


えっ?、あれっ?、私…今、何かおかしい事言ったかな?


何で断られたの?…ああ!何か言い間違いしちゃったんだね!


、、もぅ、私ったらドジよねっ♪



もう一度。



「お兄ちゃん!私も一緒にお風呂に…」


「え、えーっと、ルチアも一緒にお風呂?、それはちょっと…」


!!…あれ?…何で?…何で、お兄ちゃん『いいよ』って言ってくれないの?


シオンが『一緒に』って言ったら、すぐに『いいよ』って言ったのに…


同じ妹なのに、、何で?、何で私は駄目なの?



ルチアは最悪な答えを思い浮かべる…


もしかして…私とは『そんな関係ではない』という事なの?


シオンちゃんは良くて、私は駄目なんだ…


ショックだった。


本当のお兄ちゃんが出来たって嬉しかったのに…


ライバルの出現…いや、実は最初からライバルでさえなかったのかも。


勝手に意識していて、ライバルだ!と思っていたのは私の独りよがりでしかなかったの?


シオンちゃんという『本物の妹』の前では私は『仮の妹』でしかなかったという事なの?


急に訪れた疎外感に悲しくなる。



「お兄、、ちゃん…私…妹じゃないの?」


『ぽろぽろ』と涙を流すルチアと、その質問内容にフェンは驚いた。


何でルチアが急に『妹じゃない』なんて言い出したのか分からないが、自分が『そう思わせてしまった』のは間違いないのだろう。



「何言ってるの?ルチアが妹じゃない訳ないじゃない!」


慌てて言うが、、


「じゃあ、何でシオンは良くて私は駄目なの?」


「シオンが一緒に入りたいって言ったら、お兄ちゃんは即答だったのに…」


「何でルチアは駄目なの?」


「ズルい、ズルい、ズルいーーーっ!!」



…ルチアったら、、


ルチアも一緒に入りたかったんだね、、、


でも、、うーん、、シオンは、いいとして…ルチアはどうかと思うんだけど。


とは言え、ルチアを泣かせておく訳にもいかない。



「ルチア!、、じゃあルチアも一緒にお風呂入る?」


ルチアが自分で入りたいって言うなら止める理由も無いんだけど…。


もしかして両親の居ないルチアは誰かと一緒に入りたいって憧れているのかもしれない。


だけどフェンが聞くと、ルチアは顔を赤くして俯いてしまう。


自分で一緒に入りたいと言っていたのに、面と向かって聞かれると、やはり恥ずかしいらしい。



ルチアに助け船を出す。


「ねえルチア。もし良ければ一緒に入る?、、お兄ちゃんも一緒に入れると嬉しいんだけどなーっ♪」


聞いたルチアは嬉しい様な恥ずかしい様な複雑な顔をするが、はっきりと返事をする。


「うん。一緒に入る!」


「うん。いいよ。それじゃ三人で一緒に入ろうね。」



お風呂の準備をして、じゃあ入ろうか、、という話をすると二人は正反対の反応をする。


ルチアは何かを想像したのか赤くなって俯いてしまう。


シオンは「うん。」と返事をすると、尻尾を振りながら、お風呂へ向かって駆け出してしまう。



「ルチア、急がなくても大丈夫だからね、落ち着いたらおいで。」


「シオンは走ると危ないって、ほら、シオン待って!!」


フェンの声など聞こえないとばかりに駆けていくシオン。


「じゃあね、ルチア。先に行ってるからね。」


シオンを追い掛けるフェン。


「待って!私も行く!」


ルチアもシオンとフェンを追う。



…何なの?あの変わり様は、、、


最初のオドオドしていたシオンちゃんとは、まるで別人じゃない。


…それだけ、お兄ちゃんとのお風呂が楽しみなの?


恥ずかしさの欠片も見せないシオンに負けた様な気持ちになり、また、羨ましくもあった。


シオンちゃんだって入れるんだから、私だって入れるよ!


自分に言い聞かせるが、、やはり恥ずかしい物は恥ずかしい、、


考えただけで恥ずかしいが、現在、シオンちゃんの方が『妹レース一歩リード』なのだ、多分。



私も負けてられないよ!


シオンに負けたくない…という気持ちで恥ずかしさを封じ込める。


待っててね、お兄ちゃん!


今、ルチアが行くからね♪


ルチアは『お風呂』へ向かう、というより『戦い』へ向かうかの様に勇ましい。


『お兄ちゃんを取り戻すのよ!』 ルチアは思う。


実際にはシオンが取った訳でもなく、フェンも奪われた訳でもないのだが…



ルチアはお風呂、、脱衣場に到着する、、と言うか、廊下を進んで直ぐに着く。


脱衣場に入ると、既にシオンが服を脱ぎ始めている。


何の躊躇いも無し!?


お兄ちゃんの見ている目の前なのにシオンちゃんは上着を脱ぎ捨てる。


小さな胸が露になるが、隠す気配すら無い。



キャーーっ、、見てるこっちの方が恥ずかしくなる。


でも思った・・・私の勝ち、ね。


やっと1つ、シオンに勝てる物が見つかったのだ。



すると、シオンが言う。


「ルチア、、も?」


えっ?、、えーっ!…一緒に入るとは言ったけど、お兄ちゃんの前で服を脱ぐなんて…


「わ、わ、私…は、、」


い、嫌ーーっ!!


思わず脱衣場から逃げ出してしまった…



そんな…なんで…?


シオンちゃんが分からない。


恥ずかしくないの?…いや、お兄ちゃんに見られても気にしない様な間柄なの?


・・・いや、実はもう何度も一緒に入っていて気にならないとか?


不安に駆られる。


シオンちゃんはお兄ちゃんと、そんなに『深い仲』なの?


それに比べて私は、、、


負けてられない…


決心して再度、脱衣場に行くが、誰も居ない。


お兄ちゃん…は、もう浴室に入っている様で姿は見えない。


脱いだ服が有るだけなのだが、ルチアはドキドキが止まらない。


…お兄ちゃんが、さっきまで着ていた服…


と、ただの服でしかないのに、それを見ただけで何だか恥ずかしい気がする。


これから私も服を脱いで、お兄ちゃんと一緒に・・・


『キャーーー』っと、ルチアは心の中で叫ぶ。


シオンちゃんは、どんな気持ちで、どんな顔をして、お兄ちゃんと一緒に入っているのだろう?


シオンちゃんが出来るのだから!、、、私だって!


決心すると服を脱ぎ捨てる。


緊張からなのか、寒さからなのか、ルチアの肌には鳥肌が立っている。


大丈夫、大丈夫よ!…シオンちゃんになんか負けないんだから!



服を脱ぐ時に続き、二度目の決心をすると浴室のドアを開ける。


「お兄ちゃん、お待たせ、、って、えっ!?」


、、ルチアが固まる。


と、反射的にドアを閉めた。



何か見てはいけない、、許されない物を見てしまった気がする。


な、な、な、、何をしていたの二人で??


ルチアは今見た光景を思い浮かべる。



お兄ちゃんが座っていて…そこにシオンちゃんが座ってた、、の?


小さい子供なら膝の上に乗せて、背中や髪を洗ってあげる事もあるかもだけど…


シオンちゃんは、お兄ちゃんと『向かい合って抱き合っていた』のだ。


ルチアは『思い違いだ』という事は解っている。


なにせ、二人共、ルチアが後から来ると分かっているのだから。


ただのルチアの勘違いだよね、、。


・・・分かっている。


だが、ルチアには愛し合っている二人の行為に見えたのだ。


違う、、としたら…さっきのは一体?


お互いに向かい合って抱き合っている理由が思い付かないのだ。


えっ?、えっ??、、何が、、何で?、、



まだ脱衣場に在る気配に気付いたのか、フェンから悩むルチアに声が掛かる。



「ルチア、、無理して一緒に入らなくてもいいんだよ?」


誰が聞いても、フェンからの気遣いの言葉だ。



だが、混乱しているルチアは他の意味を思い浮かべてしまう。


・・・私、、、お邪魔、、って事?


・・・お兄ちゃんはシオンと二人きりの方がいいの?


・・・私、、必要無いの?


悪い想像、、考えは止まらない。


、、、嫌っ!!シオンちゃんにお兄ちゃんを取られたくない!



その気持ちがルチアを叫ばせた。


「今、入るよ!、今、行くからね!お兄ちゃん!!」









「勝負よ!シオン!!」

 「・・・・」、、無反応??

  「いや、いや、ルチア、、そんなに頑張らなくても、、」

「お兄ちゃんを取り戻すのよ!!」

  「えっと、、いつ僕が奪われたの?ルチア?」


頑張るルチアの暴走が続く次話、、、

『お風呂ですか?勇者さま。②』は次週末に投稿予定です♪


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