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憧れですか?勇者さま。

冬休み。有った方も無かった方も、お疲れ様です。

学生さんは宿題終わったかな?

社会人さんは普段よりも『忙しかった』人も。

明日から普段の生活が始まります。

頑張り過ぎない様に頑張りましょう♪

では、お楽しみ下さい。 ふえん





『この敵は私に任せて! あなた達は先へ、、、』



『だ、だが、、、』



『大丈夫、私も敵を片付けて後から行くから!』



・・・・・



・・・



「もう一度!、もう一度読んで、父さん!」



もう何度目か、、キラキラ輝く瞳でそうお願いするキャスティ。



このまま素直に育って欲しい、、キッドは心からそう思った。










フェンが国王様と交渉、、お願いしたい事は一つだ。




他種族の地位の向上・・・




それが認められたなら獣王、、ガルンさんも争いではなく交渉で解決する道も拓(ひら)ける。




今は獣人だという理由だけで話し合いすら儘(まま)ならないのだから。




まあ、ガルンさんに交渉が出来るか?と聞かれると答えに困るが、、




『 交渉出来る場 』が『 有る 』のと『 無い 』のでは大きな違いなのだ。




そして、平等に善悪を判断出来る組織、、機関が在れば、戦う理由も、無益な争いも減るだろう。




・・・フェンとて解っている。




それで『 争い 』が無くなる訳ではない事は。




人間同士でも『 他者 』とは争う事が有るのだ。




それが、相手が『 他種族 』なら尚更、、、




解っている。




だが、今の一方的な世界、法で護られない獣人達が少しでも救われるなら、、




あ、それと、、忘れず自分とミヤが悪く無い、潔白だという事も伝えなきゃ、、




王都へ行く目的は、一つではなく、この二つだ。






「では、行って来ます!・・・ルチアは 『 人質 』 宜しくね♪」





「はい、お兄様。」




抱き付いていたルチアが自ら離れて返事をする。





フェンは安心する。




・・・うん。ちゃんとした神官様の顔してるね♪




ルチアが教団で、ちゃんとやって行けるのかが心配だったのだが、、、




少しづつでも、周囲に打ち解けていっているとの確認も取れた。




辛い事も有るだろうけどルチアなら多分、大丈夫だろう。




今も、抱き付いて居た所から自から離れられた事もそうだ。




偉いね♪・・・以前のルチアなら泣いて渋って大変だったのに、、。




ルチアも成長しているって事なんだよね?





精神的にルチアが成長して行くのが嬉しく、また、反面、少しだけ寂しい気持ちにもなる…




いや、寂しくなんてない!




・・・妹の成長は兄として、喜ばしい事なんだから。





教団にはお婆ちゃんも居る。大司教も居る。




ルチアが頑張る分、、




僕も頑張らなきゃ、ね。




他種族の事もそうだが、フェンとミヤの王国からの誤解を解いて居場所を取り戻す。




結果として、それがルチアの居場所、安心して逃げられる場所を作る事にもなるのだから。





「うん。頑張ってね、ルチア。」




「ガルンさん、ミヤの治療は宜しくお願いします。」




「では、行っ・・・」




「「待って!!」」




・・・えっと、、誰? 思いきり出鼻を挫くのは・・・





見れば、呼び掛けたのは討伐隊の女戦士だ。




キャスティはフェンに詰め寄り、言う。




「私達が一緒に王都まで行きます!」




・・・なぜ?、、それに『 私達 』が、とは?





「どうして? 君は依頼を果たせなかったんだよ?」




「しかも、その内容は国は秘密にしたい事のはずだよ?」




「しかも、依頼内容の対象者と一緒に、、って有り得ないでしょう。」




「一緒に居るのを端から見たら君が討伐隊を裏切った様にしか見えないよ?」




「今、王都へ行くのは、わざわざ疑われ、、捕まりに行く様なものだよ?」




まあ、そうだろう。フェンでなくとも状況からは『 そう 』見える筈だ。




「私はキャスティ。勇者を目指して鍛練を続けて来た者です。」




「今回の件、真実はどこに有ったのか…国が私達を騙していたのだとしたら、、」




「私には確認する義務が有ります。…死んだ冒険者達の為にも!」




「私とソラは今回の討伐隊の指揮を任されていました。」




「依頼を受けたからには、失敗だろうと報告しない訳にはいきません!」





…キャスティは『何かしたいと』、、いや、『何かをしなければ…』という気がしていた。





それは死なせる結果になった討伐隊の皆の為か、、




、、勇者としての決断を誤った自分が許せない為なのか、、、




キャスティは、真実を知りたかったのだ。




フェンは納得する…太刀筋と同じでキャスティさんは『 真っ直ぐ 』な性格の人なのだと。




だが解っているはずだ。




討伐隊の冒険者達も依頼を受けた時点で選択肢は二つに一つになったのだ。




『 獣王を討ち取る 』か、『 失敗して死ぬか 』である。




失敗して逃げ帰っても理由をつけて捕まり、口封じされるのだ。




そもすれば、獣王を討伐出来たとしても、、だろう。




ルチアや大司教と一緒だ。




冒険者達も、どちらにしても『 捨駒 』にするつもりだったのだ。




国はあくまでも『 悪くない 』体を取りたいのだ。




そして、利用され棄てられる・・・。




『 真実を知りたい 』というキャスティは立派だ。




、、が、既に自身が獣王やフェン達と同じ『 国の邪魔者 』になったのを理解しているのだろうか?





「先に話した通りソラと私で案内します。」




と、キャスティはソラの方を向く、、、!!




「えっ!?、、ソラ?」




先程、、何時までかは正確には分からないが、そこにソラは居た。




、、、居た筈だった。




・・・何で? 何で居ないの?




「ソラ!!」




叫び、見渡すがソラの姿は見えない。




「・・・なんで?・・・」





キャスティの慌てた様子に、フェンはルチアに聞いてみる。




「ルチア、キッドさんと一緒に治療してあげた人って…?」




「えっ?、、と、・・・居ません、、か?」




ルチアは知らない様だ。




「その女なら、、」




ガルンさんは知ってるの?




「先程、そそくさと、隠れる様に逃げて行ったが、、」




・・・逃げ、、た?





『 何でよ、、ソラ!! 』





私と一緒に逃げる為に命懸けで獣王から逃げて迎えに来てくれたんじゃないの?




何でよ、、、




ソラが来てくれて、正直、、嬉しくて、見直していたのに・・・




喜んだ分、一転、、ショックは大きかった。




確かにソラは『 迎えに来た 』とは一言も言ってはいない。




『 逃げた 』のも前々からソラが自分で言っていた事だ。




『 有言実行して何か問題? 』 ソラならきっと、そう言うだろう。




「ソラらしい、、けど・・・」




「何だ?逃がさなかった方が良かったのか?、、」




「…キッドの娘が助けろと言ってたのだから、どうせ殺させなかったのだろう?」




「、、それとも殺した方が良かったのか?」




・・・いや、それは駄目ですけどね、、、と皆が獣王さんを見る。




話の流れから『 殺さない 』事に獣王さんが気付いた事もソラにとっては幸運だったのだろう。




回復したての弱った身体で逃げる、、動けるだけでも凄い事なのだが、自殺行為だ。




気付いた獣王が『 何を逃げてる! 』と気分を害して剣の一振りもした日には今度こそ命は無かっただろうから。




そう。・・・確かに私は言った、、獣王の斬撃を受けて倒れたソラを『助けて』と。




敵対していた勇者フェンに『 助けてくれたら何でもします 』とまで言って懇願したのだ。




・・・私は、、助けたんだよ?




なのに、、




なのに何で?




何で私を見棄てて逃げたの?・・・答えてよ、、ソラ!




答えは、、無い。




逃げたのだ。 逃げてしまったのだ。




パーティメンバーを置いて逃げる?







昔の記憶・・・




小さい頃、、父さんから読んで貰った絵本。




勿論、勇者とそのパーティの冒険の話だった。




本の中の勇者パーティのメンバーは勇敢だ。




『 この敵は私に任せて! あなた達は先へ… 』




強敵を前にし、勝てる見込みも無いのに、目的の為に己を擲って仲間を先に行かせるのだ…。




『 大丈夫 … 私も敵を片付けて後から行くから! 』



この状況でも、その顔は明るく爽やかな笑顔であった、、、




仲間の言葉の意味、、もう会えないであろう事を理解した上で、後ろ髪を引かれる思いで先へ進む一行。




・・・感動し、涙が出た。




そして・・・大好きだった。




よく在る物語りの、ありふれた内容だが、何度聞いても幼少のキャスティは胸を熱くした。




『私も大きくなったら勇者パーティに入ってメンバーの為に頑張るんだから!』




キャスティは本気で物語の登場人物の様になりたい、と夢見ていたのだ。




特に、主人公に成りたい訳ではなかった。




主人公よりも、その主人公を支える勇者パーティの一員に成りたかったのだ。




常に 誰かを『助けている勇者』 ・・・ その勇者を『助ける者』に、、、



憧れていた。・・・なのに、、




一緒に勇者と呼ばれた、、一生涯の仲間だと信頼していたのに・・・ソラ。




・・・仲間だと思っていたのは私だけだったの、、、?





キャスティはソラの行為が悲しかった。




そして、それは自分勝手な言い分だ、とも理解している。




自分は『 助けた 』のだから貴女も『 助けて 』くれるよね?




・・・なんて言うのはキャスティの勝手な思い込みなのだ。





だが、そう思いたくなる根拠も有る。




以前、キャスティがソラに勝負を挑んだ時、キャスティは殺されなかった。




ソラは言ったのだ。




『 貴女は町娘の命を救ったのだから、同じく一度は命を救われても良い筈だ 』と。




・・・ソラは私と同じ感覚を持っているの?、と思った。




・・・だから、、こそ、だ。




今回も私が懇願してソラの命を救ったのだから・・・ソラも私を、、




、、と、『 当然 』の様に思ってしまっていたのだ。




だが、現実は・・・




一方、見方を変えれば、キャスティは、憧れを現実の物と出来たのだ。





憧れた物語りの中の冒険者の様に『 己を擲って 』ソラを行かせた、逃がせたのだから。




・・・言える?・・・のかな?




助けた、のは『 ソラの為 』なの?・・・それとも『 自分の理想の為 』?




でも、現実として『 助けた 』事に変わりはない。




なのに、今は理想を叶えた充実感より、喪失感が勝っているのだ。




嬉しいはずなのに『 ソラにも同じ様に助けて欲しかった 』という気持ちが拭えないのだ。




今回など、最終的には『 逃げる必要も無かった 』のだろうから。




しかし、戦況も定まらぬままに、ソラは逃げてしまった・・・。




もしかして、、、物語りは物語りでしかないの?




キャスティの夢見た勇者達の冒険は所詮、物語りの中だけの話しなの?




パーティメンバーの為に己を擲って戦う、、なんて現実には有り得ない事なのだろうか?




・・・この男・・・勇者フェンと行動を共にすれば、、答えが分かるのかな?





「一人だけでも、、このキャスティがお供します!」




気持ちは解らなくはないが、フェンも予想がつかない。




キャスティが同行する事はメリットになるのか?…デメリットにしかならないのか?




人間的には、『 信じても良い 』、、とは思う。




敵ではあったが、正しい、、良識ある感性の持ち主だと思う。




約束事を守ろうとする姿からも誠実な人物なのだろう。




それも前勇者パーティの一員のキッドさんの娘だという。




行き違いは有ったが、フェンが剣を合わせて感じた通り、キャスティという人間の本性は『悪』ではないのだろう。




・・・残念ながら、まだ『 そうだろう 』としか言えないが・・・。




迷う、、が、もう一人からも、、キッドさんからもお願いされる。




「キャスティは私が幼少の頃より『 勇者に 』と育てて来たのです! 是非とも同行を!!」




『 ビクッ 』…離れていたルチアがまたしがみついて来る。




キッドの声を聞き、先程の事を思い出したのだろう。




抱き付いた身体は『 カタカタ 』と震えている。




フェンも恐い。自分に危険が及ぶから、、ではない。




ルチアも同じ事を考えたのだろう。




…キッドが頼み事をした後に『 また 』首を掻き切ったりしないか、、という心配から来る恐さだ。




『 やる訳ないよね。 』とは思う。




だが、一度目の前で実行され、見てしまっては、『 万が一、、 』との思いは消えない。




だからルチアも僕に抱き付いて震えているのだ。




口に出して言わなくとも、ルチアの震えは懇願しているのだ、、




『 お兄ちゃん、止めさせて! 』 と。




フェンはキッドの事をよく知らない。




仮にキャスティの同行を『 駄目 』と言ったらどうなるのか?




先程の如く『 命にかえてお願いします 』、、とか、言い出す人なのだろうか?




娘のキャスティの性格からして、父であるキッドの性格は大体の予想はつく。




素直な直情型、、、思ったからには手段を選ばないタイプだ。




だからこそ『 娘の命を救う為 』には、同じく命を…『 自分の命を、、 』と考える。





フェンは遠慮したい。





もし、仮に、フェンの父がキッドだったら、自分の為に命を投げ出された日には、、、




、、とてもフェンは耐えられない。





もし、仮に、キッドが命を投げ出した敵がフェンだったとしたら?




・・・その娘のキャスティに一生、怨まれ、憎まれ続けるだろう。




敵として戦い、倒したのなら、フェンとて納得出来るのだが、、




勝手にお願いされて、死なれて、怨まれ続ける人生なんてフェンは御免だ。





『 もう!、、僕にどうしろって言うんだよ! 』




どうにかして下さい、、この親子・・・




昔、キッドさんと一緒のパーティーで旅をしていたと言うお祖母ちゃん、、




大変だったんだろうな、、、と、思う。




初めてファリスお祖母ちゃんが『 凄い人 』に思えた。








年末年始は結構、連続で投稿しましたが、、

また普通なペースに戻します。

気長に待って下さいね♪

ふえん


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