感覚ですか?勇者さま。
見てくれてありがとうございます。
お年玉投稿です♪
安いな~とか言わないでね、、
では、お楽しみ下さい。
「ふっふっふっ、、、大司教とルチアには『人質』となって貰います!」」
「な!、、何を、、フェン殿、、?」
フェンは『ニヤリ』と悪ぶった笑いを見せる。
、、一体、何を考えておられる?、、フェン殿は、、
獣王は『これは皮肉だ!』と言わんばかりに言葉を続ける。
「手数を掛けさせるまでも無い…儂が自分で実行するまでの事だ。」
「面白い提案をして儂を楽しませてくれた国王には返礼をせねばなるまいな…」
「そうだな…国王は煩わしい政務から開放してやろう…ついでにこの世からも、な!」
・・・誰が聞いても、痛烈な皮肉だ。
なぜ国は、、国王は、これ程までに傲慢になれるのか、、、ガルンさんが怒るのも無理は無い。
ガルンさんが『その気になれば』これから直ぐにでも王都まで行き、国王自身の命を奪う事も出来るのだという現実が、なぜ解らないのか?
恐る恐る大司教は聞く。
「それは、、王国に、、人間に対しての宣戦布告と理解して宜しいのですな?」
「・・・・」
ガルンさんは答えない。
言うまでも無い、、という事だ。
言ったままの意味なのだ。
戦争、、、そんな!
「待って下さい!! 一時の感情で戦争なんて間違ってます。」
フェンは言う、、が、
「一時の感情?…違うな! お前は『今までの事』を無かった事に出来るのか?」
「過去、今現在も、、そして、これからも、苦む他種族の者達を傍観し続けるのか?」
「ジン同様、お前も理想を掲げるだけの男なのか?」
、、返す言葉が、、無い。
「どうした?…お前が連れて来た『大切な』猫人族の娘を…あんな風にした相手を…」
「、、お前は『笑って許せる』のか?」
「その相手は『どうなった』のだ?…全員無事に帰したのか?」
・・・帰す訳が無い。
・・・許せる訳が無い。
奴等がミヤにした事を思い出すだけで今でも怒りで我を忘れそうになる。
シズから聞いた…あの場に居た兵士は全て、、、
「殺したのだろう?」
ガルンの言葉が胸に突き刺さる。
「気に病む事は無い。…理由無く襲って来た者達には、それ相応の最後が待っていただけの事だ。」
「『 違う 』と言うなら、フェン、お前は、、」
「その場で、あの猫娘と一緒に『 死ぬべき 』だったのだ。」
『 ビクッ 』 … 死ぬべき、という言葉にルチアの身体が跳ねる。
「嫌!! 死んじゃ嫌だ、お兄ちゃん!」
『 えく、えく 』 と、しゃくりあげながらルチアが言う。
「大丈夫だよ。ルチア。僕は死んだりしないからね。」
言って聞かせるがルチアは 『 もう離さない 』 とばかりにフェンを抱き締める。
・・・そう。僕は死ぬ訳にはいかない。
誰かの為に死ぬなら勇者らしいからいいか…と考えていたフェンだが、、
今は・・・護るべき者や、守りたい物も在る。
『 それら 』 を投げ出して、おいそれとは死ねない。
では、戦うのか?
誰と?・・・人間と?
人間であり勇者なのに?
「そうやって悩んでいる内に全て失うぞ!」
「お前の大事な人も…そしてお前自身の命も、な。」
「悩んでなんか居ない!…大切な人を守る為なら、僕は戦う。戦える。」
「なら、なぜ反対する?、、護るべき者達を護るだけだ。」
「勝手に理由を付けて『戦争』と呼べば『悪』で、護る『戦い』なら『善』なのか?」
「誰が、どちらなのかを決めるのだ?…自分だ。」
「当然、自分の戦いは自分が決める、、儂、自身がな。」
「そして儂が『戦う』と決めた…ただ、それだけだ。」
「儂を止める権利がお前に有るとは思えんな。」
「確かに『今は』僕にはガルンさんを止める権利は有りません…が、、」
「『今は、』無いだと?」
まるで将来的には『止める権利が有る』事になる、という口振りではないか?
「はい。今は有りません…ですが、、」
「僕がガルンさんの家族になれば…有りますよね?」
「なに?…お前がなぜ儂の家族になど、、」
「リカさんとの事、考えています、、と言ったら…どうですか?」
「き、貴様…娘をだしにするつもりかっ!」
「『つもり』だなんて・・・ただ、今の僕の気持ちを述べたまでです。」
「僕は王都へ行き、陛下に会い、進言し、交渉するつもりです。」
「…だから、もう少し待って欲しいのです。」
「ガルンさんが軽々しく言っている訳ではないのは理解しています。ですが…」
「そんな事で儂が止まるとでも思っているのか!」
「あー、リカが悲しむ顔は見たくはないけど…仕方ない…言わなきゃ、か、、」
「うっっ、そ、それは…」
、、、流石の獣王も娘の悲しむ顔は見たくないらしい。
「この悪魔が!、、やはりお前はジンの孫だ!」
「恨んでくれて構いません…ただ、少し時間が欲しいだけなのです。」
「僕が結果を持ち帰るまで、戦争はしないと約束して下さい。」
「では貴様も約束しろ…帰ったらリウルカを…」
「はい。何事も無く、無事に戻れた時には必ず。」
「よかろう。暫し時を与える。お前の理想が叶うか見届けてやる。」
「大司教様、宜しいでしょうか? 僕が王都王へ行き、直接話させて貰います。」
「勿論です。あと、フェン殿、私に『様』は必要有りません。大司教、と。」
「流石に歳上の大司教様を呼び捨てにする訳には…」
「では、、『様』ではなく『さん』でお願い致します。」
「分かりました、大司教さん、、で。」
内心、大司教は『ホッ』とする。
自分の一言で『全面戦争』になった、、なんて事になったら、と考えるだけで気が遠くなりそうだったのだ。
フェンが獣王と話をつけてくれ、王への報告まで引き受けてくれるというのだ。
大司教は人間も大切だが、第一に教団を、、神官達や信者達を守らねばならないのだ。
理由はどうあれ、フェンは教団にとっても最良の行動を取ってくれたのだ。
「ありがとうございます…フェン殿。」
「え…いや、まだ国王との交渉が上手く行くとは限らないのですから…まだお礼は早過ぎですよね?」
なぜ大司教がお礼を言ったのか、この時のフェンには分からなかった。
…やはり、このお方こそ、、フェン殿以外に教団を任せられる人物は居ない!
フェンは前から見抜いていた。
…大司教は未だにフェンに大司教の座を薦めてくる…諦めの悪い人だと。
大司教も見抜いていたのだ…フェンが選ぶ選択は常に最良…善き道を示している、と。
その時点で悪い様に思える選択だとしても最終的には良い方へ向かっているのだ。
それはもうフェンの『才能』なのだと大司教は思っている。
現に、フェンの行動は教団の危機を救ったのだ。
大司教は、ここに到着して気付いた…。
教団の使者を派遣しておきながら、同時に討伐隊を派遣するなど、正気の沙汰ではない。
相手は獣王…数万の兵を全滅させる様な相手なのだ。
王国から派兵された冒険者達に攻撃され、怒り狂った獣王の前に『交渉に来ました』などと、知らずに立った日には…
意味も解らぬままに殺されただろう。
・・・ただの捨駒だ。
大司教とルチアは『死んでもらう予定』で派遣されたのだ。
大司教の死。
王国は力を付けたファリス教団が邪魔なのだ。
邪魔な教団の大司教を、邪魔な獣王に殺させて信者達の恨みを全て獣王へ向けさせるつもりだったのだろう。
あわよくば教団を乗っ取ろうと考えていたのかも…
だが、自分もルチアも…生きている。
これもファリス様の御導き…と言うか、フェン殿が居なかったらどうなっていた事か、、。
大司教は思う…。
全てフェン殿が中心となり導いた『縁』によって、上手く行った、、成り立っているのだ。
もし、フェンというピースが欠けていたなら、今ここに立っている者は果たして居たのか?
無理だ・・・フェンが居るからこそ、、なのだ。
これはもう、フェン殿には何か特別な力が宿っているとしか思えない。…ならば!!
是が否でもフェン殿には教団を継いで貰わねば…
勇者であり、ファリス様の孫、そして言葉では言い表せない不思議な力、、運命の力を持った人物。
世界広しと言えども、絶対にフェン殿以外には存在しない。
・・・やはり、、
『ビクリッ』…また大司教が良からぬ事を考えている気配をフェンは感じる。
「僕は『成りません』から!」
・・・当然、大司教の座の話しだ。
先手を打ち、大司教の口説き文句が始まるのを阻止する。
「それで、大司教さんとルチアは、ここで待っていて下さい。」
「何を言っておられる、フェン殿。我々が使者なのですから同行しない訳には…」
「その『使者である』大司教様達を『捨駒』に使った王国へ同行すると?」
「そんな所へルチアは連れて行けません!」
・・・フェン殿も王国の思惑に気付いていたのか・・・
・・・でも、行かない訳にはいかない。
「フェン殿、この依頼は『ファリス教団として』依頼を受けたのです。」
「投げ出したのでは、教団の名に傷を付ける事に…王国からも、どんな言い掛かりをつけられるか…」
「大司教である自分一人だけでもフェン殿に同行させて頂きます。」
はぁ…変な所で真面目なんだから、、仕方ない、、恥ずかしいけど、、
「ふっふっふっ…大司教とルチアには『人質』となって貰います!」
「何ですと?!」
「言葉の通りです。二人は獣王に捕まって人質にされて、王国に戻れなくなってしまったのです。」
どう見ても台詞が説明臭い・・・悪意から言っているのではない。
「『しまったのです』って、まさかフェン殿一人で行かれるおつもりかっ!!」
今度はルチアが反応した。
「嫌っ!」
抱き付いて泣いていたルチアが言う。
「置いてっちゃ、、嫌…」
「ルチア、置いて行きたくて行く訳じゃないんだよ。」
「ルチア達が残って人質になってくれるから僕は安心して王国に行けるんだよ?」
「、、、??」
「人質になったルチア達を『助ける為』に僕は王都へ獣王さんの考えを伝えて、交渉する為に行くんだよ。」
・・・やはり、フェン殿は、、、
「ルチア…『お兄ちゃんの為に』だけど、、残ってくれないの?」
「・・・う…ん。」
『お兄ちゃんの為』と言われては聞いてあげたいのだろう。
でも反面、そんな仕掛けが必要な程に王都は『危険』だという事だ。
ルチアの根本に在るのは『フェンと離れたくない、、一緒に居たい。』という気持ちだ。
…でも、ルチアは知っている。
ルチアが『どうしても一緒に行きたい!』と駄々を捏ねれば、お兄ちゃんは連れて行ってくれるだろう。
、、だけど、駄目、、。
一緒に居られて自分は満足だけど、危険な所へ付いて行けばルチアを護る為にフェンが危険を冒すのだ。
…解りきっている。
言う通りに、ここで待っているのが、一番お兄ちゃんの為になるのだ。
「…ちゃんと、、帰ってくる?」
抱き付いたまま、上目遣いで聞いてくるルチア。
「勿論♪、、お兄ちゃん、ルチアに嘘なんか吐いた事無いよね?」
「う、、ん、、、」
「じゃあ、待ってられるね?、、ルチア。」
「…うん。」
微笑ましい場面だけど、、僕はルチアに嘘を吐いている。
絶対に帰って来れる保証など無いのだ。
今までも、、話した事が最終的に『嘘』にならない様にして来ただけだ。
僕は国から追われる身で、しかも今回は討伐対象の獣王の代弁者として行くのだ。
王国側から言えば『わざわざ捕まりに来た』としか思えないだろう。
だが、チャンスでもある。
国は公式にファリス教団へ依頼を出したのだ。
二人が獣王に殺されて、報告が届かない事で、王国の思惑通りなのだ。
だが、教団の二人が生きており、報告に来る者が居るのでは話を、、報告を受けるしかない。
表向きには『国の指示通り』に獣王の動向と要望を聞き出して来たのだから、無下にも出来ないだろう。
そこから先が問題なのだ。
要望、、獣王さんの要望で無くて悪いけど、僕の要望を伝える。
他種族、、獣人達の地位向上を。
「ふっふっふっ、、二人は人質になって貰います!」
「なっ何を、、フェン殿、、?」
「わーいっ、やったー、、お兄様の人質だー♪」
「はい!、ルチアは人質なんだから喜ばないでねー。」
「では!早速、教団に連絡、、、と。」
あ、・・・返事が来た!
「・・・えっ?!」
「フェン殿?、、どうされたので?」
「・・・早くルチアを返しなさい、、だって、、お婆ちゃんが。」
「え?、、大司教の私は?」
「・・・ゆっくりして来い、、だって、、」
「そんな、、ファリス様、、あまりなお言葉・・・」
「だが!これもファリス様が与えた試練!!」
「全力で『人質』させて貰います!」
「あーっと、大司教、、やっぱり帰って貰っていいですか?」




