第八十ニ話 レアバスの再生とドリフトの応援とエキシビジョン
サナちゃんのレストア進まないのにいろんな仕事がくる悟瑠たち
譲さんと哲史さんの応援にも行って結構大変
主な登場人物と所有車
佐野 雅子 ヒロイン 25歳 4月生まれ
峠のバトラー⇒TSカップレーサー、11勝目にトライ中。シーズンチャンピオン
家業の佐野自動車販売の中古車販売店副店長兼整備工場副工場長、整備の段取り担当の副社長
前職はスーパーの経理兼販売促進
所有免許;大型2種、牽引運転免許、2級整備士免許、危険物乙4、玉掛、ガス溶接、救急救命士、巻き上げ機
レース以外の趣味:
オフロード走行:大型の2軸総輪駆動のエンジン、サスペンションをいじって自分好みした。
パソコン:プログラム組むのも好きでシステムを自力で組める
所有車
大型バス:
観光シャシ+観光ボディ
なごみちゃん
ルーシーちゃん
路線シャシ+路線ボディ
獅子丸くん
フーセンちゃん
短尺シャシ+路線ボディ
ニジュちゃん
エムエム君
大型キャブオーバーダンプ(元除雪車)
4×4 藤子ちゃん
大型ボンネットダンプ(8トン積み)
4×2 カービーちゃん
小型車
クーペ イチゴちゃん
僕;佐野 悟瑠 雅子の兄 28歳、3月生まれ 妹の雅子より4学年上
家業の佐野自動車販売に就職して6年目、整備工場の工場長兼副社長。
所有資格 2級整備士、MIG溶接機、レーザー溶接機、ガス溶接、玉掛、大型2種、けん引免許 巻き上げ機、危険物乙4
カーキチ、スペックオタク、エンジンスワップ大好き
所有車
大型バス:
観光シャシ+観光ボディ
ゴーゴーくん
ロザン君
路線シャシ+観光ボディ
パン君
陽菜ちゃん
路線シャシ+路線ボディ
キューピーちゃん
ブイエムちゃん
大型キャブオーバーダンプ 元除雪車
4×4 サイバー君
小型車
セダン サンゴちゃん
三四郎君
佐野 康晴 僕の父親 56歳 佐野自動車販売の社長、総括責任者。趣味人 マニ割、エギマニ作りの達人 元整備工で板金も得意
所有車
バス:路線シャシ+路線ボディ
大型 ニイナちゃん
中型 アサイー君
ケーテン君
小型 いい子ちゃん
大型ボンネットダンブカー 8トン積み
4×4 タフさん
大型ボンネットバス(元移動診療所)
4✕2 コニタン
セダン
Q-LS131H改
佐野 康子 僕の母親 54歳 佐野自動車販売 副社長 佐野自動車販売店店長、営業、仕入れ担当
所有車
大型リアエンジン 路線シャシ+路線ボディ
錦くん
大型ボンネット
元8トン積みダンブカー クレーン車改造済
4×2 デコちゃん
バス 移動事務所へ改造済
4×4 サナちゃん
小型車 ハードトップ E-KE70
セダン E-AE70
加藤 隆弘 28歳
悟瑠の同級生で親友。専学卒業後家業の内燃機整備工場に就職、佐野自動車販売に事業譲渡でそのまま異動。悟瑠の幼馴染。2月生まれ。エンジン加工の名手、エンジンスワップ大好き
所有車両
大型キャブオーバーダンプ (元除雪車)
4×4 ラッシー君
大型自家用バス 路線シャシ+路線ボディ
兎ちゃん
小型車:セダン
エスティーくん
加藤 隆文 25歳
隆弘の弟。雅子より一学年上だが、3月生まれで実はほとんど同い年。工業高校から家業へ就職。佐野自動車販売に事業譲渡でそのまま異動。板金と排気系を作るのが得意
所有車
大型キャブオーバーダンプ(元除雪車)
4×4 まゆかちゃん
大型ボンネットダンプ 6トン積み
4×2 きみこ
バス 大型短尺路線シャシ+路線ボディ
恋路ちゃん
クロカン4×4
ロックン
趣味:TSカーレース 今シーズン5戦目で1勝あげたが年間は4位
松尾 百合 25歳
雅子の親友、丸松建設のお嬢さん。雅子と同じ高校卒業して同じスーパーに入って家業に転職。松尾運輸の副社長。普段はおっとりだがスイッチが入ると途端にせっかちとブチ切れになる 5月生まれ
TSカーレーサー 2勝あげ、シーズン3位
所有車
バス:観光シャシ+観光ボディ
武蔵君
ラムちゃん
大型ボンネットダンプ 8トン積み
4×4 パイ君
4×2 徳次郎君
小型車:クーペ
エスワン
松尾 譲 27歳 百合ちゃんの兄 丸松建設の副社長。マニ割マニア
所有車
バス
キャブオーバー トラックシャシ+路線ボディ
4×2 ビーフさん
4×2 レイ君
大型ボンネットダンプ
4×2 旦那さん 6トン積み
4×4 ゼットワン 7トン積み
小型車 クーペ
イーサン
松尾 隆 丸松建設の社長 百合ちゃんの父親 56歳 速い車大好き 悟瑠の父親の同級生
所有車
大型キャブオーバーダンブカー(元除雪車)
4×4 サンデー君
大型ボンネットバス トラックシャシ+路線ボディ(元レントゲン車)
4×2 なみちゃん
大型短尺バス 観光シャシ+観光ボディ
リングちゃん
小型車 セダン
E-GNY33改
松尾 友香 百合ちゃんの母親、丸松運輸の社長 54歳 旧車大好きながらもオリジナル主義
大型ボンネットバス トラックシャシ+路線ボディ
4×2 デビちゃん
4×4 てつしくん
大型短尺キャブオーバーバス トラックシャシ+路線ボディ
4×2 丸井ちゃん
大型ボンネットダンブ 6トン積み
4×2 でん六くん
小型車 HB
けいこ
小笠原 愛理沙 24歳 係長
TSカーレーサー 総合優勝を狙う 最終戦で3着に入ってぎりぎり総合2位になった
雅子の同じ学校の一つ後輩。小笠原食肉のお嬢さん。元レディス総長(7代目)2児のママ かつて雅子がいたスーパーに勤務 大型免許所持 抜群の運転センス
所有車
小型セダン
TA-GXE10
大型リアエンジンバス 路線シャシ+観光ボディ
ババロアちゃん
大型キャブオーバーダンプ(元除雪車)
4×4 フライヤーちゃん
小笠原 哲史 27歳 愛理沙の兄。別の会社に勤めていたが家業に転職、副社長 大型免許所持 旧車好きでオリジナル主義
所有車
小型車
クーペ:ましこ
大型リアエンジンバス 路線シャシ+路線ボディ
マーシーちゃん
中型総輪駆動トラック(3.5トン積み)
美浜ちゃん
長野さん 30歳。 移動販売課 課長代理
バス会社に居たが欲しいバスが排ガスの関係で住んでいる地域で登録できなくて雅子がいたスーパーに転職。今は愛理沙ちゃんの上司 短尺バス好き
所有車
大型短尺系バス
路線シャシ+路線ボディ
伊那路 自家用1ドア
鬼丸君 路線用前中2ドア
観光シャシ+観光ボディ
五平君
小型車
クーペ:NE
狩野さん 30歳 業務課長
運送会社にいたが首都圏の事業縮小で地方に転勤になった。偶然募集していた松尾建設に転職
所有車
大型キャブオーバーダンプ6×4
V10:古武道君
V8 :福田屋君
小型車
EHT;ND
綿貫 洋平 スーパーの販売部 課長 37歳
バスに嵌って自分でも買ってしまった。
中型リアエンジンバス 路線シャシ+路線バスボディ 自家用
ロニー
橋爪 正治 スーパーの社長 61歳
ボンネットバス トラックシャシ+路線バスボディ
中型
ポニーちゃん
大型
丸ちゃん
平くん
矢代さん親子
ボンネットバス トラックシャシ+路線バスボディ
4×4 K-ZC121改 移動事務所仕様
4×2 BH15改 29人乗り仕様
DA90改 移動事務所仕様
「悟瑠、これってもしかして。どっかで移動診療所になってた車か?」
出勤してきた隆弘達も聞いていた、すると事務所から親父がでてきて
「そうだよ。これは山で働く人用の移動診療所。これも康子のサナちゃんと同じ倉庫に眠っていたなんてびっくりだよ。すげえだろ。書類がしっかりファイルされてるじゃん。みると型式はTK20L改だな」
「書類???まさか?」
「おもしれえだろ。俺が復活させようと思ってな。いいの見つけただろ。康子のサナちゃんとレア度ならいい勝負だろ」
「ねえ、パパ。いくら置き場を買ったって言ったってえ」
「あら、パパ。いいの見つけたじゃない。昨日隆さんが言ってたのこれね。へええ、書類もあるのね」
販売店の事務所から工場にやって来た母親は親父が引き取ったTK20L改に興味津々だった。
「だろ。康子。いいだろ。悟瑠。これも公道復帰頼んだぜ。フレームに全く錆がなくてしっかりしてていい。いいの見つけたよ。ボディ再生とエンジンをPF6に換装よろしくな。できればターボもよろしく」
「「はああああ???」」
雅子と僕は口をあんぐりさせるだけだったのだ。
「親父、いくら車を停めるスペース増えたからって、親父までボンネットバス買うことってねーだろ」
「まあ、いいことにしろよ。キャブオーバーよりはいいかとおもってな。総輪駆動がボンネットだからさ、その流れだな。ボンネットいいだろ。しかも同じメーカーで」
「はああああ、親父、それにしてもよくこんなのが眠ってたもんだよ。激レアもいいところじゃん」
「まあ、そのへんは営林署とこの医療機関とディーラーの関係からだろうな。見る限りどうもこのTK20L改のディーラー関係者と医療機関の院長とが知り合いでjメーカーからシャシーを安く供給してもらったようだね。それにボディビルダーも結構小回り効いたようだ」
「だろうね。このボディは後ろの軸から後ろの形からするとR13がベースみたいだよね」
「そうそう、見る限りそうだ。他にはこの後ろのドアの準備工事だよ。R13独特の形状になってるよ」
「ここで薬の調剤と言うか販売もやっているのか。それじゃあねえ」
「調剤用の薬置き棚もバッチリだ。ってことでだ。内装は移動事務所にしておくのよろしくな」
「お兄ちゃん、野上さんからDR11よろしくっていわれてるんだけど、車は今日のいつ頃来るんだっけ?」
「今日の午後1時に野上さんが乗ってくるよ。親父、いい子ちゃんを代車にするけどいいよなあ」
「いいよ。長さで言ったらアサイー君が近いけどな」
「じゃあ、アサイー君借りるぜ。DR11よりは新しいバスだから乗りやすいと思うけどな」
「そうだろ。DR11はエアコンとエンジンオーバーホールと他には?」
「総輪エアサスとパワステ、クラッチとブレーキにアシストもやってくれだってさ。BXD20Eと一緒だよ」
「総輪エアだって?」
「まあ、ドライブ君と後ろ周りのレイアウトはほとんど一緒でフロントのオーバーハングが短いんだけどドア前の座席を取ってくれって言われてるからドアの開閉装置が無い分エアコンの置き場が楽かも」
「そうか、フロント周りは楽だな。あの軸配置だとフロントはエア要らなそうだな」
「うん、そう思う。フロントはリーフのままでもいいかもね。ドライブ君はオーバーハング長いから効くけど」
「野上さんと相談かな?ボンネットでもエアにしたんだよなあ」
「うん。午後1時に来るって言うから聞いてみるよ」
午後になって約束の時間に野上さんが件のDR11に乗ってやってきて、DR11のカスタムメニュー相談していた、その時にフロントサスのエアサス化の事を聞いていた
「この車の重量変動からするとフロントのエアサスはあまり効果が無いように見えます。総輪をやるんですか?」
「実は、私のこのみです。観光バスのような往年のアメ車のようなふわっふわっとしたのが好きなんですが、住んでるところの駐車場の関係で8.5メートル以上の長さの車をおけないんですよ。それでついついキャブオーバーにしたんです、ボンネットだとやっぱりどうしても駐車が難しくて」
「そういうことですね。やってみます。なるべくサスペンションストローク伸ばしてあたりを柔らかくすることやってみます。フロントにはラテラルリンク入れますね」
「はい、お願いします」
「代車はするとケーテン君の方がいいですね。なるべく短いほうが」
「はい、お願いします」
「野上さん。代車の鍵これです。総輪エアサスにしてあるのでエアタンクにエアをためるのと暖機がいるのでそれまでうちの工場を見ててくださいな、悟瑠、案内してくれ。鈴木さん、コンプレッサー止まったらエアタンクの水抜きお願いいたします。野上さん、1週間に一回はエアタンクの水抜きよろしくお願いいたします」
「はい」
「はい、社長。ケーテン君準備しますね」
僕はケーテン君の暖機をしている間、野上さんにうちの工場を見せていた。
さすがに驚いていたのはフルサイズの大型車がドブ漬けできる塗装設備で以前整備したBXD30やBXD20Eの塗装が新車に近かったのを納得していた.
「佐野さん、この工場ってドブ漬け塗装設備持ってるんですね」
「はい。防錆とベースになるホワイトプラサフだけですね。」
「道理できちんと防錆塗料がばっちり塗ってあるわけが理解できました。エンジンとエアコンそのほかよろしくお願いいたします。」
「はい、承知いたしました。すべて完成したら連絡します」
「はい、よろしくお願いいたします。では、お車お借りします」
野上さんは親父のケーテン君を乗って帰って行った。
「そう言うことか、野上さんはふわっとした乗り味が好きなのか」
「そうだな。それならわかるよ。それなら。フリクション低減やんないとうまくいかないかもな」
「そうするとフロントはリーフやめてリンクにして全部エアで支えるか」
「それか、リーフを1枚迄減らしてエアでアシストする方式がいいのかな?」
「そうだなあ。切れ角がDR11だけでかいから、ステアリング装置に気をつけないとな」
「それならフロントはリーディングアーム+センターエアバッグ+フレーム補強にしよう。後ろは4トンの4エアバッグの部品でやろう」
「29人乗りにするんだから、ちょっと軽い仕様の物を使わないとな」
「そこは何とかするよ」
DR11のサスの方針が決まった僕らはエンジンのオーバーホールのためにエンジンを降ろして足回りも全部おろしていた。
パワステも欲しいということなのでギヤを新しい車のギヤに入れ替え、ポンプは電動にしてエアコンプレッサーもエアコンコンプレッサーも電動で回すことにした。
エンジンの発電の負荷を減らすために、うちの車たちと同じように減速でエンジンブレーキ使用時には2つあるオルタネーターをフルに発電させキャパシターに充電してサブ電源として使えるようにしておいた。
夕方になって
「悟瑠、エンジンばらしたぞ。すげえスラッジだよ」
「うわあ、何だこれ?」
僕らは、ばらされたエンジンを確認して、部品を検査するために洗浄機にばらした部品を入れてスイッチを入れた。
エンジンの部品は煤で汚れ、しかも汚れが長い年月の間にガッチリコビリ着いて地金の色が全くわからない状態だった。
ゴワワワーン、ブッシャアアという音とともに洗浄機が回りだした、覗き窓には部品の汚れで真っ黒くなった洗浄液が飛び散る
「悟瑠、このエンジン相当長い間、開けてなかったか?オイル交換もさぼり気味かなあ?」
「多分な、ガスケットの部品は製造廃止なんだなあ。これは特注で作るしかないんだよね。銅で作ってかあ」
「それはしかたあるめえ。ガスケットにアスベストが使われていたら産廃で処理だろ」
「うん、それにクランクとコンロッドは念を入れて超音波で確認要るだろ。このエンジンはクランクが弱い傾向にあるなあ。ブローまで行かなくても結構クラック入って割れかけていたと聞くぞ。お、洗浄終わりと言うか洗浄液要交換だってさ」
洗浄機が一回目の部品の洗浄を終えて止まった。
僕らは検査のためにクランクとコンロッドを取り出してできるか確認していた
「悟瑠、検査してみよ。この位スラッジが落ちれば超音波で検査できそうだ。いくらなんでもうちでオーバーホールしてすぐにブローはまずいよな」
「出来るよ。言う通りいくらなんでも整備した後直ぐにブローはまずいって。あれ?検査機でクランクに内部クラックがあると出たぞ。それにコンロッドも全部規定値よりも伸びてるじゃん。交換しないとだめじゃん」
僕は洗浄を終えたクランクとコンロッドを超音波検査機にかけていると、コーションから要交換の間になるオレンジの表示になっていた。
「隆弘。クランク、は絶対に交換だな、それにコンロッドも交換だな。デビちゃんに組んだクランクとコンロッドの予備品が在庫である。それを組んでおくか?雅子。野上さんにクランクとコンロッドがだめで交換が必要だって連絡お願い」
「お兄ちゃん。そうね。野上さんに聞いておくわよ。クランクはデビちゃんと同じで鍛造鋼を素材にして削り出しとフィレットロールとタフト加工、高周波焼き入れで作ったんでしょ。3500rpm迄折れないようにしたんだよね」
「そう、コンロッドは鍛造。ピストンは残念ながら新品が在庫にない。仕方ないからそのまま洗浄して使う。リングとゴム類は新品あるからしっかり交換できるよ」
「ってことは、クランクとコンロッド交換ね。ターボにするんでしょ」
「うん、デビちゃんと同じ160psにするよ。ヘッドの熱強度とミッション強度の関係があるから純正の160psと同じスペックにしておくよ」
「お兄ちゃん、このエンジンって末期にターボ出したんだよね」
「うん、2Dにターボつけて160psってあるらしいけど実物は見たことはないんだよね」
「がせねたかもな。DA640はターボで170psあったもんな。丸ちゃんに積んでるよ。インタークーラーつけてるから性能は安定しているよ」
「純正と同等なら大丈夫だろ。強化クランク組めば多少のことオーバーしてもいいでしょ」
「うん、そうだよね。念のためオーバーレブ警報付けるよ」
「工場長、副社長のサナちゃんなんですが、エンジン相当いってますね。もうポンプの送油量がバラバラでノズルの噴射圧も量もバラバラですよ。これで手放したんですかね」
鈴木さんが言うのだった
「僕もそう思ったよ。念のためサナちゃんには6D24エンジン買ってあるからそれに載せ替える。それにあうミッションも買ってあるから大丈夫だよ」
「後は社長のコニタンもですよね。あれもエンジンは開けないとだめでしょう」
「うん、それもエンジンとミッションを交換する。在庫にPF6がある。今はプロペラシャフトの強度の関係でターボをつけるとちょっとやばいのは計算上ででてるんだよな」
「工場長。そうですね。見る限り、ターボにするにしてもコニタンのペラはセンターベアリングからの長さが。丸松建設のお嬢さんの徳次郎君のよりも長いですよ、大凡ですけどコニタンはベアリングからデフまでのペラの長さが徳次郎君よりも倍くらい長いですからね。ねじり強度が計算上は半分になるってことですか。軸の触れ回りの共振も下がって弱くなっちゃうってことですよね。それからサナちゃんはエンジンルームにターボを乗せるスペースがないですよ。V8は乗せないんですね。」
「それなら。2台とも生でいくか。サナちゃんはラジエター容量も限界でしょ。V8のを組むけどラジファンを電動にすればいいかな?V8は母親が要らないって言ってたんだ。直6の音が好きみたいで」
「そうなんですね」
「悟瑠。2台の出力はどうする?」
「サナちゃんはカタログ通り240ps狙いでコニタンは兎ちゃんと同じ260psに合わせるよ。それでいいだろ。それにしても笠木工房ってボディを上手く作るよなあ」
「それもそう思った。笠木さんと植木さんの腕が半端じゃなねーな。この会社のボディでDR11なんて激レアじゃん。それにしてもこの丸み綺麗に再現したよなあ」
「そうそう、笠木さんに聞いたらさ、最初のオーナーはDR11の会社のメーカー系のディラーだってさ。それなんで提携したばかりの関連メーカーのボディにしたんだって。それに場所的にはこの会社の方が峠超えしなくていいようにしたんだって」
「なるほどね。道理で特徴ある雨どい無しののっぺり形状だと思ったよ。この年式で後ろが丸形状なんだもんな。丸ちゃんと同じか」
「その頃は会社によっちゃ平面になってるんだよね。結構ちがっていて面白いよ」
「そうだな。半世紀以上前の車って丁寧に乗っていてもエンジンやミッション、足回りがあちこち傷んでるよなあ。仕方ないとはいっても」
「悟瑠、その頃は舗装路の方が少なかったんだから仕方ない。土埃吸ってエンジンのシリンダーと言うかライナーは減るし、エアフィルターやオイルフィルターは真っ黒。あるトラック会社は都市型と埃の多いところでエアクリーナエレメント分けていたんだよ。ところがだディーラーの人が間違って土埃の多いところに使うバスに都市型のエアクリーナエレメント出荷しちゃってそしたら細かい土埃を吸ってエンジンがやられてそれでしばらくそのメーカーはそのバス会社に出禁になったんだ」
親父が工場に入ってきて言う
「えええ?そうなの?リアエンジンは吸気系は上から吸ってるよね」
「そう。実はその頃はボンネットとキャブオーバーが多かったんだよ。ボンネットとキャブオーバーはエンジンルームに吸気口あるだろ、そうなると土埃だらけの空気すっちまう。その後なんだが、バス社長が変わってからは少しは入り込んだみたいだけど。大型はしばらくだめで、中型と小型ばっかり導入だったよ」
「そうか、そんなこともあったんだね。それにしても60年代のバスってほとんど最高速80キロがいいところだね」
「悟瑠、地方で幹線道路をバンバン路線バスが走るようになったのは一級国道意外の国道が整備完了した70年代から80年代になってからだよ。70年代に入って地方の県道市道がほぼ100%舗装路になって速度あがったんだよ。それまではでこぼこ道多いからサスが痛むし、シフトチェンジも頻繁だからリアエンジンのロッド式は力が要るって言うことで好まれなかったんだ」
「そう言ったらそうだね」
「もっというと砂利道を30キロからせいぜい40キロくらいで走ってることが多くて、60キロなんて出してない。それなんで大体の地方のバスはDDミッションなんだ。ODミッション車は都市間を結ぶ幹線国道の路線用」
「そう言うことか、道理でDR11もDDの5速だったし、ロニーも珍しいDDミッションになっていたのか」
「そうだ。悟瑠。話変わるけど、俺のコニタンはペラの強度不足とか聞いたけど、ターボにするのは無理か?」
「そうなんだよ。百合ちゃんの徳次郎君はG尺だからベアリングからデフ迄が短くって計算上ペラの強度がターボでも持つんだけど、このコニタンはベアリングからデフまでが徳次郎君の倍近く長いからねじり関係と触れ回りの強度が計算上だけど持たないんだよ。」
「そうかあ、そういう問題があるか。うーん、センターベアリングから後ろが徳次郎君のよりも長いからその分、中間が弦のように動くんだよな。トルク増えると暴れまわるってことかあ」
「そう言うこと。短い徳次郎君なら弦の動きも全く問題ないけど、コニタンはちょっと無理かも」
「仕方あるねえ。生でいくよ。隆の車でなくてよかったなあ。あいつは飛ばし屋のせっかちだからパワー上げろって言うんだろうけどな。俺はのんびりもいいと思うんだよ。そうだ。棒高跳び防止装置頼むぜ」
「もう加工してあるよ。その辺は隆文がうまくってできてる。フロントにラテリン入れるからな。総輪エアにするんだろ」
「さすが、良いことだ。ところでDR11のエンジンはどうなんだ?」
「思ったよりもエンジンが重症でクランクとコンロッド交換だよ。ピストンにカーボン噛んでて打音も出てた。それにベアリングは地金が出てるし、ライナーとピストンのクリアランスは基準の倍以上ある。吸排気バルブとスプリングも要交換だよ」
「年式が年式だから仕方あるまい。一回は開けてるだろうけど、何年経ってるか不明だな。クランク、コンロッド、ライナーは交換ってことか。開けたら交換の定番なバルブ周りとゴム部品も交換すれば何とかなるか」
「うん、全部交換する。15年はノンオーバーホールにするよ。幸いなことにイミテーションでも結構品質いいところあるからそこから買える」
「鉄物は超音波で検査するんだろ」
「もちろん、ブロックもヘッドも全部検査して内部のクラック見てそれからだな」
「他にはミッションもオーバーホールだろ。ケースのクラックも見ておけよ」
「そう、ベアリングが逝ってて音が出始めている。ベアリングはいいことに汎用品だった。ケースも超音波で見ておくよ。負担掛かるから。ドライブ君から外したODミッションを最悪組んでもいいかもししれない」
「それならベアリングは交換だな。ドライブ君のODミッションにするかは野上さんと相談だ」
僕らはDR11の対応でレストアが遅れがちなサナちゃんとコニタンの作業を進めるために佐藤さんに応援を頼んで進めていた。
DR11に組んでくれと頼まれているエアコン、エアサス、パワステ等を組み付ける際には笠木さんたちがあまりにもボディとシャシをきちんと直してくれていたので、エアコンユニットやエアコンプレッサー、パワステポンプを固定するためのブラケットやエアサス着地のための補剛用ブラケットの取り付けでビスやボルトを打つのもためらうほどだった。
その間にも丸松建設から200トンクレーン車のエンジンがパワーが出てなくて機材を持ち上げるのが大変ということで緊急の修理依頼が来て工場内に車が入らないほどだった。
「悟瑠、もうRE10の部品ないからRF10にするか?クランクがないだろ。RE8のクランクは結構残ってるけど」
「ほんとこの車にRE10が残ってるってことは奇跡だよ。ってことならばRFにするのがいいだろ。全く開けずにこれだけ使えたってことは現場できちんとメンテしてあったと思うぞ」
「これはエンジン載せ替えでいいだろ」
「うん、オーバーホール済のRF10が在庫にあるから載せ替えて、ラジエターとオイルクーラーを確認して詰まってるなら交換かな?」
「時期的にもエンジンのオーバーホール必要だったのかもな。油圧ポンプの故障じゃないよなあ」
隆弘の言うことも考えられるので念のため、クレーンのポンプを聞いたところ、1月前に交換したばかりだった
緊急でエンジンを載せ替えて200トンクレーン車納車したところで週末になっていた。
「今週末はドリ大会だなあ」
アジトについて次の日の準備をしていると雅子が
「今回は主催者からあたしにエキシビションで走ってって来ちゃってるの。隆文が乗ってたY51使えるかなあ」
「ああ、セッティングは完全にドリドリにしてあるから大丈夫。エンジンはビッグブロックの6.8だったはずだなあ」
「650ps?」
「うん、耐久性考えて650ps」
「それも運んで」
「OK、じゃあ譲さんのと雅子のか。哲史さんのは愛理沙ちゃんが運んでくるのかな?」
「そう聞いてる。哲史さんが練習で乗るって言ってるから、持って行っちゃったよね」
「だね、じゃあ積むよ」
僕と雅子は積載車に2台のドリ車を積んで会場に向かう準備していた。
次の日、僕は積載車を乗って雅子はエムエム君に乗って会場に向かっていた。
会場は雅子たちのコースのターマックの部分を使って行われ、しかも区間で切るという状態だった
「悟瑠さん、今日はありがとうございます。」
譲さんがやってきて車を降ろすのを手伝ってくれた。
「今日はエキシビションで雅子も走るからいいんだよ」
「そうよ、百合リンも走るんでしょ」
「うん、お兄ちゃんの車借りるの。愛理沙も走るって、哲史さんの車で走るとか」
「そうかあ、ってことは初めて3人一緒に走るんだね」
「そうね」
「百合リン、今日は隆弘さんが居なくて残念ね」
「仕方ないって、会社でも休みでも悟瑠さんと一緒に居すぎちゃまずいでしょ。たまにはいいんじゃない?」
「そうだな。今週末隆弘は隆文と温泉に行っちまった。たまには兄弟でのんびりだってさ。後は海鮮料理に舌鼓とか言ってたなあ、同性の兄弟もいいかもな」
「そうなの?いいわねえ。温泉だって」
「そうかあ、いいわねえ。あたしたちって全員兄妹だもんね。一緒にお風呂ってないよね」
「そうよね。百合リンの言う通り」
「同性の兄弟っていいよね」
「あの二人って仲がいいからね。大人になっても一緒に遊びに行くって言うところがいいんだよ」
「そうだよね」
車を降ろして準備していると、場内のアナウンスが入って来た。
ギャラリーが見れるところには、3台の大型ビジョンを積んだトレーラーが来ていて大迫力の映像を流していた
"本日は第5戦目になります。普段は近くのサーキットですが別の大会と重なったためこの場所をお借りして開催です。大会終了後ここのコースのオーナーによるエキシビジョンがありますのでごゆっくりお楽しみください。申し遅れましたが、本日の実況を務めさせていただきます伊達と申します。解説には渡辺さんをお呼びしました、渡辺さん、よろしくお願いいたします"
"よろしくお願いいたします。渡辺です。今日の見どころは第1戦目で同着優勝した二人が直接対決になります。そこと、新人の鮎川選手がどう出るか楽しみなところです"
"そうですね、鮎川選手は小笠原選手と松尾選手が居ない前回大会の覇者ですもんね"
"そうですよ、後はベテラン勢の中島選手、奥山選手、神保選手の奮起も期待したいです"
"間もなく開始です、予選、第一組はさっそく注目の鮎川選手と2勝している小笠原選手のぶつかり合いです"
"これは見所いっぱいですね"
ぷーっと開始の合図があって、シグナルが青に変わる。
クオオオオオオーン、シュオオオオーン、先行する哲史さんのTSS10が真横以上に向きを変えてコーナーを抜けて次のコーナーに向かって行く、同じくTSS10の鮎川選手もついて行くがドリフトアングルでは哲史さんに追いついていなかった
2台とも無事に走り終えて戻ってくると判定結果の表示だった。
"注目の判定です、出ました、すごいすごい、小笠原選手97ポイントです。前回と同じ高得点、鮎川選手は?あ、出ました、おしい、89ポイントです。この8ポイントの違いは渡辺さんどこでしょうか?"
"見る限り、ドリフトアングルの差ですね。危なげない小笠原選手の走り、ガラッと買えましたね。第一戦目のアグレッシブな走りが今回は水鳥が水面を滑るような優雅な走りに変えてきてますね。"
"そうなんですよね、この優雅な走りって一戦目の松尾選手のような感じですね"
"そうですよ、松尾選手の走りには優雅さがあるのが特徴です、それを完全コピーと言うか凌駕したような感じですね"
"この優雅な走りがまた見れると思うといいですね"
その後は一組走って、次は譲さんと神保選手だった。
"これは因縁の組み合わせですね、神保はこの前コテンパンにやられましたからね"
"ええ、因縁の対決です。元祖優雅な走りの松尾選手、そしてアグレッシブな走りの神保選手走りは対照的ですからこれも見どころ満載です"
"先行は神保選手、この前のようにはいかないぞという気合が感じられます。シグナルが青に変わってスタートで?????どうしたんでしょ神保選手スタートしてません"
"どうやらクラッチトラブルかミッションブローの様ですね。エンジンが回ってますが発進してません"
"これは痛い、車両のトラブルです"
「あ、ミッションかしらね。あーあ、コースの路面にオイル撒いちゃったよ」
「路面スイーパー出動ね。あたしが運転かな?」
「先輩、あたしが運転しますよ」
「そうか、愛理沙もここのコースのオーナーになったんだよね」
「え?愛理沙ちゃんも?オーナー?」
「はい、出資してオーナーになりました。って言うかいっつも借りてばかりなんで、あたしもお兄ちゃんも練習で。それならってことで出資してオーナーになったんです」
「そうかあ、それで3人がエキシビジョン走るんだね」
「そうです。出資は小笠原精肉店ですけどね」
「お兄ちゃん、それにこのところ、スーパーマーケットの社長が新入りのドライバーの訓練してる時にしょっちゅう来てるよ」
「そうなんだ」
「うん、平くんで練習してるよ。時には中型ショート販売車とか、お惣菜キッチンカーでも」
「そうなんだね。ここを走れればどこでも大丈夫そうだよ」
「うん、そうですよ。優花もここで運転の練習してますよ。 大型ロング販売車に乗るんだっていって。練習用のバスを買ったとか」
「やるなあ」
「あ、お兄ちゃんガンバー」
「譲さん、単独でも上手い。何だあれ?あのアングルで?すげえ」
「やるわねー」
「ポイントは?」
"松尾選手ポイントです。うわ~すごいヤバい、99ポイントです。小笠原選手を2ポイント上回りました"
"やりますねえ、どうやら最終コーナーのドリフトアングルで上回ったようですね。さすが元祖優雅な走りには脱帽です。フィギュアスケーターが舞い踊るってイメージというかなんというか"
「譲さん、やるなあ」
「あたしもびっくりよ。何?あの優雅な走りは、お兄ちゃんもここで相当の時間練習してたもん」
「百合先輩の言う通りですね。お兄ちゃんは練習の量が負けてたかなあ?」
「愛理沙、2ポイントの差はリラックスの差よ。譲さんは単独でしょ。哲史さんは2台なんだからその分ドリフトへの集中が違うって」
「そうですね。今度はお兄ちゃんが後追いだから楽に行けるのかしら?」
「あたしはそう思う。次の回は2回目の時に1台リタイヤってなってるから組み合わせ変わるんじゃないかな?」
「雅子、そうすると次はリタイヤした選手の代わりに他の選手が来るってことね」
「うん、基本2台で走ってになってるでしょ」
「そうね。それにしても今シーズンの神保選手ついてないわよね。初戦ポイント無し、今回は走る前にミッションブローでリタイヤって」
「百合ちゃん、仕方ないって。うちみたいに各選手が超音波探査機持ってるんじゃないよ。うちは超音波でミッションケースも検査してるけど、神保選手の車は検査出来なくてミッションケースに内部クラックがあったのがわからなくて、そのクラックが今日になって急成長したんだと思うよ」
「そうかあ、検査って大事なんですね」
「うん、お兄ちゃんは計測機器オクタでもあるかんね。超音波傷検査機からレーザー計測器まであるんだもんね」
「当然だ。洗浄と計測は整備の基本だ」
「やばいやばいお兄ちゃんの計測器論議が始まっちゃう」
「「きゃははは」」
僕らが話ししているうちに競技が進んで哲史さんの2回目が始まった。
「行けええ、お兄ちゃん」
愛理沙ちゃんの応援の声が響く
"2回目がスタートしました、順番入れ替えてスタートです"
"今回は新人の鮎川選手が何処まで迫れるかですね、不利な先頭では、おおおおお、小笠原選手伝家の宝刀ド派手走り、切り替えてきて、これは次のコーナーで躱しに行きますよ"
"そうなんですね。あああ、行ったああ、小笠原選手貫禄を見せつけてインから真横向いたまま躱して行きました。鮎川選手なすすべ無し。大減点ですね"
「お兄ちゃん、やりー、練習の成果でてるじゃん」
「やるわねえ」
「そうね。譲さんにプレッシャー掛けたよね」
「そうかあ。お兄ちゃんが次は先頭だからどう出るかかな」
"さあ、ポイントは?おおおお、99ポイントです。ということは松尾選手にプレッシャーかかりますね。97ポイント以上でないと次のレースでポールポジション取れませんよ”
"伊達さん、勝ちになるのは98ポイントですよ。同点の場合は高いポイントの方が勝ちになりますから"
「そうかあ、お兄ちゃん大変だ。哲史さん渾身の走りだったわね」
「そう、いきなりアグレッシブに切り替えてきたんであたしびっくりですよ」
「哲史さんは走り方2種類持ってるってことだね。2種類のうち得意なほうは切り札にしておくってことだったんだよ」
「百合リン、とにかく次の譲さんの走りがどうなるかだよ」
「そうね」
"次は松尾選手と宮沢選手との戦いですね。ここは松尾選手はどういくんでしょうか?"
"松尾選手は手組上、高得点を狙うにはちょっと厳しいですかね。それに先行なので抜かれないようにという不利な面をどうするかですね"
"さあ、スタート、で、えええええっ?松尾選手スタートダッシュと同時に斜めにしてどんどん角度をつけていく。うまいです。ブロックしながらもフィギュアスケートのような優雅さです"
"これは高得点狙えますね。宮沢選手がどう行くかですが、ちょっと苦しいか?次の大Rなら上手く後ろからアウトに入ってドリフトのまま抜ければ大幅加点ですが、行きますね。宮沢選手アウトから行くか?どうだ?"
「あ、ちょっといま、譲さんの動きがちょっと乱れた」
「え?お兄ちゃんどこで?」
「うん、ちょっとカウンターが変動したんだ。これが減点要素になんないといいけど」
"宮沢選手、全くもって追いつきませんね。うーん、逃げ切りですね。高得点が出そうです"
"さあ、ポイントは?え?96ポイント?"
「あ、やっぱり、お兄ちゃんさすがね。みてた通りね」
雅子が言う
「まあ、仕方ないって」
「惜しかったわね。お兄ちゃん。次のレースで挽回かな?」
百合ちゃんは譲さんが午後のレースで挽回することを期待していた
「そうね。譲さんはどう出るかかしらね」
「レース用のセッティングにしないとね。今日は隆弘たちが居ないのはつらいところだな」
「紫陽花と神山さんが来てるから、あたし達でメンテするよ」
「百合リン、怪我しないでよ」
僕らはドリ車のメンテをすると次のレースに向けてセッティングを変えていた。
午後のレースはエンジンのカムを変えて高回転の伸びを重視した哲史さんが逃げ切って優勝していた。
準優勝になった譲さんは次回に向けて奮起していた。
表彰式の後に雅子と百合ちゃん、愛理沙ちゃんの3人がエキシビションで走っていたが、まさに3台の車の息がぴったりでフィギュアスケーターが氷の上で踊る舞のような走りを披露していて、ギャラリーも大盛り上がりだった。
大会が終わって、僕と雅子は3台のドリ車を積載車に積んでアジトに帰って、車を降ろして工場に入れるとそのまま休んでいた。
次の週明けからDR11のエアコン設定、エンジンオーバーホールとサナちゃんのレストア、エンジンスワップにかかりきリになっていた。
僕らはまずDR11を仕上げてお隣の県迄親父とお袋に納車に行ってもらった。
残っていた僕らでリース車のメンテナンスやお客さんの車の点検とサナちゃんのエンジンスワップと外板交換、防錆塗装塗布、ベース塗装の塗布にかかり切りだった。
幸いにも、サナちゃんは駆動系がパイ君と同じだったので今回積んだエンジンのトルクなら全く問題ないので作業が楽に済んでいた。
次の週の水曜日にはなんとかサナちゃんを外板交換と防錆塗装とベースの色塗り、脚を仕上げて雅子たちのオフロードコースで脚の性能確認していた。
「なんだこれ?これもここまで走るのかよ。すっごく脚が伸びてがっちり路面掴んで離さないじゃん」
「そうだよ。脚の伸び重視で作ったよ」
「すごすぎだろ、このモーグルコースをフロントデフがオープンのままで走破するってか?」
サナちゃんをオフロードコースのモーグルコースを運転して性能を確認していた親父が呆れ返っていた
隣に乗っていた母親はニコニコ顔になっていたのだ
「康子、この車のフロントデフロックは脱出専用だな。フロントもロックしてオフロード行ったらひっくり返るまでいっちまう」
「そうね。悟瑠はサスペンションセッティングの名手よね」
「康子、それ言ったらエンジンもだ。俺のタフさんもそうだけど、このエンジンも低速からレブリミットまで綺麗に回る。良いエンジンだよ」
親父が自分の車じゃないのに何処か楽しそうだった。
ハプニングが置きたのはその帰りだった。
急坂を排気を使いながら3速迄落としてゆっくりと下っていた僕が運転するケーテン君がいきなりドーンという音を立てたかと思うとエンジンブレーキが効かなくなってしまった。
必死にフットブレーキを踏んで何とか止めて確認するとエンジンブローでしかもクランクがオイルパンを突き破る重篤な事態になっていた。
幸いにもサナちゃんを救援するための2軸総輪駆動レッカーがいたので平坦路まで後ろからロープで引っ張ってもらってゆっくりと降ろしてその後はレッカーされてお店まで帰ってきた。
「雅子。親父、救援ありがとう」
「ケーテン君がエンジンブローとはなあ。メンテしてたんだがなあ」
僕らは2軸総輪駆動レッカーレッカーからケーテン君を降ろして工場の作業スペースにいれていた。
「高回転まで使っていたけど、オーバーレブはさせてなかったんだけどなあ。」
「仕方あるまい。悟瑠、在庫に乗せ換えるエンジンあるか?もしかするとケーテン君のクランクにも内部クラックが入ってたのかも。このエンジンはオーバーホールしたけど超音波でクランクの検査してないもんなあ」
「親父、在庫にはオーバーホール済の6D10ならあるぞ。ちょっと吸排気系いじればいいかもな。実力で145ps出ればいいか?この前6D11は笠木さんに売っちまったからな。かといって他には6D15あるけどケーテン君のミッションがもたないだろ6D15のミッションはないよ」
「悟瑠よ。6D11とか6D15までは要らんだろ。それってMMにも使ってただろ。それなら6D10にしよう。」
「そうだね、6D10ならオリジナルの6DS7よりも10psアップだけど結構いいかも」
「ねえ、お兄ちゃん。パパ、壊した途端にいじる計画ってもう呆れるわよ」
「雅子、いいじゃないの。旧車はそれが楽しいのよ。壊れたらここ弄ってって考えるのが楽しいのよ。わくわくするでしょ」
「はあああ、ママも根っからの旧車マニアだったのね」
雅子の呆れた顔と母親のにっこりした顔が対照的だった。
悟瑠も失敗?
修理の仕事が増えたのだ
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